軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

おててつないでみんななかよく(例外あり)

タイプメンシリーズが一つ、戦術機錐「ピラミッドメン」。

前衛型の「キューブメン」、遊撃型の「ボールメン」と異なり、後方からの火力支援を役割とする戦術機がメイン武装たる長距離射撃用のソリッドマナレールガンを振り回して隣を走っていたキューブメンに足払いを仕掛ける。

キューブメンは前線維持、及び押上の役割を持つ故に強力なブースターを保有しているものの、あくまでも自立に用いるのは二つの脚だ。即ち、高速機動中に勢いよくすっ転んだ角張った体躯のキューブメンが雑に投げられたサイコロよろしく盛大に転倒した。

『4番確保、次』

4番ゼッケンを掲げるキューブマンの背部ブースターを踏み抜きながら赤い1番のゼッケンを貼り付けたピラミッドメンがソリッドマナレールガンを構える。

逡巡は一秒以下、通しで見れば神速の手動ロックオンによって放たれた弾丸がカーブを曲がろうとしていた先頭陣の一番内側にいたボールメンの横っ面に着弾、衝撃で吹き飛んだ球体が外側から追い越さんとしていた二機を巻き込んでクラッシュ。

『機能停止はしてない、5番6番9番確保。次』

ピクピクと痙攣するキューブメンからワイヤー式のテイザーライフルを奪い取ったピラミッドメンは無造作にそれを片手で構えると、発砲。

ひゅん、とサーキット内を飛んだワイヤーが反転してピラミッドメンへと向かってくる4番ゼッケンのボールメンに着弾する。

『あっやべっ!?』

『フェイントが単調、4番確保。次』

『スタンぐわーっ!』

カチカチカチ、とテイザーガンに装填された三発分の電撃を喰らったボールメンが煙を上げて膝をつく。

『あ、あれ? 機能停止になってない』

『……今日はパーフェクト万馬券を出す日、だから』

『は……? あっ、マジかそういう抜け道あんの!!?』

『真似していいよ、出来るなら……2番確保。次』

赤い1番ゼッケン、通称レッドワン……有人ジョッキーの中でも優先して番号と色を選べる程に勝利と撃破を重ねてきた悲喜交々の感情を向けられる選手の暴れる様はいつも通りの光景のようで、何かが違う。

観客達が それ(・・) に気づいたのは自分以外の八機を機能停止寸前の行動不能状態に叩き込んだピラミッドメンが3番ゼッケンのピラミッドメンをゴールに蹴り込んだ時だった。

「ちょっ……そんなんありかよ!?」

「待って待って待って! 借金してレッドワン八機撃破に賭けたんだぞ!?」

「そんな強引な順位操作あり!?」

『ワタシ、ダメッテイイマシタッケ?』

「「「「「勇魚ァーーーッ!!」」」」」

『とりあえず何名か破産の方がおられますようなので、手続きしておきますねっ』

一着、3番。

二着、1番。

そして何故そんなものを、と観客達から思われていた長射程ワイヤーガンを用いて5番、7番、8番、6番、2番、9番、4番を順番に繋げたピラミッドメンがのっしのっしと重そうに歩き続け……

『……タイプメン、出力を上げれば七機は引っ張れる……朱雀達もそうなのかな? むしろ最大出力を削って多機能にしてる?』

ズゴン!!!!

再起動し、1番のピラミッドメンを追い越そうとしたボールメンの顔面に二着としてゴール することになっている(・・・・・・・・・・) ピラミッドメンの裏拳が叩き込まれ再び転倒……そしてつつがなく最下位の4番がゴールラインを超え、ここにレースは決着した。

「借・金・完・済っ!!!」

「ハッハー! ついでに金持ちだぜーっ!!」

「……サンラク、あれは?」

「ロクデナシとロリコン」

たった一試合で自由の身になって出てきたルストを迎えつつ、俺達は「勇魚」へとパーフェクト万馬券……否、第四殻層への通行パスを見せつける。

「どうよ」

『ええ、認めざるを得ませんね……皆様のアンバージャックパスを3に上げ、第四殻層へと転送致します』

アンバージャックパスもついに3まで上がったから……おっ、ついにファストラ実装かぁ! 一層とか二度と訪れることはない気がするが何処からでも第三殻層に戻れるのは地味に嬉しい……休憩とかセーブ的な意味で一番充実してるからな。

「いやー助かった! 日に日に「勇魚」の態度が冷たくなるから破産秒読みなの丸分かりでねぇ!!」

「拾ったチャンスを無駄にするなよ、今後は真人間になることだ」

「……威張るべきは私」

え、破産した奴がそれ言います?

まぁいいや、次の層に賭博要素なんてないんだ……いざ参らん、第四殻層「 機舎(キシャ) 」へ!!

……

…………

………………

「「びゃわーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」」

四層の景色を視認した瞬間、ルストとヤシロバードが壊れた。やっぱこいつらに真人間は難易度が高すぎたらしい……

『ここが第四殻層「機舎」、神代の武力が生まれし場所……そう、これこそが神代の力なのです!!』

「銃!銃! ガン! ゲヴェーーーア!! いいよいいよ最高だ!! 君は対人用? ああっ! その艶かしい姿は対物だね!! オイオイオイ僕を誘ってるのかぁーい!? こんなっ、こんな……っ!! ここは天国か!!!」

「量産型故の規則正しく並ぶ姿はワンオフ機では決して作ることのできない秩序であり「美」、そしてその全てが今か今かと脚光を浴びる日を待ちわびる主役達。使わねば、使ってあげねば!!」

………。

「サバイバアル、あいつらブン殴って止めてきてくれね? 人殴るの得意だろ?」

「ああいう手合いに介入すると面倒なんだよ、知ってて言ったろオメー」

俺だって嫌だよ、極限まで飢餓状態にした猛獣だってもう少し慎みがあるぞ。

「勇魚、この殻層を越える条件は?」

『ふふふ……教えません』

「何?」

『この層では皆様自身が答えを見つけ出すのです! ええ、その為のヒントはこの殻層内にあるのですから!!』

「なぁるほど……ここに来て謎解きってわけだ」

だったら仕方ない、ぶっ壊れたアホ二人はとっくに飛び出していっちまったし……残ったレイ氏、サバイバアル、モルドの三人の方は振り向いた俺は一応リーダーらしく指示を飛ばす。

「各自判断で頑張ろう、以上」

「ジャーマンスープレックスだってもう少し責任持って投げるぞ」

「プロレスにそんな詳しくねえ」

さぁて第四殻層……どう行く、どう越える? 攻略強行軍、ここが山場か。