作品タイトル不明
第百三十二話
長野から東京に戻った俺は、一日家で旅の疲れを癒した後、俺はレベルの確認およびBランクの認定を行うため、探索者協会に申請を出していた。
「レベル確認って、結構時間がかかるんだな」
申請自体は簡単に行えたものの、実際の測定の日取りは先になるとのことであった。
少なくとも二週間後はかかるとのことなので、東京に帰ってきて早々ではあるが、現在、俺、東雲、ヴァルの三人で【佐々木ダンジョン】の探索に乗り出している。
佐々木ダンジョンは、初心者からBランク探索者まで、広範囲のレベルに対応した、近場では人気のダンジョンだ。
長野に向かう前の段階で、第二十階層までの探索は終えており、チェックポイントにまで到達している。
そのため、今回は二十階層からの探索となっていた。
第二十階層のモンスターは、身長3メートルを優に超す、巨大な【ゾンビ】である。
動きはそこまで機敏ではないものの、鎧と兜を身に纏っており、手には身の丈を超えるほどに大きな槍を装備していた。
討伐を推奨されているのは、Cランクでも上澄みレベル、もしくはBランクでもなり立てレベルの探索者なのであるが、個人的にその強さは、砂毒猿より下という感覚である。
その理由として、魔術がドンピシャにハマるという点が挙げられる。
正直、遠距離から【アイス・カタパルト】を二、三度叩き込めば、何とかなる程度のモンスターだ。
(ハイ・ライカン・スケルトンの影響がデカいよなぁ)
モンスター戦における心構えに関して、推定Bランク中位であるハイ・ライカン・スケルトンとの戦いの経験が、かなり大きく作用している。
あれほどの強敵であれば、そんじょそこらのモンスター相手に、ビビることは無くなるし、今後、Bランク下位のモンスターを狩っていくのに不足はない。
ちなみにBランク下位はレベル200~400、Bランク中位はレベル400~700、Bランク上位はレベル700~1000程度の探索者に推奨されている。
探索者としてはBランクからが、ある意味本番であり、今後は俺も更にレベルを上げて、上位を目指していくつもりだ。
第二十階層はモンスターのサイズが大きいこともあり、これまでよりもダンジョン内が広くなっている。Bランク相当のモンスターとものなると、どのモンスターも巨大であり、徘徊するにも広々とした空間が必要なのだろう。
モンスターが強くなるほどに、どのダンジョンも内部は広くなっていく傾向にあった。
薄明りを頼りに暗がりを進んでいきながら、第二十階層の探索していくと、数十メートル先にゾンビを発見する。
「じゃあ、行ってくるわ」
この広々とした空間であれば、東雲にスキルを使ってもらわずとも、レベルによって強化された目でモンスターを発見することは容易い。
「ア゛アァ゛~」
身長3メートル以上の巨大なゾンビが戦闘態勢に入り、緩慢な動作で槍を構える。
「【アイス・カタパルト】」
それに対して、俺は魔術で答えた。
直径1メートルの巨大な氷塊が生成され、ゾンビへと一直線に向かっていく。
防具を装備しており、鈍重なゾンビに直径1メートルの氷塊を防ぐ術はない。
氷塊はあっさりとゾンビに激突し、膝をつかせるほどの明確なダメージを与えた。
「【身体強化】【肉体強化】」
魔術によって、身体の出力と肉体の強度を高め、一気に間合いを詰める。
二重掛けすることによって、身体能力は大幅に強化され、モンスター相手に正面切って戦うことも容易となるのだ。
俺が距離を詰めた瞬間、ゾンビは槍を振りかぶる。
(遅いな)
動きが一層鈍くなったゾンビの槍は、目を瞑っても避けられるほどに、遅く単調に感じられた。
俺は余裕を持って攻撃を躱し、躱しざまに鞘から刀を抜く。
「ハッ」
横一文字にゾンビの胴を薙ぐ。
俺の一撃は、刀の驚異的な切れ味もあり、ゾンビの胴を鎧ごと真っ二つにした。
床へと倒れ伏すゾンビの頭にしっかりと突きを入れて、トドメを刺す。
第二十階層のモンスター相手に、俺は数秒足らずで決着をつけるのであった。