作品タイトル不明
328話 ブランザ領の復興 その3
「転移を使いたいか……」
帝都の商業ギルド本部においての、ブランザ領で売られた奴隷を取り戻すための話はスムーズに進んだ。ように見えたのだが、本部長が交換条件を出してきた。本部長は人の良さそうな笑顔を浮かべたお爺さんといった風情だが目が全然笑っていない、油断のならない人物に思えた。
「もちろんほんの時々で良いのです。月に二回、いやー回でも」
本部長がニコニコと揉み手をせんばかりに言う。帝国を統括する商業ギルドの本部の協力は魅力的ではある。しかしこれ以上俺は仕事は増やしたくないし、エリーやリリアに投げてそっちに余計な仕事を増やすのも論外だろう。
「わかるよ。転移、ものすごーく便利だよな。ランディーズ王太子殿下にも部下になれ。右腕にしてやるってめっちゃ勧誘されたわ。断ったけど」
「こ、断ったので?」
本部長が大げさに驚いて見せる。今の立場は微妙だが、|ランディーズ 王太子殿下(ウィルパパ) はまだ帝王の後継のままで少し前まで近々、帝王陛下の退位に伴って帝王となると見られていたのだ。
「俺の立場では国や個人、ましてや商売のために動くわけにもいかないのはわかるな?」
お金のために色々動いてはいるが、それは俺自身の判断でやっていることだ。人のために輸送サービスをするのとはまた違う。
「ですが月に一回くらいならさほど負担にもならないかと」
「確かにそうかもしれない」
「たったそれだけで商業ギルドと良好な関係を築けるのです。安いものではありませんか?」
しかし転移を交渉材料にして、それでここだけで終わるものだろうか。商業ギルドも使っているんだから俺にも使わせろ。そういった話が出るのは想像に難くない。それどころか商業ギルド自体が俺の転移を他に融通して利益を得るつもりかもしれない。
「うちは領地の復興も兼ねて色んな商売を手広くやるつもりだ。それに噛ませてやってもいい」
「うーん……正直一領地の商売では商業ギルドを動かすほどの利益にはなりませんな」
すべてを変えてしまう産業革命なのだが、さすがに千年計画までは掴んでいないか。人員を増やしつつあるが、その秘密はよく守られているようだ。
交渉は打ち切るか。奴隷商人を当たるだけなら商業ギルドの協力は特に必要もない。
「俺はいますごく忙しいんだよ。やってもやっても仕事が減らないどころか増える有り様だ」
人に投げれる仕事は投げてはいるが、俺にしかできない事が多いし、剣の修行なんかの個人的な事もある。
「そんな時にほんのちょっとだからって、追加の仕事をいれるとか無理だ」
「それはわからないでもないですが……」
同情するように本部長は言う。
「ではその仕事がもう少し落ち着いてからということでどうでしょうか」
俺の仕事は二〇年は終わらんが。なんなら場合によっては千年計画は二〇年後も続いてそうだ。
「よし。諦めるわ。時間を取らせて悪かったな」
奴隷解放はマイダス子爵にがんばってもらおう。
「は? お、お待ちを! 何か落とし所があるはずです!」
スッと立ち上がった俺を、本部長が焦って引き止めにかかった。落とし所って言われてもなあ。俺は命を狙われているし、転移使いを奴隷にしてでもほしいって権力者もいる。そのために常に護衛をぞろぞろ連れている状況なのに、不特定多数に利用させるなどそもそもが危険すぎるのだ。
ふうむ。計画の話を少ししてみるか。どっちみち商業ギルドはどこかで絡むだろうし、それなら初期からトップを引き込む利点はありそうだ。人材、資材、資金。どれも期待できるはずだし、俺の仕事を手伝うなら転移もついでに使わせるのもいいかもしれない。
「要は輸送手段、連絡手段が欲しいんだな? もし転移以外でそのようなものがあったら?」
ソファーに座り直してそう話し始める。それに計画に、そのものズバリの研究があるじゃないか。
「ほほう。それはどのようなものなのでしょうか?」
「望遠レンズは見たことがあるか?」
「はい。一度見せてもらったことがあります。ずいぶんと評判ですな」
「狼煙ってあるだろ? 望遠レンズを使えば狼煙の距離と精度をもっと上げられる。具体的には手旗信号というものがあってな」
そう言って手旗信号の理屈を説明する。赤白の旗二つの組み合わせで、数字から文字まで表現する。この世界の言語は英語に近く、文字数が日本語より少ないから対応表は簡単に作れる。
「一〇キロごととかに見張り台のようなものを置いて、手旗信号で通信をリレーで送るわけだ」
「理屈はわかりますし面白い話ですが、それはうまくいかないでしょう。魔物の襲撃にどう対処しますか?」
人の手による目立つ建物だ。当然魔物は狙ってくる。だからといって見張り台ごとに兵士を置くのもコストがかかりすぎる。だがこれは信号を送るという概念を説明するための前置きだ。今更手旗信号など使うつもりはもちろんない。
「そうだな。じゃあその信号を別の方法でものすごく遠方にでも送る手段があったとすればどうだ」
俺の話を本部長は真剣に聞いている。
「特別な管に光を通せるようにするんだ。そしてそこに光の点滅で信号を送ってやる」
光通信だな。電気ならすぐにも実用化できるから、光で話したのはここでの話が決裂するかもしれないから、情報をなるべく与えないためのフェイク情報だ。
「光は一瞬で遠方に到達する。転移なんかに頼る必要はない。連絡は送り手と受け手の二名でいいし情報量の制限もない。そのうち帝国の端と端で会話すらできるようになる」
「そのようなこと、本当にできるのですか?」
「間違いなくできるし、試作品はすでにある」
「で、では輸送の方はどうなのでしょう」
本部長は食い気味にそう聞いてきた。
「話してもいいがその前に、この話は帝王陛下も関わっている極秘の計画だということを教えておく。今話したこと、これから話すことは絶対に外部に漏らさないと約束してくれ。もし漏らすものがいれば帝王陛下からお怒りをもらうことは確実だ。秘密を約束できないというのなら話はここで終わりだ」
帝国人は帝王陛下のことを持ち出すと大人しくなる。楽なものだ。
「私は商売人です。商売人は顧客の情報を漏らさないものです。ここでの話が外部に漏れることは絶対ないと約束しましょう」
「それで輸送手段だったな。今のところ馬やフライの全速力の三倍程度は実現できている。一年か二年ほどで五倍か一〇倍程度は達成できるはずだ」
問題は飛行距離だが、そっちはまだ見通しが立っていない。エンジンか電池のいいのができないことにはダメだが、それが一番難しいのだ。
「マサル様のお仲間が召喚するドラゴンにでも乗って移動しますか?」
「価格も馬程度で、しかも誰にでも使える手段だ。馬車の馬の部分をもっと早いモノに変える。フライを魔法に依らず実現する。そうだな……水車を考えてくれ。水車の回転を馬車の車輪に伝えることができれば?」
手元に蒸気の模型があれば良かったが、あれはエルフの里に置いてある。また作ろうかとも思ったが、必要ならエルフの里の諸々の設備を見せればいいだけだった。この例はどちらも馴染みのあることだけに、想像がしやすいようだ。
「それは確かに、水の勢い次第で馬よりも早く水車は回りましょうが……」
「馬車の上に川は用意できない。だけど火の力で水車、車輪を回せる機構が作れたとしたらどうだ? 家にある料理釜くらいのサイズなら馬車にも積めるだろう?」
「ううむ。想像もつきませんな」
「いつでも、どれほど遠方へでも情報を送れる連絡手段。帝国の端から端まで半日で移動できる手段。俺たちは今そういう物を作ろうとしている」
「ふむ。それはまだ作れてはいないということですな?」
俺の言葉が絵空事や大言壮語とでも言いたげだ。
「望遠レンズは見たんだろう? あれも俺が考えた物だ。輸送連絡手段もすでに試作品はあるし、望遠レンズが玩具に見えるような物がいくつも完成している」
「それはぜひとも拝見したいですな!」
じゃあ見せるか。エルフの里へは一瞬だ。いや先に奴隷の話だな。連れて行って説明するには時間がかかりすぎる。今日は無理だ。
「俺に協力するかしないか。協力しないなら、もちろん話はここまでだし、お前が試作品を見ることもない。見るのは完成品を売りに出す時だな。望遠レンズみたいに」
「ブランザ領とゴールドハウブズ領で売られた奴隷の回収ですな。もちろん喜んで手伝わさせていただくつもりでしたとも」
「よし。ではまた後……明日の午後にでも来るから、奴隷商人への渡りをつけて、すぐに買い戻せそうな者が居れば、王家の森のエルフのところへ届けてくれ。資金もすぐに用意しよう」
そう言って立ち上がる。
「お、お待ちください! 輸送や連絡手段の試作品は見せてもらえないのですか?」
「当たり前だろう? 奴隷商人を紹介する程度で宝の山に手を突っ込めるとでも思ったのか? 本来なら部外者にここまで話すことはないんだ。もしこれ以上の交渉がしたいと言うのなら、まずはそちらが誠意を見せるんだな」
「し、しかし……」
「話を聞いてやりたいが、さっきも言った通り俺は今ものすごく忙しいんだ。ああ、それから念を押しておくがこの話は本当にここだけの話にしておいてくれ。こいつは帝王陛下肝いりの計画で、帝国の責任者はランディーズ王太子殿下だ。真偽院も協力してくれて情報漏洩には気をつかっている。もし嗅ぎ回って竜の巣に頭を突っ込むようなことになっても責任は取れんぞ? 心配するな。働きには相応に報いてやる」
そう一気に言って今度こそ本部長の前からさっさと立ち去った。相応に、ではあるが。奴隷探しはどの程度が妥当だろうか。
さて次は……ブランザ領に一度戻るか。
転移でブランザ伯爵の館に戻ってみるとリリアとイオンだけ戻ってきていた。ゴールドハウブズ領に行ったエリーはやはり手間取っているのだろう。気にはなるが、俺もリリアたちも行ったことがないので転移はできない。まあ少し待てば戻ってくるだろう。
「権力って大事だな」
ギルド長はすぐに商業ギルドに戻っていって、マイダス元子爵は監禁されている仲間のところへ、自分の今の状況を説明に向かった。さっそく奴隷探しのための部下を集めるつもりだという。
「それはそうじゃろうが、一体どうした?」
詳しい話は二度手間になるからと、今は休憩、雑談タイムである。
「いやな。この町の商業ギルドの後に帝都の商業ギルドの本部に行ったんだけど、ずいぶん話がスムーズに進んだなと」
「それもそうであろう。今では帝国ですらマサルの意向を無視できぬ」
「今はね」
そう。今でこそ、今だからこそ、こうやってかなり好き勝手できるのだ。おそらく帝都の商業ギルドの本部長となれば、本来なら俺では顔も見れないほどの権力者のはずだ。それが俺が強気に出ても懇願するくらいしか手立てがない。
「千年計画を進めている俺の知識は最初からあったわけだ。初期のうちにやろうと思えばどうなってたかなと」
研究には時間がかかる。もっと早くから始めていたらと考えたことがある。だがそうなるとティリカやアンとは知り合えただろうが、エリーどころかサティとも会えなかったかもしれない。
そして当時の実力はハーピーにも負ける程度だ。調子に乗って知識を披露したところで、商業ギルドや大手の商人。あるいは王国の権力者にとっ捕まっていただろうか。
使徒って地位はあるからそう無体なことにはならなかっただろうが、相当自由が制限されていただろうことは間違いない。
「マサルが忙しいとエルフの里は助からなかったかもしれぬな?」
「エルフの里を救えって神託もあったから……でも仲間も揃ってない、修行もおろそかでは難しかったかもしれないな」
エルフの里が陥落すれば、王国のあの辺りの地方はヒラギスのようになってしまう。いやその前にゴルバス砦も危ないな。ゴルバス砦とエルフの里が落ちれば、王国の領土は恐らく王都まで後退することになる。
そうなると商売や知識の活用なんて言っている場合じゃないし、シオリイの町で活動していたウィルも、俺の助けも得られず死んでいただろうか。そしてエリーがいなければ帝国にも行かないし、ヒラギスも救えなかった。
それどころかシオリイが大規模に魔物に襲撃されては、俺も生き延びられなかったかもしれない。
火薬を作ればどうにかなったか? だがそれもなあ。
「実に恐ろしい話じゃな」
「でもマサル様はそれを選ばなかった。正しき道を選ばれたのです」
「最初の神託にあったんだ。町に籠もるのはお勧めなしないってな。神に導かれているんだよ」
千年計画もイオンとの出会いにより、人族がこの世界に降り立った時の契約を知ったことによるものだ。
引き篭もるな。エルフの里を救え。ヒラギスを救え。千年計画を進めてもいい。だが火薬は作るな。
火薬の製法はシンプルだ。もしスパイをしているダークエルフに火薬のことが漏れれば? 領土も人口も一〇倍以上の相手と双方が銃と大砲を手に、同等の火力で戦うことになれば? 人族に勝ち目はない。それどころか殲滅速度は確実にあがる。
「たぶん今のルートが正解ってことなんだ」
仲間を集め、冒険者として十分に力を高めたところで知識チートにかじを切る。転移があって拠点も固定していないから、引き篭もることにもならない。
「何が言いたいかというと、ブランザ領復興も、ライナス川やミズホ開拓も回り道のように見えても、きっと意味はあるんだ」
「別に回り道とも思ってはおらぬが、あの者を配下にしたのもそうなのかの?」
「マイダス子爵はそんな大げさな話じゃないだろう。エリーとか クライアンスが反対するなら子爵は 使わなくてもいいよ」
「マサルが使いたいというのなら誰も反対せんじゃろ」
「あんまり俺の判断を盲信されても困るんだけどな」
「それこそあのものの処分は特に重要ではないということじゃな」
子爵がうまくやれば男爵に復帰させる程度は問題ないってことか。それはそれで助かるな。子爵に前言を撤回しないで済む。
そんなことを話してるうちにエリーたちが帰ってきた。
「借金がかなり残っていたわ。どうもグリンダの活動資金に大量に流れていたようなのよ」
すぐにそう報告をしてくれる、ダークエルフがどこまでも祟るな。しかも鉱山の枯渇と二年連続の不作の影響まであってゴールドハウブズ領の経済状況もかなり悪化していたらしい。
「鉱山には行かなかったのか?」
「鉱山は五カ所ほどあるし場所が場所なんで、いま転移ポイントを作りに行ってもらってるわ」
いい話としてはゴールドハウブズ領はさほど荒れてはいないそうだ。税は低くはないが常識の範囲内で、さすがに父祖伝来の土地は大切に扱っていたらしい。それからゴールドハウブズ家の蓄財は期待できるから、借金は完済とはいかないまでも、ある程度はどうにかなりそうという話である。
「ただそれをすると、領地の運営資金がね」
税収はすぐには得られないし、ブランザ伯爵家で雇う人員や領民軍の整備や運営費用はすぐにも必要だ。鉱山も再開するならドワーフを雇い直す必要がある。
「資金は用意できた。限界まで頼るが良いぞ」
「ありがとうリリア。頼らせてもらうわ」
エリーも余裕がないらしい。疲れた声でそう言った。
「うちからも食料搬出の準備はできましたし、資金の方も必要でしたらいつでもご用立ていたしましょう」
「助かるわ、イオン。食料の代金はいかほどかしら?」
「マサル様にいただいた国歌の報酬と引き換えで良いとのお兄様からの言付けです」
国歌はそもそもがパクリだし金を取るようなことではないとは思うが、人道支援の食料と引き換えなら悪くない話か。それにお義兄さんも俺に借りを作りたくはないのだろう。
「わかった。遠慮なく受け取ることにしよう。それから俺のほうだけど……」
奴隷解放の進捗。子爵を配下にしたこと。エルフショップとレストランの話に、帝都の商業ギルドとの交渉のことを説明していく。
「マイダス子爵はエリーがダメと言うのなら、断ることにするが」
「マサルが決めたならわたしは特に思うことはないわ。元々ゴールドハウブズ家の者でも使うつもりだったし、子爵が協力的なら残ってくれる者も増えるだろうしね」
「マサル殿の配下として動くなら平民では都合が悪いだろう。こちらで臨時の法衣男爵位を用意しよう。正式な叙爵をするならブランザ家から申請するといい」
そうクライアンスが言う。法衣貴族は一代限りだがずっとその地位についていられるが、臨時の法衣男爵というのは職に付いている間の期間限定の貴族位だそうだ。貴族を相手にする仕事だと、平民と男爵では扱いが違いすぎるから利便性のために用意されているようだ。もちろん功績が認められてそのまま貴族になることも多いから、貴族になるための試用期間的な意味もある。
「それから商業ギルドは計画に参加させるということなのかの?」
「あー、そこはまだ決めてない。とりあえず帝都の本部長の出方次第で明日か、それ以降に連れて行くことになると思うけど、それもまだ未定だ。ドワーフのように必須というわけでもないけど、大きく産業を動かす以上、どうせどこかの時点で協力させることになるし、それなら早い段階から話をしておいたほうがいいだろう?」
そう説明していたところにクライアンスがスッと手をあげて俺の注意を引いた。
「その計画というものだが、どういったものなのだ?」
思わずクライアンスを見る。
「言ってなかったっけ?」
「王家の者でも情報はがっつり制限されてますから、何かやっているのは知られてますけど、内容までは関係する者以外には一切教えてないっすよ」
俺の疑問にウィルがそう答える。
「ウィルの姉妹まで知ってたから公然の秘密みたいな感じかと思ってた」
バイオレットたちまで知っていたのかと、クライアンスがショックを受けたようにつぶやく。まああの二人は俺の婚約者候補だったし、ある程度はね?
「兄貴のことは、ほんとうに厳しく情報統制してるんすよ。ほら、俺たち以外の王族って見たこともないでしょ?」
そういえばそうだな。帝王家はウィルの兄弟姉妹だけでも一〇人とかいたはずだし、他も子沢山らしいのだが見たこともない。
「兄貴との接触は危険なんす。劇物っすよ」
「あー」
俺と関わったらエルフと戦争になりかけ帝城が陥落しかけるわ、王太子殿下は王位継承権の取り消しまで取り沙汰されるわ、次の次の王と目されていたクライアンスも俺の部下に成り下がってしまっている。
「それでもチャンスとみて利用しようとする者もいるんすけど、そういうのは兄貴は嫌いでしょ?」
俺がウィルに帝国への対応を任せたのもあって、うまいこと遮ってくれていたらしい。
「そうだな。面倒を持ち込まれなくて助かる。これからもその調子で頼むわ」
「それでクライアンス殿下は案内してもいいのね?」
「そうだな。千年計画も知っておいてもらおう。詳しいことは後日でいいが、何をやっているかは今からでも説明をしてやってくれ。俺は神国に食料をもらいに行ってくる」
大量の食料輸送となると、俺のアイテムボックスが必要だ。神国に行くのはなにげに初めてだが、今回はトンボ返りだろうな。
「そのあとは千年計画の関連でエルフの里へ行く。あとは……」
セラミックの剣を作って、鏡の量産を頼んで、それからエルフレストランの拡張だな。
「鉱山は私が見るわ」
アンがそう言うので頷く。一気に忙しくなったから手分けして動かざる得ないか。
「今日はもう各自で動くとして、明日の朝にエルフの里で集まることとしよう」
その俺の言葉を合図にそれぞれが動き始めた。たぶんエリーはここに泊まりだろうが、俺は手伝えることはさほどない。とりあえず今日やれる作業をやれる限りやって、今後の計画、予定の修正は明日また考えることになる。
まずは目先のことから。一つ一つ、やれることからだ。