軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1084 魔石兵蹂躙

老人たちと別れたフランは、ウルシと共に魔石兵の前へと降り立った。

『ウルシ、ボトムレスシャドウとかで、消し去っちまうのはなしだからな?』

「オン!」

「師匠。いく」

『おう! フルコースの時間だ!』

魔石兵は何も喋りはしないが、明らかにこちらを認識しただろう。身長3メートルほどの魔石兵たちが、動きを変えた。

前衛型と思われる個体が、前に出てくる。その手には、鋼鉄製の武具が握られていた。

以前とは違い、魔石兵の能力を鑑定できる。ステータスはそこそこだが、メチャクチャ硬かった。単純な防御力の高さに加え、障壁を纏っているのだ。

また、元になった魔石の能力の違いなのか、個々で全くスキルが違っている。先頭にいる魔石兵が火魔術と剣術、気配察知を持っているのに対し、その後ろの魔石兵は拳闘術、瞬発、跳躍というスキル構成だった。

それに、芸術系や知識系のスキルがない。無駄なスキルは削られているのかもしれないな。

「いく!」

『おう!』

正面から斬りかかるフラン。

「まずは! こてしらべ!」

『どりゃぁ!』

剣術を持っているだけあり、魔石兵は斬撃を受けようとしている。動きはなめらかで、ゴーレムであるとは思えなかった。剣にはしっかりと魔力を伝導させ、そこらの冒険者よりもよほど腕がいいだろう。

しかも、同時に魔力の高まりを感じる。魔術を準備しているんだろう。ゴーレムの癖に、高レベルの魔剣士だった。

フランの斬撃を受け止めて、火魔術で反撃。そんな思考なのかね?

だが、甘い。

「はっ!」

『いただきぃ!』

フランの放った斬撃は、そこに鋼鉄の剣などないかのように素通りしていた。

鋼鉄製の剣なんぞで、今の俺を防げるはずもない。相手の戦闘力や魔力の大きさを測る能力までは、持ち合わせていないのだろう。多少見る目がある相手であれば、俺が纏う尋常ではない魔力を察知できたはずなのだ。

斬撃はそのまま魔石兵の障壁も装甲も斬り裂き、大きな傷を穿っていた。

以前と違い、反射魔術はかけられていないようだ。その代わり、各属性の結界が幾重にも張られているが、神気操作、邪気征服を併用した今の俺の前には紙と同じだ。

『きたぁぁぁ! 魔石値約150! 最高の獲物だぜ!』

「師匠嬉しそう」

『俺にとっちゃ、御馳走が並んでるみたいなものだからな!』

だが、少々気になることがある。以前戦った魔石兵と比べ、得られる魔石値が少ないのだ。確か、バルボラで吸収した時は300前後の魔石値を得られたはずなのだ。

それに、なんか黒い靄のようなものが、俺たちに纏わりついていた。

(これ……?)

『フラン、障壁を切らすなよ。これ、呪詛だ。しかも、邪気が混じっている』

魔石兵の中に、凶悪な呪詛が仕込まれていたらしい。魔石兵が破壊されたとしても、この呪詛で破壊者を攻撃する二段構えの計画だったのだろう。

邪気が混じっているせいで、障壁が削られてどんどん薄くなるのが分かった。呪詛により、周囲の大地が黒く染まっている。

全部の魔石兵が、これか? 呪詛が濃くなり過ぎると、危ないかもしれん。

俺は悪魔殺しのナイフの時のことを思い出し、神属性を込めた解呪の術を使ってみた。すると、効果は覿面だ。

白い光を浴びた黒い靄のような呪詛は、甲高い悲鳴のような音を発しながら綺麗さっぱりと消え去る。邪気も感じられないし、黒く変色していた地面も元の茶色を取り戻した。

どうやら、祓うことができたようだ。

『よし! これで呪詛対策もできた! ガンガン行くぞ!』

「ん!」

力強く頷いたフランがごちそ――魔石兵の軍勢へと躍りかかった。なるほど、確かに魔石兵たちは強いのだろう。

硬い前衛がフランを囲むように動き、様々な属性の魔術を間断なく放ってくる。仲間を巻き込んでいるが、硬い魔石兵たちなら多少の被弾は無視できるのだ。

さらに、後方の魔石兵数体が、異常な魔力の高まりを見せている。どうやら、強力な魔術を詠唱中であるようだ。

強者相手でも勝てるように、設計されているんだろう。

しかし、相手が悪かったな。

フランが次々と魔石兵を斬り捨て、俺が魔石兵の魔術を防ぐ。後衛からついに放たれた高位魔術も、障壁と転移で完全に無効化してみせた。

20体ほどの魔石兵が俺の餌食となった頃、魔石兵たちの動きが変わる。玉砕覚悟で、同時攻撃を仕掛け始めたのだ。

しかし、接近戦でフランが後れを取るはずもなく、次々と俺に吸収されていった。また、俺に斬られると完全に消滅してしまうという点も、大きな誤算だったのだろう。

同時攻撃を仕掛けるメリットは互いの巨体を使ってフランの逃げ場を塞ぎ、追いつめることが可能という点だ。

だが、魔石兵が次々と消滅してしまうため、フランのことを全く囲い込めないのだ。それではフランの動きを制限することもできず、倒される速度は変わらなかった。それどころか、無防備に突っ込んでは、無駄に俺の餌食になるだけだ。

いつしか魔石兵たちは、フランから距離を取り始めていた。どうやら、フランを無視して先へ進もうとしているらしい。大きな被害が出た際には、脅威を回避するようにプログラミングされているのかね?

しかし、逃がさんぜ?

「ガルルオォォ!」

ウルシの出番だ。その巨大な前足で魔石兵をこちらへ向かって弾き飛ばしてくれるのだ。凄まじい速度でぶっ飛んでくる魔石兵を、バッターのようなスイングで斬りまくるフラン。

「ウルシ! どんどんきて!」

「オンオン!」

そうして、フランとウルシのコンビが魔石兵を100体近く消滅させた頃であった。

《自己進化の効果が発動しました。自己進化ポイント100獲得》