作品タイトル不明
第二百十話 アイテムと魔導具
「そういえば、高価なアイテムってのは、どんなものがあるんだ?」
先程、手に入れた転移チケットというのも、充分高価なアイテムであるように思えるが、こと探索者基準となると若干異なる。
消耗品という観点から見れば、転移チケットは確かに高価ではある。
だが、探索者が持つアイテムの中でも高価なものとなると、億単位の金が必要になってくることも珍しくはないのだ。
「やはり、武器、防具ですね!」
ダンジョンの最終階層を目指していく中、ふと気になった俺は東雲に質問を投げかけたつもりであったが、より早く反応したのは、日向さんであった。
「私の武器は魔導具ですが、いつかはアイテムをメイン武器にして探索して見たいと思っています」
「その武器って、魔導具だったんだな」
日向さんの持つ、薙刀を見る。
よく見てみると、刃には刻印のようなものが刻まれており、棒にもところどころ魔核を用いた装飾が施されている。
装飾は耐久性を向上させるためのモノだろうが、その上、刃のものは切断能力などを向上させる類のモノだろう。
それなりに高価な魔導具であり、数千万円、下手すると1億円はしてもおかしくはない。
「私の刀はアイテムですね。昔、ダンジョンで潜った時に宝箱から入手しました」
東雲の持つ刀を見ると、それはただの美しい刀にしか見えなかった。
上等な刀であることは、見ただけで直感的に分かる。
だが、その武器が様々な能力を付与された、ファンタジーな武器であることは全く分からなかった。
恐らく、オークションにかければ、数百億円の値がつくと思われる。
「やっぱりそうだったんですか」
この言葉は、日向さんの言葉だ。
魔導具とアイテムの境目というのは、見た目にもある。
全てのアイテムが、というわけではないが、装飾が見てすぐわかる仕様になっていないことも、アイテムと魔導具を見分けるコツだ。
例えば、現代の技術を使うことで、ミスリルのような、ダンジョン技術を活かした金属によって装備を作ることもできる。
だが、装備を作るノウハウというのは、ダンジョン産のアイテムを解析して、模倣、劣化した技術を用いる段階にあり、質というのは劣りがちだ。
(唯一勝っているのは、量産する体制だな)
ダンジョンのアイテムは希少なモノである。
それは宝箱との遭遇率、レアなアイテムの確率が低いことが理由となっている。
アイテムでも、比較的量が多いのが、スキルを入周することができるスキルオーブ、上位の難易度の階層からは出てきやすくなる転移チケットなどがそれに該当する。
だが、スキルオーブであっても、上位のスキルを入手しやすくするものは、希少なため、高い価格で取引されている。
「聖剣や魔剣のようなアイテムは、派手な装飾をしているらしいですけど」
東雲がそう言った時の目は、若干、冷たいものであった。
もしかしたら、どちらかの持ち手とかかわったことがあるのかもしれない。
(というか、ほぼ間違いなく、接点があるな)
聖剣の使い手で有名なのは、日本最高のクランのトップであったはずであるが、篠森さんとかかわりがあった東雲のことである。
別のSランク探索者とかかわった経験があってもおかしくはない。
「魔剣の使い手だったら、明星にいますね。私の先生の友人が魔剣の使い手です」
聖剣のみならず、アイテムとしての魔剣は非常に希少である。
なかには、剣の魔導具を魔剣と言い張っている探索者もいるが、魔剣と剣の魔導具は明確に違う。
俺の魔刀はなんとなく特殊な気はするが、それでも、魔剣とは言い難い。
(世間、狭すぎだろ)
日向さんの言葉に、俺は本当に遠い世界にどっぷり浸かっていることを認識せざるを得ないのであった。