軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第169話 大事件

俺達は部屋の中でカルロとニーナの帰りをひたすら待つ。

そして、18時を過ぎた辺りでノックの音が部屋に響いた。

『戻ったぞ』

『私達です』

カルロとニーナの声だ。

「開いているから入ってくれ」

そう答えると、扉が開き、いつもの明るい表情が消えた2人が入ってくる。

そして、2人は俺達がいるテーブルにやってくると、席についた。

「色々と探ってきたわ」

「よく探れるな」

「一応、その道の人間だからな。商人だったり、クレーマーだったりのふりをして駅員や軍の人間から探るんだよ」

この非常時に迷惑だな。

でもまあ、助かる。

「どうだったんだ?」

「駅はひどいありさまだった」

「かなり大きい爆発だったみたいです。駅は半壊してましたし、火も出ていました。死傷者もかなり多そうでしたね。大惨事って言葉がしっくりきます」

そこまでか……

「原因は?」

「調査中だ」

「商人達の中では荷物の中に何かの爆発物があったんじゃないかって噂になっていますね。それが何かの拍子で爆発した感じです」

まあ、貨物列車がある駅だからな……

「レスター、どう思う?」

ミュリエル先輩が聞いてくる。

「1つは事故です。商人達が噂をしているように荷物が爆発したんでしょう」

「もう1つは?」

「テロです。何らかの目的があり、意図的に爆発させた」

そして、多分……

「私は8割、9割でテロだと思う」

ミュリエル先輩が頷きながら答えた。

「私は九分九厘と思っています」

「そうか……」

ハァ……

「レスター、どういうことだ?」

カルロが聞いてくる。

「あくまでも予想だが、イラドとランスの離間の策と一緒だ。要はイパニーアが自分達に目を向けられたくないから起こしたんじゃないかと思っただけ」

「イパニーアか……」

「よくやるわ……」

カルロとニーナが嫌な顔をする。

「あくまでも予想だぞ」

そう、予想だ。

「先輩……爆発が起きたって聞いて、私もイパニーアが脳裏に浮かびました……」

エルシィもそう思ったらしい。

「そうだな……何しろ、ここはランスとゲイツを繋ぐ町だ。ゲイツもランスも相手を警戒する」

そして、この町はランスの最北端であり、南にあるイパニーアからは離れている。

つまりランスの目が逆の北に向くのだ。

「それだけのためにここまでやるって思っちゃうわね……」

「一般市民にかなりの犠牲が出ているしな……」

俺もそう思うが、イパニーアも必死なんだろう。

そして、あいつらからしたら知ったことじゃない。

王国軍か反乱軍のどちらがやったのかはわからないが、向こうもそれほど切羽詰まっているってところだろう。

「この際、原因についてはどうでもいい。それはランス政府や軍が調査をすることだし、いずれわかるだろう。カルロ、ニーナ、一応、確認するが、列車は出そうか?」

ミュリエル先輩が2人に聞く。

すると、2人は同時に首を横に振った。

「あれは無理だな」

「そう思います。あれで列車を出すのは無理ですし、何なら周囲が完全に封鎖されています」

それはそうだろうな。

「ふう……厄介なことになったな」

明日には出発しようと思っていたんだが……

「不幸中の幸いなことを言いますと、私は今日の夕方の便を狙っていました。でも、どうしても無理だったので明日の昼の便の切符を買ったんです」

ニーナが手で目を押さえる。

「犠牲者には悪いが、それは確かに助かったな……私達も巻き込まれていた可能性がある」

そう言いづらいが、それは間違いない。

「助かったって思いましょう。それよりもこれからどうするかです」

「それだな……私達の計画が頓挫した」

ここまで来て、列車が使えなくなってしまったのだ。

「道は3つあります」

カルロが指を3本立てる。

「言ってくれ」

「1つは南の駅から西の王都方面に向かうルートです。もちろん、王都には寄らずにそのままレムの町に向かいます。そこから飛空艇でどこかに飛ぶルートです」

王都方面か……

「続けてくれ」

「もう1つは南の駅から南に向かうルートです。ちょうど俺達が通ってきた便ですね。それで東の港町から船でターリーに向かうルートです」

飛空艇の次は船か。

「どちらも南の駅から出るわけだな。レスター、どう思う?」

ミュリエル先輩が聞いてくる。

「北の駅で爆発があり、南の駅からすんなり出られますかね?」

「無理だろう。チェックが厳重になる。いや、下手をすると、数日は閉鎖も考えられるぞ」

俺もそう思う。

「そして、その数日の間にテロだとわかり、軍が町の人間を一斉に調査をする可能性があります」

「可能性なものか。絶対にそうなる。こんなことをされて、ランス政府もこの町を治める貴族も黙っているわけがない」

「そうですね。一応、事故という可能性も残っていますが……」

「それは考えなくていい。情報が少ない今は最悪を想定すべきだ」

俺もそう思う。

そして、それが絶対に正しい。

「カルロ、最後のルートは馬車でブルクに向かうルートだな?」

冒険者ギルドのブレーズから聞いたルートだ。

「ああ。ゲイツに行くには列車とそのルートがある」

カルロが頷いた。

「ミュリエル先輩、これしかないように思えます」

「そうだな。私は元々、駅のチェックが厳しかったらそのルートで行くつもりだった。こうなったからにはそちらに変えるしかないだろう」

それしかないな。