軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

669 レディブルーから王都

レディブルーから旅立った俺たちは、一路ベリオス王国の王都を目指していた。

雲が僅かにしかない清々しい空を、ウルシが軽快に駆ける。

「オンオーン!」

「ウルシ、楽しそう」

『全力で走るのが気持ちいいのか?』

「オン!」

やはりイヌ科。走るのが好きなのだろう。これは、わざわざ高高度を飛んでいる甲斐があるというものだな。

俺たちは今、非常に高い場所を進んでいる。さすがに雲よりは低いが、2000メートルくらいはあるかね?

この高さなら、本来のサイズに戻ったウルシが全速力で走っていても、地上からは目立たない。巨大魔獣が出現したと騒ぎになることもないだろう。

「オンオオーン!」

「おおー」

『フラン、しっかり掴まってるんだぞ!』

テンションが上がり過ぎたのか、ウルシの動きが激しくなりだした。無駄に高度を上げて走ってみたり、歩幅を変えてピョーンと跳躍してみたり、色々だ。

「オンオンオン!」

「うおー」

『ちょ、落ちるから!』

遂には、フランを起点に螺旋状に回転しながら走るという荒業を繰り出す。まるでジェットコースターに乗っているかのようだ。

様々な方向から襲いかかってくるGが面白いのか、フランが歓声を上げている。やはりジェットコースターだな。

だが、俺はフランが落ちないか気が気ではない。ヒヤヒヤが止まらんのよ。

『ウ、ウルシ! はしゃぎすぎだ!』

「クゥン……」

「もう終わり?」

『フランも残念そうな顔しない!』

そうして賑やかに空を往く俺たちの目に入ってきたのは、上空でキラキラと輝く不思議な光だった。

「オン?」

「師匠、あれ天龍?」

『ああ、だろうな』

見上げると、そこに在るのは浮遊島だ。そして、その島を包む白い雲の表面を舐めるように、細長い何かがユラユラと蠢いていた。

脅威度A魔獣の天龍だ。普段は雲の中にいるらしいが、偶然外に出てきたらしい。

「光ってる」

『太陽の光が反射してるんだろうな』

光魔術を得意とする天龍は、その身に光の魔力を纏っている。しかもそれだけでなく、降り注ぐ太陽の光を反射しているのだろう。

魔術学院の倉庫にあった天龍素材を見せてもらったが、生きている天龍の鱗はそれとは全く違う輝きを放っている。

倉庫で見た天龍の鱗は、鈍い金色だった。俺の印象は、キングギ〇ラの鱗にソックリというものだ。だが、魔力を帯びることで鏡のような輝きを得るらしかった。

白金に輝く天龍が雲を昇っていく光景は、拝みたくなるほどに美しい。

姿を見れた者に幸運が訪れるなどと言われる意味が分かった。

『いいことありそうだな』

「ん」

「オン!」

優雅に空を飛ぶ天龍の姿は、まるで俺たちの旅路を祝福してくれているかのようであった。

レディブルーを出立して2日後。

道中の町や村に立ち寄って名物を買い込みつつ、俺たちは順調に東進を続けた。

そして、特に問題も起こらず、ベリオス王国の王都に到着する。

『いやー、さすが大国の王都。クランゼル王国の王都と同じくらいデカイな』

「ん。壁も高いし、道も広い」

「オン」

レディブルーでもその規模に驚いたが、あれは学院の大きさに驚いた部分も多かった。だが、ここは純粋に都市の規模が大きいのだ。

王都の中を歩いても、やはりクランゼル王国の王都と遜色ない賑わいだった。

「じゃ、お城いく」

『おう。ウルシは大きくなるなよ?』

「オフ」

クランゼルでは王都で迷ったが、ここではそんなハプニングは起きそうもない。門からほぼ一直線に進むだけで、王城に辿り着くことができるのだ。

馬車が横20列くらいは並べそうな大通りの先に、巨大な城が見えている。計画的に王都を作り上げたのだろう。

『さ、行こう』

「ん」

ただね、この道幅の広さがフランにとっては仇となってしまった。

「もぐもぐ」

「モムモム」

『美味いか?』

「ん」

「オン!」

恒例の買い食いが始まる。フランもウルシもいつも通りに目についた飲食店に片っ端から突撃し、通りをジグザグに進んでいく。

こっちの世界にきて初めて見たっていうくらい、幅の広い道をジグザグにだ。

100メートル進むのに30分くらいかかった。片側だけにしておけばまだましなんだが、フランもウルシも鼻がいいせいで、逆側の店舗もすぐに発見してしまうのである。

「あっち、いいにおい」

「オン!」

また、通りの逆サイドにある店を見つけたのか、人混みを縫うように駆け出していく。

『これ、王城に辿り着くのはいつになるんだ?』

《このペースで歩みを進めた場合、王城への到着まで推定4時間38分》

メッチャ長い! このままじゃ、夜になっちまうぞ!

『なあ、王城まで、まだまだ距離があるんだけど……。先に、用事を済ませてからにしないか?』

「……ん」

「……オフ」

くっ! そんな切ない目で見るなって! だが、今回ばかりは許可できん。

『あとで! 用事済ませたらいくらでもつきあうから! だから今は城にいこう? な?』

「いくらでも……。分かった。お城いく」

あ。いくらでもはヤバかったか……?