軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

876 セリアドット対策

「はぁぁぁ! てやぁぁ!」

「ギギギィィィ!」

「てい!」

「ヒュイイイィィィィ!」

フランの無双っぷりが凄まじい。

余程ストレスが溜まっていたんだろう。ひたすらに斬って撃って砕いて、抗魔を蹂躙していく。

すでに500体は倒したんじゃないか? それでも抗魔の数が減ったようには見えないし、フランの攻撃は止まらない。

フランはまだまだ満足していないから、むしろ押し寄せ続けてくれる方がありがたいけどね。魔術で数十体の抗魔を消滅させたフランが、満足げに頷いている。

「師匠、合わせて」

『了解!』

久々の共鳴魔術だ。生命魔術によってフランへの負担が軽減できる今、よりこのスキルを使いやすくなっている。

範囲を重視した風魔術に、これまた広範囲に攻撃可能な雷鳴魔術を混ぜる。結果、超広範囲に風刃と電撃が撒き散らされていた。

強い抗魔にはあまり効きそうもないが、下級抗魔なら十分通用しそうだ。

激戦のダメージのせいで全力が出せない俺たちは、色々と工夫して戦わねばならないのである。

共鳴魔術で様々な攻撃を繰り出しつつ、俺はあることで頭を悩ませていた。

それは、セリアドットへの対策方法だ。

結界魔石のせいで、俺は奴を感知することがかなり難しい。慣れたら違和感を覚えることが可能になるかもしれないが、そんな悠長なことを言っている時間はない。

明日にでも、敵対するかもしれない相手なのだ。今ある手札でどうにかせねば。

感知系、察知系は意味をなさない。ならば、他に何か方法はないものか? 例えば、生命強奪と魔力強奪。これは範囲内にいる存在から、無差別に生命力、魔力を奪うスキルだ。

俺たちしかいない場所なのにこのスキルが効果を発揮したら、何者かが範囲内に隠れている可能性があるだろう。問題は、人が多い場所では意味をなさないということか。

他には……これとかどうだ? 俺が目を付けたのは、魔力攪乱スキルである。

自分たちの使うスキルにまで影響してしまうため、あまり多用してはこなかった。ただ、このスキルを使えば、結界魔石の効果を邪魔することができるかもしれない。

わずかでも効果が揺らげば、感知できるようになるかもしれないのだ。

俺はフランと相談し、このスキルを試してみることにした。抗魔に対してはあまり意味がないかもしれないが、自分たちへの効果を把握するためだ。

その結果、少し気合を入れて集中すれば、さほど問題なく魔力を運用できることが分かった。まだスキルレベルが1だし、効果が弱いからだろう。

ただ、敵に対する効果も弱いということなので、結界魔石への効果もあまり期待できないかもしれない。町に戻ったら、どこかで試してみた方がいいかもしれなかった。

そうして色々と試しつつ抗魔を薙ぎ払い続けていると、フラン以外にも抗魔と戦い始める者たちが現れた。

(強い)

『ああ、どっちもな』

あれが、フラン以外のランクB冒険者なんだろう。まるでフランの討ち漏らしを掃討するかのように――いや、実際にそのつもりであるようだ。

フランの左右に陣取って、抗魔に攻撃を仕掛けている。何も言わずとも連携が取れる相手っていうのは、楽でいいよな。

冒険者は4人いるが、そのうち3人は一緒に行動している。多分、ランクBパーティなんだろう。

個々の実力よりも、連携の質でランクBパーティとして認められているタイプであると思われた。個々の実力はランクC程度だが、とにかく息が合っている。

攻撃力に優れた一撃必殺タイプの剣士と、大盾を構えた守備特化の盾士。それに、補助と回復を切らさない援護特化の魔術師という構成だった。

盾士が引きつけ、剣士が範囲攻撃で一網打尽にし、魔術師が回復。それをひたすら繰り返している。地味だが、非常に堅実な戦い方だった。

その逆側。フランから見て左手で戦っているのは、小柄な魔術師風の冒険者だった。ローブをすっぽりと被っていて顔は見えないが、体格的にはかなり細身である。

だが、単なる魔術師ではない。華麗に薙刀を振り回して、抗魔を寄せ付けないのだ。同時に闇魔術を使い、確実に敵を倒していく。弱い魔術しか使わないのは、MPを節約するためだろう。

フランが魔術の使える戦士だとすれば、向こうは武器の使える魔術師だろう。

それと、振り回す薙刀が黒い光に包まれているのが見えた。闇の属性剣だ。

属性剣のレベルが低いうちは相手のMPを削る効果しかないが、レベルが上がるとMPを吸収できるようになるらしい。

属性剣でMPを回復しながら、弱い魔術を連発するという、継戦能力優先のスタイルであるようだった。

『属性剣も、俺たちはあまり使いこなせてないよな』

「ん」

因みに、フランの場合属性剣は全て使用可能だが、普段は3つしか使っていない。火炎付与の火。斬撃強化の風。電撃付与の雷鳴。これだけだ。

衝撃増加の水、硬度強化の土は剣にはあまり効果的ではないし、MP吸収の闇、HP吸収の樹木は、吸収スキルと強奪スキルがあればあまり必要ない。

高熱付与の溶鉄、冷凍効果の氷雪、水分奪取の砂塵に関しては、魔術のレベルが低いせいであまり高い効果は望めないだろう。

だが、魔術のレベルを上昇させた光と生命なら、かなり使えるはずなのだ。光は輝く魔力を纏うことで、威力を上昇させるとともに、幻惑の効果がある。

生命は相手の生命力を乱し、ダメージを増しつつ身体能力を低下させる効果があった。

色々と多彩な能力のある属性剣なんだが、フランは慣れ親しんだ火、風、雷鳴を多用している。黒猫族の得意属性というのもあるのかもしれない。だが、今後のことを考えれば、光と生命も使うように心がけた方がいいだろう。

いや、今までだってそんな話をしたことはあるんだよ? だが、慣れというのは中々矯正できることではないのだ。咄嗟となると、慣れた3属性が出てしまうのである。

『まだまだ抗魔はいるし、試し斬りには丁度いいだろ?』

「ん」