軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1225 移住候補地

「ここが最後の候補地?」

「そのようですね」

フランが尋ねると、クリッカが地図を見ながら頷く。

今フランたちは、レイドスの人々が収容される予定の開拓村を見て回っていた。俺とフラン、ウルシに加え、クリッカも同行している。

レイドス側の代表ってことだな。

いざという時に戦闘力があり、隠密も可能で、物事を決める権限もある。さらには、フランとも顔見知りということで、今回の任務に選ばれたらしかった。

「どの村も場所的には同じような感じですね」

「ん。でも、ここが一番マシ」

「そうですね……」

レイドス人たちが移り住む候補地は3か所あったのだが、どこもかなり荒れてしまっていた。バルボラ側の予想では、少しの補修で住めるようになると考えられていたんだが……。

「最初の村は、立地は良かったのですがね」

「ん……。ごめんなさい」

最初に訪れた村は小川が近くにあり、周辺は森と草原が半々ほどの、立地に非常に優れた村であった。

街道から外れてしまってはいたが、隠れ住むにはそれもメリットである。

ただ、人目に付きにくいということは、善からぬ輩も喜んでしまうというわけで……。

「いえ、あれは仕方ありません。盗賊を放置すれば、無関係の人々に被害が出ているかもしれませんので。あの場で処理したことは間違いではないかと」

「ん」

盗賊の巣窟となっていたので、突入して壊滅させたのだ。捕まっている人などはいなかったが、殺されたのだと思しき旅人の遺体がいくつかあった。

結果、フランとクリッカは怒り狂って、盗賊たちをそこそこ残虐な方法で苦しませて壊滅させたのである。

この2人、結構似てるよな。

感情をあまり表に出さないから冷静に見えるけど、実は激情家で、弱い者が虐げられている姿を我慢できない。たとえそれが他国や敵方の人間でも。

また、やる時にはとことんやるところも同じである。

そのせいで開拓村は、家の中も地面も血で染まることになったけどね!

さすがに1度人の血で汚れた村で民を生活させられないということで、最初の候補地は移住不可となったのだった。村全体が超絶ヤバい事故物件になったみたいなもんだからね。

2つ目の候補地は最も広い敷地を持ち、村内に3つもの井戸がある大型の開拓村だった。敷地内には畑や酪農用の丘なども含まれており、一番優良な候補だと思われていたのだ。

ただ、ここも一筋縄ではいかない事情があった。

村の外壁や、家屋がボロボロだったのである。何かが壊したという様子ではなく、小さな穴が無数に空いていた。

実は、小型の虫が穴を開けて巣を作っていたのだ。魔獣ですらないただの虫だったが、これだけ数がいると雑魚魔獣などよりも余程脅威だった。

ウルシの毒や、熱風を使ったりして退治したが、建造物に空いた万を超える穴が消える訳もない。全て作り直す必要があるだろう。

元々この樹木に棲み着く虫だったのだろうが、バルボラから移住してきた開拓民たちにその知識がなく、建築に使ってしまっていたのだ。

また、この周辺にはその樹木が圧倒的に多いので、今後も使って行かなくてはならないだろう。

防虫の方法が発見されない限り、この場所も今後利用することは難しそうだった。

人がいる間に問題が起きなかったのは、人の気配や、焚かれる篝火などで虫が偶然にも追い払えていたからかね?

『で、三番目の村なわけだが……』

「壁壊れてる」

「そうですね。しかも、魔獣の気配が有ります」

村を囲う外壁の一部が内側へと向かって倒れ、中からは甲高い獣の鳴き声が聞こえている。何らかの要因で壁が破壊され、魔獣が入り込んだらしい。

「ここだけは、なんとしても利用できる形で確保しなくてはなりません。村の外におびき出して殲滅します」

「ん」

ということで、フランたちは作戦を練る。壁の中にいるのは、アルマジロのような姿のモンスターだった。サイズは、牛くらいはある。

アーマーラットというらしいが、丸くなれるところなどもアルマジロと同じだろう。まあ、こちらは完全に肉食なうえ、魔力障壁も使えるが。

アーマーラットの群が村で繁殖しているのか、気配だけでも四〇近いだろう。フランたちにとっては硬いだけの雑魚だが、村の外に誘導するのが中々面倒かもしれない。

「ウルシ、やれる?」

「オン!」

「ウルシで追い出すのですか?」

「ん。ウルシならやれる」

「オンオン!」

「そうですか。では任せます」

クリッカも、ここまでの道中でウルシの能力を目の当たりにし、多少仲も深まっている。この能天気面の狼に任せることに、不安はないらしい。

『殺気と威圧、それでも逃げなかったら、前足でぶっ飛ばしてやれ。ただし、殺さんようにな』

「オン!」

ということで、巨大化したウルシが村に駆け込み、アーマーラットの駆除に取り掛かった。

殺気を撒き散らしながら村を回り、逃げない個体には威圧をぶつけて逃走を促す。大半はそれで逃げ出し、村の外でフランとクリッカに狩られていた。

しかし、怯えすぎて固まってしまった個体や、家の中に隠れている個体なども僅かながらに残っていたのだ。

そいつらはウルシが前足で転がして、村の外に放り出していく。

「オンオーン!」

あ、こいつちょっと楽しくなってんな? なんか無駄にフェイントみたいなの入れてるし。シザーズからのエラシコって! 誰に向かってやってんだ!

「オーン!」

ゴール! じゃねぇよ! 調子に乗り過ぎたせいで力加減間違えて、最後の奴爆散したじゃねぇか! 折角村を綺麗に保ててたのに!

『ウルシ。反省』

「はんせい」

「オン……」

頑張って、掃除と浄化をするしかないか……。