軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

423 店員の雇用 1

今日は、お店はお休み。

なので、全員揃って、孤児院を訪問。

……店員の募集のために……。

大事な従業員の募集なのだから、オーナーにして店長である恭ちゃんだけでなく、私とレイコも一緒に行くのが当然だ。

そして、護衛であるファルセットがついてこないわけがない。

……そういうわけで、アポなしで、ゾロゾロと4人で勝手に押し掛けたわけだけど……。

大歓迎された。

いや、ここではまだ孤児院とはそれほど信頼関係を築いていないと思っていたのだけど、そういえば自由巫女として寄付をしたし、あの『 飛竜(ワイバーン) の解体ショー』の時には、 飛竜(ワイバーン) の輸送要員として雇い、御祝儀価格で稼がせてあげたっけ……。

どうやら、それらによって、 自由巫女(わたし) と トレーダー商店(おみせ) は、孤児院から味方判定を受けているみたいだな。

……まだ、訪問の目的を言っていないというのに、すごい歓待振りだよ……。

まあ、財政難の孤児院にとって、 太い客(パトロン) は神にも等しいだろうから、それも無理はないか。

金貨1枚の寄付や支援金で、子供達の空腹がどれだけ満たされ、栄養状態がどれだけ改善されることか……。そりゃ、必死にもなるよねぇ……。

とにかく、とりあえずは院長先生と相談だ。

間違っても、話が決まる前に要件を子供達に知られるわけにはいかない。

少ない採用枠を争って、大騒ぎになっちゃうからね……。

* *

「……実は、年長の子を、2~3人くらい……」

「喜んでっ!!」

いや、まだ何も説明してないよ……。

ちょっと、入れ込み過ぎじゃない?

院長室へ通されて、着席して、まだ数秒しか経っていない。

あ、座ってるのは、私と恭ちゃん、そして院長先生だけ。護衛役のレイコとファルセットは、勿論私達の後方で立っている。

「……あの、読み書きと計算ができて、頭のいい、真面目な子を従業員として……」

「うちの子供達の内、7割以上が条件に該当します!」

「……お、おぅ……」

そんなに大勢は雇えないよ……。

って、私が主導権を取って、どうするよ! 私はただの居候で、名目的には、あそこは恭ちゃんの店なんだ。実際には、私達3人の共同出資という形にしているけどね。

とにかく、後は恭ちゃんに任せよう。

目で合図して、と……。

「面接で決めたいと思います。

名前、年齢、そして特技や売り文句等の、簡単な自己紹介をしてもらって……」

ちゃんとアイコンタクトが通じて、恭ちゃんが話を引き取り、そう続けてくれた。

孤児院側としては、ひとりでも多く雇ってもらいたいだろうけど、こっちにも都合というものがある。そうそう院長先生の希望通りにするわけにもいかないのだ。

* *

そして院長先生と、色々と話し合った。

雇った者は、孤児院から通うのか、それとも卒院して独立するのか。

給金は全て本人のものになるのか、孤児院が本人から一部を受け取ってもいいのか。

孤児院が保証人となり、雇った者が不祥事を起こした場合、その責任を負うのか。

そして、まだ全部は決めず、決定するのは面接を終えて採用者が決まってから、ということになった。

採用される者の希望を優先させたり、決定した人数やその者達の年齢にもよるからね。

まずは、人選だ!

* *

院長先生は、『7割以上が該当します』とか言っていたけれど、人数的には、そんなに大勢じゃなかった。

そりゃまぁ、ひとつの孤児院に何百人もの孤児がいるわけじゃないし、さすがに10歳未満の子とかは駄目だろう。

15歳以上の者は、卒園……孤児院から出て行かなきゃならないから、年長者とはいっても、ここには14歳までしかいない。

この国じゃあ、15歳が成人年齢だからね。

成人年齢になっても孤児院に居座るわけにはいかないよねぇ、さすがに……。

孤児院の人数枠が空くと、その分、浮浪児が入れるわけだから。

14~15歳の者がひとり抜ければ、4~5歳の子ならふたりくらい入れるかもしれない。

そりゃ、相当図々しくても、居座れんわなぁ……。

それに、15歳になれば出て行かなきゃならないとはいっても、それより早く出ちゃいけないというわけじゃない。10歳を過ぎれば、商店の 丁稚奉公(でっちぼうこう) とか職人の見習いとかで、普通に働ける年齢だ。

……孤児がそういうところに雇ってもらえるかどうかは、別問題だけどね。

まあ、12~14歳くらいが採用の対象範囲になるかな。

ここの女性の身長は、そのくらいの年齢で日本人の成人女性と同じくらいなんだよね。

だから、それくらいの年齢の子が働いていても、私達には違和感が少ないのだ。

まあ、顔を見れば、明らかにまだ幼い 容貌(ようぼう) なんだけどね。

……あ。

このあたりじゃあ、10歳くらいになれば普通に働く子供が多いから、一応、面接は10歳以上にしないと、選考の対象外になった子供達にゴネられるか……。

さすがに、9歳以下の者は、対象外になっても文句は言わないだろう。お遊びの『お店屋さんごっこ』じゃないことくらいは分かるだろうからね。

それが分からないような者は、そもそも採用される資格がない。

……あ、面接官は、ファルセットも含めた、4人全員。

地球勢だけじゃなく、 地元の人(・・・・) 、それも貧乏生活、戦闘、護衛等に関しての知識と経験があり、そしてこの大陸における一般常識を身につけている者が選考員の中にいた方がいいだろうな、という点で、 地球勢(わたしたち) 3人の意見が一致したからね。

それじゃ、面接を始めるか!

* *

……そして、採用者が決定した。

何と、予定外の、5人もの大量採用……。

院長先生の、あの嬉しそうな顔……。

いや、子供をフルタイムで働かせるのは気が引けて、交代で働けるだけの人数を確保することにしたんだよ……。

基本的には、ふたり1組で、2チーム。

それに、組分けが固定しないよう入れ替える時の調整とか、病気の時の交代要員とかのために、もうひとり追加して、合計5人。

忙しい時には、3人にするかもしれないし。

ま、手が足りなくなれば、追加雇用はいつでもできるからね。

雇用形態は、孤児院からの通いになった。

5人もいると、お店にも借家の方にも住み込みというわけにはいかないし、子供達だけで家を借りて生活させるわけにもいかないし……。

そもそも、そんなのはお金の無駄だ。

院長先生が、孤児院から通うことを強く勧めてきたし、子供達も、仲間達と離れるのは心細そうだったしねぇ……。

ま、妥当な線だ。

孤児院に空きができて浮浪児を、ということにはならなかったけれど、それは『女神の眼』の連中の次世代育成活動に期待しよう。

他にも、使い走りや半端仕事を回してあげたり……。

レイコも、 獲物運び要員(ポーター) として時々雇ってあげる、って言ってたし。

……よし、次は護衛の募集に行くか……。