軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1085 爺さんたちの戦闘

《自己進化の効果が発動しました。自己進化ポイント100獲得》

『よっしゃー! 久々の自己進化!』

「師匠、おめでと!」

『おう! ありがとな!』

ゴルディシア大陸の抗魔は魔石を持たなかったし、潜在能力解放で魔石値を大きく減らしてしまっていたからね。

もっと長期間かかるかと思ったけど、ボーナスステージのお陰で一気に自己進化できてしまったのだ。

しかも、自己進化ポイントがやばい。フェンリルさんが力を失ったせいで、しばらくは自己進化した時に貰えるポイントが少なかったからな。久々にドバっともらえてしまった。溜まっていた分が、一気にきたんだろうか?

『さあ! このまま一気に全滅させてやろうぜ!』

「ん!」

残り魔石兵は8体。フランとウルシから逃れられるはずもなく、3分もせずに蹂躙完了であった。

『いやー、いい獲物だった!』

「ん! 師匠、嬉しそう」

『久々の自己進化だからな!』

しかも、次の自己進化まで魔石値が1000を切っている。再び自己進化するまで、そう遠くはないだろう。

『さて、爺さんたちはどうなってるかな?』

「アンデッド、凄い減った」

『確かに』

5000近かったアンデッドが、半減していた。いや、今目の前でさらに300体くらい倒されたな。凄まじい殲滅力だ。

しかも、連携がまた巧みである。

先頭はガムドだ。相手を挑発するスキルなども使い、ほぼすべてのアンデッドのヘイトを一手に引き受けている。

「どりゃあああぁぁ!」

野太い掛け声とともに自身よりも巨大な槌を振り下ろし、アンデッドを文字通り叩き潰している。着こんでいる重鎧のお陰で、アンデッドにどれだけ集られようとも無傷なのも凄まじい。これぞドワーフって感じの戦い方だった。

ディアスはその少し後ろで、後衛二人の護衛をしているようだ。ガムドが撃ち漏らしたアンデッドを倒しつつ、幻像魔術でアンデッドをガムドの方へと誘導している。

アンデッドをできるだけ1ヶ所に固めようというのだろう。

そこに、エイワースの魔術が炸裂した。広範囲を凍てつかせる氷雪魔術だ。ガムドに群がっていた200体ほどのアンデッドが、白い霜で覆われていく。

ていうか、ガムドも巻き込んでるんだけど!

驚いたが、ガムドは魔術を意に介した様子もなく、吹雪の中でアンデッドを潰し続けていた。エイワースは王都でも味方ごと魔術の対象にしていたが、これがあの傍若無人な振舞いの原因か!

いつもこんな風に戦っていたのであれば、死ななければ巻き込んでいいと考えるようになってもおかしくはない。

次いで、フェルムスの糸が荒れ狂った。広範囲に敷設された糸の陣が一斉に暴れて、アンデッドを切り刻んでいく。これでさらに100は削れただろう。

しかも、爺さんたちが本気を出せばもっと早く殲滅もできるはずだ。だが、彼らはあえてこの戦法で確実にアンデッドを削っていた。

この後何があるかも分からない故に、消耗を抑えた戦闘方法を選んでいるのだ。

実際、その用心は当たってしまう。

『シャルス王国軍で、でっかい魔力反応!』

「光の柱たってる」

アンデッドの救援に入ることもせずに後方で留まっていたシャルス王国軍から、巨大な光の柱が立ち上った。

かなり強い魔力が放たれ、光の柱が次第に魔法陣へと変化していく。

あれって、放っておいたらまずそうじゃないか? とりあえず、魔術ぶっ放して妨害だ! そう考えたのは俺だけではなかったらしい。

俺が魔術を放つのと同時に、エイワース、フェルムスも攻撃を放った。エイワースは死毒魔術と氷雪魔術の同時発動。フェルムスは糸を雨のように降らせて兵士たちを貫いていく。糸って、使いこなせばマジに万能だな。

かなりの兵士を倒しただろうが、兵士たちはその場所から動かない。いや、何らかの方法で動きを封じられているようで、動かないのではなく動けないようだった。

そして、魔法陣が一際強い光を放った。

閃光の後に残っていたのは、大地に倒れ伏す数千人の兵士たちと、1体の巨大なナニかである。小山ほどもある茶色い塊だが……。

『竜か? 竜、だよな? ただ、メッチャデカいんだが……』

以前見た水竜に比べても数段大きい。倍とかそういうレベルではなく、最低でも10倍くらいはあるだろう。うずくまった今の状態でさえ、100メートル近い高さがあるのだ。

攻撃的な魔力がビンビンと伝わってくる。明らかに、脅威度B以上。場合によっては、Aかもしれない。

「おいおい! ありゃあ山竜じゃねぇか! 上位種竜だぜ!」

「ひょひょひょ! 久々に見るのぉ。あの体色からして、この大陸に生息しているタイプじゃな」

「ただ、山竜にしては小ぶりだねぇ」

「召喚の魔力を削ったからかな? 少し肌艶が悪いですね。肉質はあまりよくなさそうだ」

さすが竜の専門家たち! あっさり正体が分かった! 山竜って言うのは、その名前の通り山のように巨大に育つ竜であるらしい。脅威度はC~Aと個体差がかなりあるようだった。

最大で全長300メートル近くまで成長するそうなので、こいつはまだ小さい方なんだろう。

「嬢ちゃん! 俺たちが主導でいいか?」

「ん。私は何すればいい?」

「止めを頼もうと思う。合図するまで、力を溜めててくれよ」

「わかった」

フランがガムドの言葉に素直に従う。冒険者としての先達であり、ギルマスであり、竜との戦闘経験豊富な専門家。そりゃあ、従わない理由がないよな。

「よっしゃ! 久々の竜狩りだ!」

「ひょっひょー! 死霊どもばかりで飽いておったところじゃ!」

「召喚されたみたいだけど、死体は残るのかな? 逆鱗がほしいんだけど」

「山竜の舌は珍味なので、残してくださいね?」

まさに獲物を狙う目で、動き出す山竜を見つめる爺さんたち。

魔石兵の天敵であるフランと、竜の天敵であるガムドたちが偶然にも揃っている状況って、何なんだろうね? うん、きっとレイドス王国の日頃の行いの悪さのせいだろう。