作品タイトル不明
73 初めての馬車
そろそろ寝る時間になったので部屋の中に入り寝床の準備をする。大量の草の上に布を敷いて完了だ。まだ青臭いがちょっと慣れてきたな。
ハクを中に入れて入口を閉じようとしたらまたしてもリーダーが中に入ってきた。
「何で閉めるんだよ。俺も一緒に入るぞ」
「えっ、ジャンさんは外で寝てましたよ」
「同じパーティーになるんだからいいだろ。外より安全だし」
「まぁいいですけどね」
入口を閉じたら魔法で光球を1つ浮かべておく。寝る前に明日の荷物をもう一度確認する。とはいっても、ほとんどがアイテムボックスの中に入っているので、足りない物はないか最終確認をするだけだ。
アイテムリストをチェックしたけど、多分大丈夫そうかな。初めての長距離移動なのでわからないことばっかりだ。前世でも旅行なんてしたことなかったし。
そう考えると今回のお出かけは初めての旅行ってことになるんじゃないか? うわぁ~、ワクワクしてきた。
「そろそろ寝るぞ。そうだ、さっき毛布を買ってきたからこれ使え」
なんと! 買い出しの途中で買ってくれたのか。有難いな。お金を払おうとしたら遠慮すんなと断られてしまったので、他のことでお返ししよう。多分、食事作りになるだろうけどね。
ハクと一緒に毛布に包まって横になる。……あったかいなぁ。日本の毛布に比べればゴワゴワするし少し重いんだけど、今世で初めてのまともな寝具だからすっごく嬉しい。ヤバい、泣きそう…。気づかれないように顔を隠して寝たフリをしてたらいつの間にか眠っていた。
ーーーー
朝です! 身体はちょっと痛いけど毛布のおかげでぐっすり眠れました。私が起きたタイミングでリーダーも起きたので、一緒に身支度を整えたら朝食を食べることに。
朝からレッドボアのステーキは重いと思ったが意外と大丈夫だったよ。リーダーもガツガツ食べてたから、この世界では普通なんだろう。
小麦粉と卵、牛乳にちょっとだけ塩を入れて作った、ほんのり塩っぽいパンケーキもステーキに合っていたので2人でモリモリ食べたよ。ハクはいつも通り生肉だったけどね。
片付けをして腹ごなしに軽くストレッチしたら城門に向かって出発だ。あっ、その前に部屋を崩しておこう。勝手に誰かに住まれたら困るからな。
城門へ向けて歩き出す。ワクワクしてるので足取りは軽い。つい、走り出したくなるような気分だ。楽しみ過ぎてスキップしそうになるのをグッと堪えて移動する。落ち着くために薬草でも採取しながらいこう。
いつもより遠く感じる城門までの道を歩き、城門前で3人と合流する。
「おはよう。ずいぶん楽しそうだな」
「そうですか? 確かにワクワクしてますけど、そんなに雰囲気に出てますか?」
「早く行きたいって顔に書いてある」
「そんなノアに朗報だ。 ダンジョンまで馬車で行くことしたよ」
歩きだと丸1日以上かかるそうなんだけど、馬車だと6時間ちょっとでいけるみたいだ。今は朝なのでお昼過ぎには到着する予定になるのかな。
抱っこしてればハクも乗せて大丈夫らしいので、大人しくしてるように言い聞かせて馬車に乗った。運賃は銀貨8枚だ。高いといえば高いが相場がわからない。リーダー達が払ってくれようとしたけど今回は自分で出すことにした。
移動にかかる費用はパーティー資金から出すみたいなんだけど、まだ入ったばかりだしあんまり頼り過ぎると依存しちゃいそうで怖い。適切な距離を保たないとダメだな。
座って15分ほど待つと出発した。歩きよりは速いけど、想像してたよりも遅い。そしてだいぶ揺れる。しゃべれば絶対に舌を噛むだろう。馬車がガタゴト動くたび身体が跳ねる。強めの振動で吹っ飛びそうになるので気が抜けないよ。
乗客を見ると皆平気そうだ。早速寝ようとしてる人もいる。よくこの振動で寝れるなーと思いながら見てると、いつの間にか城門からだいぶ離れて草原の間のあぜ道を走っていた。
うわっ、ガタガタがやばいっ。隣に座るミーヤさんに掴まってしばらく耐えるがお尻がバインバインと跳ねる。
いたいよ〜。おケツが割れちゃうよ〜。