軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

侍女三人組再び

マグノリアによる鉄壁の令息除け対策の人数合わせの為、自分の夫も参加させたリリー。

出産の為に久しく遠出を控えていたリリーだが、主であるマグノリアのデビュタントとあって、無理を押してでも一緒に行きそうな為、不憫護衛騎士も出席を了承せざるを得なかった。

予定通り令息を袖にしたり、王子とその側近とお友達。そして知らないご令嬢に意見したりと、若干の波乱はあったものの、そう大きなトラブルは無く(?)無事に終わり、騎士団の面々がほっとしたのは言うまでもない。

王宮が爆破されたり、山賊や無法者が攻めてきたり、魔獣が大挙したりしなくて本当に良かったと思う。

そんなこんなで無事デビュタントを終えた今は、領地へ帰る者と休暇を取る者、社交をする者と様々であったが、リリーは休暇を取らされ実家に帰っていた。

大きくなったエリカを見て、ジジババ……リリーのご両親は大変だったそうだ。

今が一番可愛い盛り。生まれた時からある時期までは常に言われる言葉であるが、そんな事は吹っ飛んでしまう位に愛らしい様子に、もうメロメロといった様子である。

デビュタントを終えた少年少女達はこぞって社交に勤しむものなのだそうだが、マグノリアは一切社交をしていなかった。

王妃さまのお膝元である王都で誰かのお茶会に出ようものなら、一発でバレるであろう。ただでさえ数日置きに招待状が来ている位である。

――本当に、よく飽きないものだなぁと感心するレベルであった。

いつもの言い訳を繰り返して、せっせと返事を返しておく。

仕事の事もあり、方々から社交のお誘いは来ていたが、基本的にマグノリアはタッチしていない。

……高位貴族の性とでも言うべきか、大体が自分の息子や孫を宛てがおうとする話だったりするからだ。

会ってみた方が良さそうな人間は、セルヴェスとクロードが代わりに対応してくれる事になっている。

誰とどんな関わりがあるかわからないのだ。

変なものを釣り上げると面倒になるだけなので、腕力で抑え込める御仁(物理)が対応するのである。

もし今後やり取りを深めた方が良い相手と判断した場合は、後日、日を改めてマグノリアとアゼンダ商会のみんなが対応するつもりだ。

そんな訳でマグノリアは冬の王都を満喫している。

私服の騎士たちを中心に、社交がない時はセルヴェスやクロードも一緒に食事処を散策したり、様々な施設などを見学してまわる。

キャンベル商会にも出掛けては、ドレスのお礼を伝えるが、何故かくれぐれも危ないことはしないようにと念を押された。

自分から危ないことをしている訳ではないのに……疑わしそうな顔のサイモンに、理不尽だなと思いながら、マグノリアは口を尖らせた。

今日はライラとデイジーがエリカを見にやって来る日だ。

元々はリリーの実家で会う予定であったが、家が貴婦人を呼べる感じではないという事と、マグノリアもふたりに会いたい為、辺境伯家のタウンハウスでお茶会を開く事になったのである。

ふたりの子ども達にも会いたいと言ったが、まだ小さく粗相をするといけないのと、落ち着いて話せないという事で、ライラとデイジーのみの来訪となった。

「ふたりの子ども達にも会いたかったのに」

マグノリアの残念そうな様子に、ふたりは苦笑する。

「残念なことに、まだ辺境伯家にお連れ出来る程に育っておりませんで……」

「そんな事は気にしないで大丈夫なのに」

ライラの言葉に、マグノリアが返す。

ライラの子どもは九歳だった筈なので、多分ライラの性格からするに、謙遜であろう。

「子ども達がおりますと、ゆっくり話も出来ませんし」

そうデイジーが付け加えた。

――まぁ、確かに。落ち着いて話せないだろうし、たまにはお母さんだって息抜きをしたいだろう。

あのお茶目なデイジーは、十歳と六歳の子どものお母さんだ。

月日が経つのは早いものである。

子ども達も、知らない高位貴族の家でお行儀良くしているのも、更には人見知りなタイプなら、知らない小さい子どもと仲良くしなければならないのも気が滅入るだろう。

子ども同士直ぐに打ち解けるというのは、半分本当で半分は誇張だ。

子どもの時こそ年齢に置ける差が大きい。

遊ぶと言うよりお世話だ。面倒見の良い子、面倒だと思う子。様々だろう。

「エリカちゃん、こんにちは」

「こーちわ!」

デイジーがエリカに挨拶をすると、ペコリとしながら挨拶を返した。

「わ〜、可愛い!」

ライラとデイジーが相好を崩す。

「そうでしょうそうでしょう」

「……どうしてマグノリア様がドヤ顔してるんですか」

冷静にデイジーからツッコミを頂いた。

リリーとライラ、デイジーの笑い声が響く。

「……月日が経つのは早いものですね。エリカちゃんと同じ位だったマグノリア様が、デビュタントだなんて……」

「…………」

なんと。自分が思っていたのと同じ様に、自分がしみじみされた。ブーメランである。

確かに。お世話をしていた彼女たちからしたら、マグノリアこそ成長した最たるものだろう。

決まり悪く思いながらも、マグノリアは三人を見て笑った。

「お陰様で」