軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1章-19 災いに降り掛かる災害

じいちゃんの指示で俺は北門に来ていた。

奇襲を仕掛けてきたゾンビは見える限り、5000以上はいるだろうか、しかも未だに増えている。おそらくは村を迂回して来たのだろう。

俺は探知を使用しなかった事を悔やんだが、まだ致命的では無いと思い攻撃を開始した。

「ファイヤーストーム!」

ゾンビが俺に気付く前にファイヤーストームを3回放ち、ゾンビの群れの前列付近にいた奴らを火の海に沈める。

しかしゾンビの後列は、火の海など気にしていないかのごとく前進を止めない。しまいには火は後列のゾンビの物量の前に消えていった。

「めちゃくちゃな戦法だな」

と誰かが呟いた。確かにめちゃくちゃではあるが、少数の防衛を数で押しつぶす、これは今の俺たちに対しては有効な手だと思った……ゾンビがそこまで考えているかは別として。

「じいちゃんの指示で応援に来ました!」

「おう、助かる」

短く言葉を交わし魔法を連発していく。

「アースニードル、ファイヤーボール、エアカッター!」

複数の属性魔法で敵の数を減らしていく。しかし後から後からゾンビたちは湧いて出てくる。

「キリがない。西門も心配なのに……一か八か『あれ』を試してみるか」

と呟き群れの中心にファイヤーストームを10発連射する、群れの中心部にいた2000程を焼き殺すがまだまだゾンビ達は残っていた。

500mは離れているのに、高温の熱波が砦にまで届く。

「テンマ!やけになって無駄に魔力を消費するのはやめるんだ!」

追いついてきた魔法使いが忠告してくるが気にせずに、

「皆、身をかがめるか下に避難するんだ。急いで!」

と大声で指示を出す。最初は皆戸惑っていたが、高威力の魔法を行使すると勘付いた魔法使いがすぐさま皆に伝えすぐさま行動した。それを横目に俺は魔法を唱えた。

「『トルネード』」

それは特に珍しい魔法ではなかった。強いて言えば、普通のものよりかなり強力だったが、それでもゾンビを一撃で100匹くらいを倒せるかどうか、というものだった………普通の状況だったならば、

過去に関東大震災において、約10万5000人の死者のうち約4万人はある 現象(・・) により一斉に命を落としたと言われている。

その現象は大規模な火災により、大量の暖められた空気が一気に上空へと向かう瞬間に起こるとも言われている。

その名を『火災旋風』、その災害は自らが周りの空気を取り込みながら大きくなり、熱を伴う竜巻の温度は1000℃を上回るともされる。

テンマはその自然災害を魔法を使い再現してみせたのだ。

だが、これは一種の賭けでもあった、なにせ『火災旋風』は発生のメカニズムなどは、前世でも完全に解明されていなかったのだから。

賭けに勝ったテンマは、 火災旋風(ファイヤートルネード) をゆっくりとゾンビが湧いてくる方向に進ませた。

ゾンビ達は旋風から逃れようとするが、結局は旋風に吸い込まれて焼かれ、刻まれ、粉々にされていく。数分の間に北門に向かっていたゾンビの群れはほぼ全滅状態となった。それを見届けたテンマは、魔力でファイヤートルネードを弱めていく。

「すげぇ!ゾンビどもが消えちまった!」

「ざまあみやがれ!」

「あとは死に損ないだけだ!」

と北門の守備隊から歓声が上がり、生き残り達に止めを刺している。天馬は内心ホッとしていた。

(うまくいって良かった~。効果は高いけど使い辛いし、コントロールを手放したら下手すればこっちに来そうだし、消すのにも魔力が必要だし。場所にも気を付けないといけないな)

と思いながら、ポーションを3本も一気飲みした。

「テンマ、すまないがこれを急いで食べて西門へ向かってくれないか」

と守備隊の一人がそう言い、水とついさっき配られたサンドイッチを渡してくる。

「分かりました」

とサンドイッチを水で流し込むように腹の中へと収めて西門へと飛び立つ、腹の中が水とポーションでちゃぽんちゃぽんと音を立てていた。

俺が西門で見た光景は、北門と大差がなかった。

正確に言えばこちらの方はゾンビが、見た感じでは北門より多くいるように見えるのだが、その分魔法使いが頑張っていたのでゾンビの侵攻が止まっていたのだ。

俺は指揮を取っていたマークおじさんを見つけ声をかけた。

「テンマです。応援に来ました」

「テンマか、助かるぜ…ところでさっきの火柱はもしかしてテンマがやったのか?」

「はい、僕の魔法です」

と答えるとマークおじさんは驚いた顔をしていたがすぐに、

「ならこちらでも同じ事を頼めるか?」

と聞いてきたので、ゾンビたちの方を見て、

「やれます。ただ、他の魔法を使える方たちも協力してください」

と答え、魔法を使える人たちにゾンビの群れの中心部周辺に、ファイヤーボールを10発ずつ打ってもらい俺自身もファイヤーストームを5発放つ。

「皆さん下に避難してください!」

と指示を出し、北門と同じように『トルネード』を唱えた。

再度『ファイヤートルネード』が群れを襲いゾンビのほとんどを飲み込んでいく、消し去る頃には群れは全滅状態になっていた。

そのさまを見た防衛隊は歓喜の声を上げ、死にかけに止めを刺しに行こうとしていた。

テンマはそれを見ながら一旦東門へと報告に行こうとした時、南門の向こう側の森の中から激しく嫌な気配を感知した次の瞬間、薄黒い光線が南門を貫いた。

光線は砦の中心部近くまで届きあちらこちらから悲鳴が上がっていた。

南門は門と周りの塀の一部が吹き飛んでいて防衛隊の数人が直撃を受けたようだった。

「父さん、母さん!」

俺は、数秒固まったあと声を上げ、二人の無事を祈りながら南門へと急ぐのだった。