軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百二十四話

相変わらず、山内さんはこちらの動きに上手く反応できておらず、攻撃にシフトできていない。

(削るか)

間合いを常に詰め続けることを意識して、振り下ろしや横なぎ、突きなど、様々な角度から攻撃を仕掛けていく。

山内さんは回避よりもブレードによる防御を選択することが増えていき、絶え間のない攻撃は少しずつだが確実に、戦いの手段を削っていった。

「くっ」

身長は山内さんの方が上であるが、身体能力はこちらの方が高いため、時間が経つごとに、山内さんは防戦一方となっていく。

攻撃をするたび、彼女の対応力が落ちていっているのが分かり、削るように攻めた影響が、明らかに出ていた。

(このまま押し切る)

俺は予備動作の小さい突きをベースに、攻撃のつなぎ目をさらに小さくして、身体能力の差で一気に決めにかかった。

山内さんはブレードを使っての防御に回らざるを得なくなっていた。

(終わりだな)

動きが止まっているタイミングを逃さないよう、俺はこれまでより一際強烈な突きで山内さんのブレードを弾き、次に最短の突きを放つ。

「グッッ」

回避することも、防ぐことも叶わず、胸のあたりに攻撃が直撃した山内さんは、息が詰まったような声を出した後、膝からくずおれた。

プロテクターを装着しているので、衝撃そのものは大きくはない。

ただ、弱ったタイミングでの一撃だったため、少し深く入ったようである。

「あ~これでいいか?」

俺はブレードを降ろしながら、気遣う気持ちを込めながら言う。

だが、そうした気持ちとは裏腹に、俺は安堵してもいた。

レベルの壁を越えた俺と山内さんの間には埋められない差が存在している。

その事実が模擬戦では勝てないことが多い俺にとっては、単純に嬉しかった。

「いえ、もう一度お願いします」

俺がそんなことを考えていると、浅い呼吸を繰り返していた山内さんは、ブレードを杖代わりに立ち上がった。

呼吸はまだ、乱れており、万全からは程遠いが、再び構えを取ったのである。

山内さんの目は死んでおらず、依然として戦意を滾らせていた。

「ふぅ」

俺は山内さんに呼応するように、無言でブレードを構え、距離を取る。

「了解」

既に俺の中では、安堵する気持ちなど吹き飛んでいた。

最初の模擬戦とは異なり、山内さんは圧力に臆する態度を出していない。

本当のところは、どう感じているのか分からないが、攻撃パターンを見られたことも含めると、先程よりもは難敵と考えるのが妥当だ。

(それでも差は歴然)

俺は負けないよう、気持ちを奮い立たせる。

これまで、東雲やヴァルと何度も、本当に何度も模擬戦を行ってきた。

圧倒的なセンスと実力の差は、幾度となく俺の心を折りに来ていた。それでも、俺は何度も立ち向かってきたのである。

(そう簡単に負けてやるつもりはない)

挑まれて、そうやすやすと引くことはできない。

俺は静かに闘気を高め、目の前の敵を再び倒すべく、神経をとがらせた。