軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1章-20 災いの元凶

南門は中央部付近が瓦礫と化していた。瓦礫といっても光線の直撃を受けた所は半分溶けかけている。

「なんだこの威力は…」

俺の呟きに反応したのか複数の呻き声が聞こえる。辺りを見渡すと光線がかすった人や砕け散った塀の破片で怪我をした人たちがうずくまっている。直撃を受けた人は体の一部分や欠片を残して消え去ってしまっている。

「テンマっ!」

その時母さんの声が聞こえた。探してみると壊れた門より十数m離れた場所に父さんと共にいた。

「父さん、母さん無事だったんだね!」

そう言いながら近づくが、近づくにつれ父さんの様子がおかしい事に気付いた。右足の膝から下がなく左腕も反対に曲がっていて、血を吐いているのだ。

「父さんに何があったの!」

俺は回復魔法をかけている母さんに聞きながら、父さんの容態を確認する。

「あの光線が発射された時、私はちょうど光線の射線上にいたの。それをお父さんが突き飛ばすようにして助けてくれたんだけどお父さんには光線がかすってしまって、その上光線の余波でここまで飛ばされたの」

と説明してくれた。

「わかった、母さんは父さんと他の負傷者の治療に当たって。その間は僕が防衛に当たるから」

と言って俺は門の上へと飛び上がった。その間にもゾンビ達は門へと近づいていた。

「くそっ、この距離じゃファイヤートルネードが使えないっ!」

ゾンビが思っていたより近かったので、切り札でもあるファイヤートルネードでは味方や砦にも被害が出る可能性が高かった。

なので、まず土魔法で門を塞ぐことにした。

次に近い順にファイヤーストームを食らわせていき徐々に距離をあけていく。

ある程度距離があいたところで、他の魔法使いたちと協力して『火災旋風』を作り出した。

「これで勝てるぞ!」

「ゾンビどもを焼き尽くせ!」

「くたばりやがれゾンビども!」

と歓声が上がる。しかし、火災旋風は50mも進まないうちに光線によってかき消されてしまった。

光線は火災旋風と相殺するどころか、一発目よりは弱まってはいたが塀へと届き、塀の一部に穴を開けた。

幸いにして負傷者は出なかったものの、辺りには絶望感が漂い始めた。治療を他の人に任せた母さんが上がってくると同時に、光線を発射したものがゆっくりと姿を現す、それは予想の上を行くものだった、

「ドラゴンゾンビ……」

母さんが呟く、その正体は竜のゾンビで大きさは50メートルを軽く越えている。そこにじいちゃんも駆けつけてきてさらに付け加える。

「しかもあれはおそらく、『 古代竜(エンシェントドラゴン) 』のゾンビじゃ」

竜には下級、中級、上級、竜王、古代竜と分かれている。下級竜とはワイバーンのような知能の低いものや幼竜などを指し、中級・上級は知能や力の強弱で分けられ、形も西洋の竜や東洋の竜のようなものが多い。その中から一際強くなったものが竜王と呼ばれ、古代竜は一万年以上の時を生きた個体を指す。

強さに体の大きさはあまり関係が無いとされるが、基本的に体の大きな個体には強いものが多い。そして古代竜には体の表面に大きな宝石のような金属が出来ることが特徴とされる。

目の前に姿を現したドラゴンゾンビには、両肩の位置に3m程の大きさの黒っぽい色をした金属が突き出ていた。

「あれは、大昔の文献に書かれている古代竜に特徴が似ておる。それによれば300年前に王国に現れた闇属性を持った古代竜でいくつかの村を滅ぼし、都市に現れたところを当時の騎士団や王宮魔術師達が追い払った、と書かれておった」

「だからゾンビ達が普通より知能が高かったのか」

と魔法を放ちながら話していたが、

「あやつを倒せば他のゾンビは動きを止めるはずじゃ」

との言葉でドラゴンゾンビに魔法使い全員で攻撃を仕掛けるが、ドラゴンゾンビはブレスを発射しほとんどの魔法を打ち消す。

ブレスが迫って来る度に塀は壊され、負傷者が増えていった。

「このままじゃいずれ押し切られるわ。テンマ、私たちが惹きつけるからゾンビに攻撃を与えてきてちょうだい!」

と母さんが指示を出してきた。ドラゴンゾンビは門まであと500mといった所まで迫ってきている。

「わかった、行ってくる」

と言い俺は空高く舞い上がり、ドラゴンゾンビの真上へと飛んだ。上空50mの辺りから俺は魔法を発動させる。

「アースニードル」

まずは地面からの連続攻撃で動きを止める。

「ウインドカッター」

続いてゾンビの体の表面に切り傷をつけていく。

「ファイヤーバレット、ファイヤーランス」

最後に火属性の貫通力のある魔法を連発していく、ドラゴンゾンビは俺に対処しようとするたびに、母さんたちからの魔法攻撃で邪魔をされ、なす術なく俺の攻撃をその身に受けていく。

何十発の攻撃を食らわせただろうか、あたり一面には砂煙が立ち込め視界を塞いでいた。

数十秒後、煙が晴れたあとに姿を現したのは、横たわりピクリとも動かないドラゴンゾンビの姿だった。

今度こそ生き残ったと歓声を挙げる村人たち、防衛隊の皆は外に出て残りのゾンビを駆逐していく人もいる。

門の近くへ降りた俺に、みんなが集まってきた。

「テンマ、よくやったわ!」

母さんが抱きついてくる、父さんはじいちゃんに肩を借りて近寄ってくる。

「テンマすごかったぞ!」

「その歳で古代竜をほぼ単独で倒したのじゃ、歴史に名が残るぞ」

と父さんとじいちゃんに続き周りの人たちも次々と声に出して褒めてくる。

そのうち一人がドラゴンゾンビの様子を身に走っていった。そのときは誰もがドラゴンゾンビは死んだと思っていた。

それが致命的な油断になるとも知らずに、

ドラゴンゾンビを見に行った一人が顔を覗き込んだ時、それまで光を失っていたゾンビの眼が赤く光りだした、そして…

「グウォォオオー」

「ぎゃぁああー」

突然の唸り声と悲鳴に固まる俺達、ドラゴンゾンビは急に息を吹き返して動き出した。口には一人の村人が咥えられている、即死であろう。

俺たちの動きが止まっていたことが致命的となった、ドラゴンゾンビはブレスを吐こうとしている、まずいと思った時、俺の体が真横に吹き飛んだ。

「ぐわっ」

何事かと見てみると父さんが俺を突き飛ばしていた、母さんとじいちゃんは魔法障壁を出しながらもこちらを見て微笑んでいる、父さん達の口元が動き声が聞こえた気がした。

「生きろ」

「生きなさい」

「生きるのじゃ」

と、

俺が何か言おうとした時、父さん達は薄黒い光線に飲み込まれていった。

俺は呆然となりその光景をただ見ているしかできなかった。