軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

424 店員の雇用 2

警備員の募集

依頼者 :トレーダー商店

依頼内容:犯罪者から店員、商品、店舗及び設備等を護ること

募集人数:2名

勤務時間:店の営業時間帯(勤務は交替制。勤務日、勤務時間等は、警備員のふたりで調整のこと)

休 日 :週1日(店の休日)……2名共、完全に休みの日となる

その他 :あまりにも不潔である、粗暴である等、店の雰囲気を壊す者は駄目。要・面接合格

ハンターランクD以上であること

長距離移動等を行うわけではないので、戦闘力があれば、膝に矢を受けた者とかでも可

報酬等、詳細は面接時に相談(ハンターランク等により報酬額が変わるため)

ハンターギルド王都支部の依頼ボードに貼り出された、依頼カード。

早朝から、多くのハンター達がその依頼について大きな声で話していた。

「トレーダー商店と言やぁ、あの、 飛竜(ワイバーン) の解体ショーをやって、一気に名を売ったところだよな?」

「あの、 生娘(きむすめ) ちゃんが護衛している野良巫女ちゃんが、 居候(いそうろう) しているという……」

「高額商品を扱っているし、かなり儲かっているみたいだからな。依頼料は心配ないか……。

CランクかDランクかで報酬額が変わるだろうから、現時点で未定なのは当たり前だからな」

「怪我をしたハンターでもいい、ってところが、嬉しいよなぁ……。

遠出や山岳部には行けなくても、短時間の戦闘ならば問題はない、っていう古傷持ちにとっちゃあ、ありがたいよなぁ……」

「ああ。それに、傭兵ギルドじゃなく、ハンターギルドに依頼するとか、分かってくれてるじゃねぇか……」

「傭兵は対人戦闘専門だから殺伐としてる奴が多いし、依頼料もハンターより高いからなぁ……」

どうやら、ハンター達には好意的に受け取られているようである。

しかし、パーティを組んでいるハンター向けの依頼ではないし、Bランク以上を目指す若手や、怪我をしているわけではないベテランが受けるような依頼でもない。

これは、言わば門番のような仕事であり、自己の鍛錬や、将来のための経験になるような依頼ではないのである。

ソロか、ふたり組のパーティ……コンビ、ペア、カップル、バディとか呼ばれる……でないと受けられない依頼。

それも、交代で任務に就くとなれば、一緒にいられる時間が少なくなるため、仲良しコンビや恋人同士、夫婦とかの応募はあまり期待できそうにない。

なので、ソロの者をふたり、となる可能性が高い依頼である。

嫌われ者で孤立した悪党、ならず者とかは、『その他』の1項目目で排除されるので、安心ではあるが……。

面接を必要とする依頼であるため、早い者勝ちでボードから依頼票を剥ぎ取って、というわけではなく、希望者は数日後に纏めて面接が行われることになっている。

数日間の余裕があるのは、泊まり掛けで仕事に出ている者達に対する心遣いであった。

数日の遅れより、より良い人材を確保する方を優先した結果である。

* *

「……では、このメンバーで、我が『トレーダー商店』の従業員チームを編成します」

恭ちゃんが、皆の前で訓示を行っている。

こういうのは大体、私の役割だったのだけど、さすがにオーナーであり店長でもある恭ちゃん……サラエットを差し置いて、居候の野良巫女がしゃしゃり出るのはおかしいだろう。

今、お店の1階の空きスペースにいるのは、私達KKRの3人プラスファルセット、従業員である孤児院の子供5人、そして護衛ふたりの、総勢11人。

大所帯になったなぁ……。

でも、まあ、今日は顔合わせで全員が集まっているだけであって、普段は交替制なので、従業員2~3人と、護衛ひとりだけだ。

うちはホワイト企業なので、未成年の子供をフルタイムで働かせたりはしないよ。

子供達はもっと長時間働きたいと言っていたけれど、それは駄目だ。

うん、 孤児達(コイツら) は、できる限り働こうとするんだよ。自分の限界以上に……。

それは、昔の『女神の眼』や、今の『リトルシルバー』の連中で、よ〜〜く分かってる。

……やらせないよ!!

私の目の黒いうちは……、って、時々変装で色を変えるし、元の色は 濃褐色(ブラウン) なんだけど、そんなの関係ねぇ!!

孤児と孤児院への支援の一環として、そして裏切られる可能性が最も低い人材として孤児を雇ったけれど、本来、子供の仕事は勉強と遊ぶことだ。

……決して、食べるために働くことじゃない。

それに、1チームで8時間働かせようが、2チームで4時間ずつ働かせようが、私達が支払うお金も、孤児院の者全体として受け取るお金も、変わらない。

働いた本人の取り分が、2倍の人数に分散されるだけのことだ。

そしてそれは多分、子供達にとっては良いことだろう。

……富の集中は、 諍(いさか) いの元だからねぇ……。

「……というわけで、お客様には丁寧に、誠意を持って応対します」

うんうん、恭ちゃん、日本式の接客方法を教えているな。

このあたりでは、地球の欧米諸国と同じく、客扱いがぞんざいなんだよね。だから、日本式の接客は驚かれ、お客さんに好印象を与えるはず……。

「皆さんが、本当にお客様を大事に思っているかどうかは、関係ありません。ただ、このお店での勤務中は、『愛想の良い、快活で客を大事にする素敵な店員』の演技をしてください。役者になり切るのです!

腹の中では何を考えていても構いませんが、それは、表には出さないように!」

……え? 何、そのディ●ニー●ンドのキャストみたいな教育は?

「お客様は、 金蔓(かねづる) なので大事にしなければなりませんが、それは まともな客(・・・・・) に対して、です。

ふざけた態度を取ってくれる者、お金や商品をせびる者、大切な従業員に手出しする者は、『お客様』ではありませんから、そういう者には甘い顔を見せてはいけません。

そういうのは、癖になってまた来ますし、あそこは絡んで脅せば言うことを聞く、なんて噂が広まると、他の悪党達も寄って来ますからね。

なので、そういう 輩(やから) は、潰します。

当店の悪党に対するスローガンは、『引かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!』です。

悪党共には、慈悲もなし!!」

……オイ。オイオイオイオイ!!

従業員だけでなく、護衛のふたりも、呆れて口を半開きにしてるぞ。

そしてレイコは『あちゃー!』というような顔で肩を 竦(すく) め、ファルセットは、うんうんと大きく頷いている。……この、脳筋め!

やっぱり、恭ちゃんに訓示をさせるんじゃなかったよ……。

* *

従業員の5人は、女の子3人、男の子ふたり。

年齢は、11歳から14歳の間。

14歳の子は、次の誕生月が来れば孤児院を出なければならないため、職探しに懸命になっていたらしい。15歳になれば、職があろうがなかろうが、孤児院を出なきゃならないらしいから。

成人になれば、もう『孤児』ではなく、ただの大人だ。もう誰も憐れんでくれず、施しも受けられない。

職がなければ、犯罪者になるか、ハンターになるしかない。

……そして、すぐに死ぬ。

あ~、 嫌(ヤ) だねぇ……。

ま、私達の両手は短いけれど、届く範囲の子供達は守りたいよねぇ……。