軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

人の購入履歴を漁ってはいけない

基本的にリヴァイアサンは上の階層に行くほど狭くなる、とはいえ元が巨大な鯨の腹の中……第四殻層「機舎」もそれなりに広い。

「武器、武器、武器、防具、防具、防具、ロボ、ロボ、ロボ……有機物の割合よ」

ヒャーーーーーーー………

どこか遠くの方で普段からは想像もできないハイテンションな高音が聞こえてきた気がしたが無視、原生のセミか何かだろう。

『サンラク様は武器などの購入はなさらないのですか?』

「今の所はなー……うーん、武器に不足を感じてないってのもあるが……」

『あるが?』

「これ全部バッテリー別枠の奴じゃね?」

『そうですね、確かにこれらの武装は外付けのマナ粒子貯蔵デバイスとの併用が前提となっておりますが……なんと! 封臓を持つ次世代原始人類であれば自身のマナ粒子で動かす事ができるのです!!』

「俺マナの貯蔵量拡張してねーんだわ」

『そんなあなたに拡張デバイス! 今ならなんと30万スコア!!』

粘るなオイ、だったら コレ(・・) と同じ方式でなんか作ってくれと百足式8-0.5を見せた所、それアンバージャックパス4以降なんですよと断られた。なんなんだよもう。

「謎解き、謎解きねぇ……」

オッホホーーーーーーーーーーー

遠くの方で知能指数がゴリラ以下になった人類の声が聞こえた気がしたが無視、あれはどうやっても救えない類の存在だろう。

「レイ氏、なにか分かったりした?」

「いえ……えと、パーツ単位で売っているんだな、くらいしか……」

なるほど確かに、タイプメンシリーズは流石に素体で売っているがブースターだったりバッテリーだったりとやけにパーツ単位で展示されている。あとタイプメンって合体前はマジで巨大な機械の箱、球、四角錐なのか……あれがが動くのか、あれで動くのか?

『それに関しましては以前の反省を活かしたものです、画一的装備が如何に愚かなるかを神代の戦いでは嫌と言うほどにラーニングしましたから……』

「神代、神代ねぇ……」

これだけの装備があってなお勝てない存在、十中八九敵はレイドモンスター……始源に連なる存在なんだろうが、そうなると疑問がある。

「なぁ勇魚、旧大陸って分かるか?」

『東大陸ですか? 管轄外(・・・) なのであくまでも情報でのみの把握ですが』

「あそこにバカでかい機械骨格があるの分かるか?」

『………ええ、存じています。忘れるわけがない』

「オメガってなんだ? あんなバカでかいサイズ、それを戦闘用にカスタムしてお前達はなにを倒そうとしていた?」

『次世代原始人類、それが知りたいのならば「叡智」に辿り着きなさい。最後のアンバージャックパスが疑問を解き明かすでしょう』

突き放すような、どこか問いかけるような、それでいて愛想のない簡潔な返答。だが今の質問だけであれがやはり重要なものであると明らかになってるぜ。

「いいね、そういう上で待つ的な態度は嫌いじゃない」

吠え面かかせてやる、俺はこういう上位者然とした奴をレベルの暴力でボコボコにするのが大好きなんだ……いや「勇魚」は殴らないけども。あくまでものの例えだ。

「まずは謎解きだ、エリア全域の把握……地図とかないのか」

『ありますよ』

いやあるんかーい!!

とはいえリヴァイアサン内のマップというのは球体の内側に広がる世界だ、つまりめっちゃ見づらい。

「あ、全体図で見ると……人間用と戦術機用で、半々なんですね」

ふぅーむ……あれ、このウィンドウ地図だけじゃないのか? なんか別のページが……

『お、気づかれましたね……? そう! なんとそのカタログで注文すれば、この殻層の各所にあるデリバリーデベロッパーゾーンで完成品を受け取るのとができるのです!!』

「通販なようで地味に歩かせるのやめろよ」

さーて、本命はこっちだ。表示されたマップの向きがリヴァイアサンの向きと同期してるなら丁度真下、船底側にある巨大な球体……小学生でも分かる、これが怪しいってな。

「これは?」

『強いて貴方達にも理解できる言葉で表現するなら……カゴでしょうか』

「カゴぉ?」

うーむ……材料は揃ってきたがまだ点と点は離れたままだ、中継点がないと線が届かないってところか。まぁいい、時間制限がないだけ気楽なものさ。

「とりあえずカタログ眺めながら近くの現物を見てこうぜレイ氏」

「そ、そうですねっ! 掘り出し物があるかもしれませんしっ!!」

単に宝の山と輝かせた目が眩んでいるアホ二人と違ってレイ氏は流石の用心ぶりだ、流石は廃人と言うべきか……いや、むしろ玲さん自身の性格によるものなのかな? 審美眼とかそういう………ん?

「んん゛ん゛!!?!?」

「あの、どうし───」

「サンラク お金(スコア) 貸して!!!!!」

「ほぐふぅ!!?」

「ラクっ、サンラクさん…!?」

咄嗟に動いた指が「決定」を押した瞬間、恐らくタイプメン用の特殊装甲を着たマネキンを飛び越えてきたルストの腹が顔面に直撃した。

「とても、とても重要な発見をした……!!」

「もごご、 ぼげ(退け) ぼげ(ボケ) ……!!」

むんず

「手を貸しますね」

「……あ、どうも」

全く、か弱いバニーガールにいきなりボディプレスを仕掛けるんじゃねーよロボスキー・エルフモドキアバターめ。

レイ氏に服の背中を掴んで持ち上げられている状態のルストはさながらおいたをした猫のようであったが、本人の心中がそれどころではないのか吊り下げられた状態でこちらに視線を向ける。

「……サンラク、スコア貸して」

「またギャンブルかよ?」

「……違う、やばい物を見つけた」

やばい物、とは? そう問いかけると、ルストはぺしぺしと背中を掴むレイ氏の手を軽く叩いて自立すると、俺の左腕を指差しながら改めてそれを口にした。

「…… 収納鍵チェストリア(・・・・・・・・・) 、「それ」の廉価版」

「ほ、ほぉん? それは確かにヤバいブツだな」

「……今、ヤシロバードと競り合ってる。だからスコアを貸して欲しい」

成る程、成る程成る程………

「いやすまん、今俺は手持ちがない」

「……何?」

「ちょっと高めの買い物をしてしまってな、うん」

「そう………じゃあサイガ-0」

「えっ」

金蔓たりえないと判断するや速攻ターゲットを変えるところ、嫌いじゃないぜ。

いやしかしどうしたものか、あまりにもいきなりすぎて思わずポチってしまったがちょっと衝動買いが過ぎた気がしてならない。とりあえず「勇魚」に返品できるか聞いて……

『サンラク様、ご購入いただきました格納鍵インベントリアがBブロックデリバリーデベロッパーゾーンにてご用意できましたので、ご都合がつきましたら受け取りに来ていただけますでしょうか?』

「…………」

「…………」

「…………「勇魚」?」

『はいなんでしょう?』

「プライバシーって知ってる?」