作品タイトル不明
第百四話
それからのオーガ狩りも、特に問題なく進んだ。
長野第五ダンジョンの第十三階層にいるオーガは、気配を消す能力は高いため、探知系のスキルを保有していない場合には、難敵になる。
しかし、俺の場合は魔術のおかげで魔力の消費はあるものの、別段障害なく戦闘をこなすことができた。
そのため第十三階層もあっさり踏破し、次の階層へと向かうことに成功する。
「伊藤さん、モンスターがいました」
第十四階層にある森の中を進んでいくと、東雲が思いのほか早く徘徊するモンスターを見つけてくれた。
(あれがスケルトン)
視線の先にいるのは第十四階層を徘徊する、骸のモンスター、スケルトンである。
体格はオーガのように大柄というわけでもなく、身体能力も高いようには見えないが、当然のことながらオーガよりも危険なモンスターであった。
(ミノタウロスとリビングアーマーを足したような感じらしいが…)
標準的な直剣と鎧を装備した上に、弓も使いこなすモンスターとして、知られている。
筋肉がないにもかかわらず、意外に身体能力は高く、第十三階層のオーガほどではないが、レベルによっては正面切っての戦いは避けるのが賢明だ。
第十四階層のスケルトンは、距離に関係なく攻撃ができ、白兵戦もこなせる面倒なモンスターなのである。
(にもかかわらず、魔核はオーガよりも小さいと……)
スケルトンもオーガも素材としての価値があるのが、現状魔核だけであり、サイズが下回る以上、報酬は減額してしまうのだ。
(面倒だし、さっさと片付けるか)
まだスケルトンには気づかれていないため、まず結界で守りを固めてから、東雲とヴァルにアイコンタクトをし、攻撃の合図を送る。
「……」
「【アイス・ランス】」
二人が黙って頷いたのを確認すると、ここ最近おなじみとなっている【アイス・ランス】を発動する。
いちいち魔術名を言う必要もないのだが、こっちの方がイメージがしやすく、扱いやすい。
特に【アイス・ランス】のようにアレンジを加える場合は、魔術名を言った方が上手く扱える傾向があった。
「……」
氷の槍がスケルトン目掛けて射出されるが、避けられてしまう。
(避けられたが、反応はそこまでだな)
奇襲だったこともあるのだろうが、いい反応という感じもしなかった。
スケルトンが素早い動作で矢をつがえるのを見計らって、俺は魔術を発動するため、ヴァルに声を掛ける。
「ヴァル、頼んだ。【アイス・ランス】」
スケルトンは俺に向かって矢を放ってくるが、前に出ていたヴァルがあっさりと盾で弾いた。
そして、矢を放つタイミングで放った【アイス・ランス】はスケルトンに命中する。
「【アイス・ランス】」
もろに氷の槍が当たったため、スケルトンは深手を負っていた。
当然、避ける力もなく、俺が再び放った【アイス・ランス】で頭蓋を割られてしまう。
「まぁ、こんなものか」
バランスの良いモンスターだったため、逆に上手く嵌ってくれた。
弓を使わなければ、ここまで上手くは嵌らなかったと思う。
(でも、無理して狩る必要はないな)
遠距離からの攻撃はかなりのストレスになる。
ヴァルが守ってくれているとはいえ、矢がこちらに飛んでくるのはあまりいい気はしない。
「すまないが、矢が思ったよりもストレスになるから、基本スルーで行きたいんだが、いいか?」
「別に構わないですよ。こういうのは慣れで良くなるかもしれませんが、いちいち無理をする必要はないですから」
俺は後ろにいる東雲に言うと、あっさりと了解が得られた。
「じゃあ、そういうことで、ヴァルも頼んだ」
ヴァルの頷きを確認し、あらためて方針を固め直した俺たちは、第十五階層に向けて、歩みを進めていくのであった。