軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百五話

俺たちはスケルトンを三体ほど討伐しつつ、第十四階層を踏破した。

スケルトンには旨味が無いため、スケルトンはあまり狩らない方針でこの階層を攻略していった結果、想定よりも早い時間で次の階層に進むことができた。

(次の階層のモンスターは旨味があるから、できれば沢山狩りたいが)

第十五階層に生息するモンスターは 氷雪大鼬(ひょうせつおおいたち) と呼ばれている、巨大なイタチだ。

体長は2メートルから2.5メートルほどで、日本に生息するイタチとはサイズが比べ物にならない。

人間の肉など容易く噛み千切る強力な鋭い牙と顎を持っており、爪も鋭く尖っている。

動きは野生動物さながらの素早さを持ち、巨体でありながら鈍重ということはない。

性格は当然のことながら獰猛であるが、同時に臆病でもある。

(探索者の存在を感知すると逃げていく性質があるから、面倒だ)

珍しいことに氷雪大鼬は探索者と戦うことを好まない。

しかし、探索者から逃げるにもかかわらず、追いつめられると体毛を白く変化させ、戦闘モードに入る。

そうなるとかなり厄介で、Cランク探索者のチームでも厳しい戦いを強いられるケースが多いとのことだ。

(第十五階層で稼ぎを目指す際には他のチームと組んだりすることもあるらしいが…)

あくまで、それは並みのCランク探索者の集まりのみの話で、俺たちの場合は関係ないらしい。

(東雲によればヴァル一人でも狩れるそうだしな)

俺の場合はCランクを遥かに越える強さがあるが、まだ一対一だと甘い部分があるため厳しいかもしれないとは言われている。

ヴァルと俺が組めば、まず負けることはないと考えていいだろう。

そうして、第十五階層の探索をに十分ほど行うと、これまたあっさりと東雲が氷雪大鼬を発見した。

東雲が見つけた方に視線を向けると、そこにはくすんだ色の巨大な鼬が木の上で、休憩している。

(おお、いたいた。じゃあ、早速…)

俺は【バインド】を発動し、氷雪大鼬を魔力の蔦で捕縛した。

「キーッ」

最初はもがいて脱出しようとしたが、俺がさらに拘束を強めていくと、氷雪大鼬の様子が変わる。

毛色がだんだん薄くなっていき、やがて、綺麗な白色に変化した。

「キキキキッ」

戦闘モードに入った氷雪大鼬は魔力の蔦を引きちぎると、こちらを真っ直ぐと見つめる。

「キッ」

そして、僅かな予備動作で、一瞬にして距離を詰めてきた。

「キッ!?」

だが、その素早さをものともしないのが、ヴァルである。

氷雪大鼬の攻撃をこれまで同様、容易く受けとめるどころか、カウンターで弾き飛ばしていた。

「【アイス・アロー】」

当然、俺も隙を逃すつもりはなく、追撃とばかりに氷の矢を放つ。

正確に打ち出された氷の矢は、吸い込まれるようにして、氷雪大鼬に命中したが、硬い皮に阻まれて、傷つけることは叶わなかった。

(ダメか、まあ)

ヴァルに弾き飛ばされた氷雪大鼬が、あっという間に木に激突する。

「【アイス・ランス】」

俺は氷雪大鼬が回復する前に、追撃を行った。

(決まったか?)

氷の槍が今度こそ、氷雪大鼬を貫く。

「ヴァル、息があるか確認してくれないか」

俺の言葉に一度頷くと、ヴァルが盾を構えた状態で近づき、氷雪大鼬の息があるのかを確認する。

「?」

ヴァルが一度首をかしげると、流れるような動作で剣を抜き、氷雪大鼬の首元を一突きした。

「キッ!!?」

すると、まだ息の根があったのか、氷雪大鼬は鳴き声を発するが、ヴァルが剣を軽く動かし、トドメをさす。

流石にそれで力尽きたのか、氷雪大鼬の体から力が抜けた。

(かなり余裕があるな)

ヴァルがかなりの実力を持っているのもあるが、俺がかなり魔術をセーブして使っても、問題なく戦えている。

(この調子なら、レベル200も遠くないかもしれないな)

Bランクの探索者になるには、レベル200への到達が条件となっている。

この目標を達成すれば、探索者と言っても、軽んじられることはなくなるはずだ。

「伊藤さん、早く死体の皮を剥がないと」

「そうだったな」

この氷雪大鼬は狩ることが困難な分、一匹あたりの素材は一般的に100万は超える値で取引されている。

(特に皮の価値が高いが、今回はちょっと駄目っぽいな)

【アイス・ランス】で完全に穴を空けてしまっているので、価値が下がっているのは間違いない。

それでも探索者用の装備の素材として、使えるので、かなりの売却額になるだろう。

(とりあえず、解体しますか)

俺は解体用のナイフを手早く取り出すと、手慣れた動きで氷雪大鼬の解体を進めていくのであった。