軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

72 遠いスローライフ

「王都の周辺に人が集まってきてるんだよな。特に王族に近い高位貴族は国の中心に領地があるから呑気なもんだよ」

「下位貴族は森のほうに多いってことでいいですか?」

「大体そんな感じ。金持ってる貴族が国の内側で豪遊して、金のない下位貴族が外側で必死になってるから全然改善しないんだよ」

国の中心部は人口増加で食糧不足、国の外側は人口減少で食糧不足、だから農業系のスキル持ちが重宝されるようだ。

「へぇ~。出来るならこんな国早く出たいなぁ」

「それは難しいぞ。お前はまだ小さいし、隣の国は内乱中だ。他も戦争中だったり、人種差別が酷かったりで大変だそうだ」

「平和な国ってないんですか?」

「あるけど、めちゃくちゃ遠いぞ。」

そう言って大陸の大まかな地図を見せてくれた。地図は冒険者ギルドや商人ギルドで売っているので、購入は可能だ。紙を使っているので、値段は少々お高いらしいが。

どうやらこの国は端っこにあるみたいだ。今住んでいる国より下は未開の地なので不明だが、地図の上のほうはざっくりとだが国境のようなものが描かれていて、10ヵ国に分かれている。

大陸の反対側は比較的平和みたいだ。この国に隣接する国とその隣がごちゃごちゃしているらしい。この国がマシなほうってヤバいな。

「お前が成長するまでは国から出ないほうが安全だな。将来、違う国にいくなら好きにすればいいけど、しっかり準備しておかないと大変だぞ」

「…了解です」

上手くいかないなぁ。理想のスローライフはまだまだ遠そうだ。

その後、国内の事や最低限の常識など教えてもらった。そもそも、この世界の事何も知らなかったから助かったよ。

ちなみに、今住んでいるのは未開の地に隣接する子爵領らしい。大きなダンジョンが1つ、難易度の低い小さなダンジョンが3つあるので、冒険者が多い領なんだそうだ。勝手に王都だと思っていたよ。

「とりあえずは今出来ることをしっかりやります。成人までまだ時間がかかるので」

「そうか。それじゃ、先ずはダンジョンだな」

その後、晩ご飯を食べたり明日の準備をした。でも、寝る前にお風呂に入りたいんだけどどうしよう…。

3歳児の身体なんて、ついてるかついてないかしか違わないだろう。見られそうになったら下だけ隠せば何とかなりそうだな。

土魔法で作った部屋の中に入り盥を出す。少し熱めのお湯にしてササッと入っちゃおう。

お湯を出しているとリーダーが部屋の中に入ってきちゃった。何をしてるのか気になったみたい。

「…お風呂入るんですけど。」

「一応教えておくけど、風呂に入るのは貴族くらいだぞ。平民は濡したタオルで軽く拭くだけだ」

「あー、僕は盥があれば入れるので。お湯使いますか?」

「そうだな。ついでに背中拭いてやろう」

「いやっ、大丈夫です! 自分でできます」

何とか出ていってもらって入口を塞ぐ。真っ暗になってしまったので急いでライトで明かりをつけて様子をうかがう。…大丈夫そうかな。

お湯につかりながら明日のことを考えたりステータスをチェックしたり、のんびりして疲れを癒した。

ホカホカになったところで上がって、身支度を整えたら入口を開けて外に出る。リーダーがちょっとジト目で見てる気がしなくもない。まぁ、気のせいだろう。

お湯が温かいうちにリーダーにも使ってもらって、ついでにハクも洗う。ちょっと汚れが目立ってきたからキレイにしておこう。臭いのはいやだ。

「今はいいけど、他所でやるなよ。面倒なことになりそうだから」

「人に見られなければいいですか?」

「やらないって選択肢はないのか?」

「すいません、きれい好きなんで。他の人には見られないように気をつけます」

元日本人としてはお風呂なしでは生活できないんだ。湯船につかれなくてもシャワーは浴びたい。休みの日で何処にも行かない、何もしないなら1日は入らなくても大丈夫だけど、今みたいに森の中で活動するなら毎日、いや、半日ごとにお風呂に入りたい。

我慢できるわけがないので、最初から知っておいてもらったほうが安全だろう。下さえ見られなければどうとでもなる。上は諦めよう、どうせないんだし。