軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

327話 ブランザ領の復興 その2

奴隷解放のため商業ギルドへ子爵を連れて行ったのは正解で、顔パスで偉い人へとすぐに会えた。

「これはこれはマイダス子爵様、此度はどのようなご用件でしょうか?」

個室で腰も低く出迎えたのはこの町の商業ギルドのギルド長でどこか疲れた表情のおじさんである。そして丁重な態度だが、子爵はどこか警戒されている様子である。フル武装の護衛を何人も連れているせいかもしれないが。

俺は冒険者装備のままだから護衛だと思われてそうだと、手を上げて注意を引いて話しだした。

「マイダス子爵はただの付き添いだから気にしなくていい。今回商業ギルドに来たのは領主がゴールドハウブズ家からブランザ家に戻ったのを知らせるのと、ちょっとした頼みがあるからだ」

さすがに驚いて何か言いたそうにしているが、本題は別だ。とりあえずソファーに腰を落ち着け、ギルド長と向かい合う。子爵はさすがに立場を弁えたのか、俺の横に立ったままだ。

「新しい領主はエリザベス・ヤマノス・ブランザ伯爵で、俺は旦那のマサル・ヤマノスだ。ああ、俺は無為無官のただの冒険者だから、礼儀とかは気にしなくてもいい。それで領主交代の件は後ほど正式に布告があるはずだ」

思わずギルド長が子爵のほうを見るが、子爵は黙って頷くしかない。

「ゴールドハウブズ家は鉱山の違法操業で家門断絶。ゴールドハウブズ領も併せてブランザ家が統治することになった」

よくなさそうだが説明すると長くなるし、商業ギルド的には変化はない。統治者が変わっただけで、帝国内であることに変化はないからだ。しかしこんな話、いきなりされて俺だけだと絶対にすぐには信じてもらえなかっただろうな。子爵を連れてきて良かったわ。

「少し前に鉱山が閉鎖されたのは聞いておりましたが、違法操業ですか?」

「帝都の横を流れる川に鉱毒を垂れ流していて、それを知った帝王陛下がお怒りでな? 帝国中の鉱山を調べさせて、昨日ゴールドハウブズ伯爵の死刑が確定した。他にも鉱山でやらかしたところは相応の罰があるはずだが、詳しくは知らん」

「そ、それはまた……」

「まあ、そっちはそのうち話が流れてくるだろうし、今日は別の用件がある」

そうしてようやく本題の奴隷の話をすると商業ギルドのギルド長も前例のない話だと最初は驚いていたが、話自体には同情的で協力を約束してくれた。

奴隷商人は完全登録制で、この領地で活動している者を問題なく特定できた。奴隷商人を勝手にやるのは犯罪であるようだ。

商業ギルドから近場に店舗がある奴隷商に使い出してくれて、いま在庫になっている分にはまず間違いなく取り戻せそうだ。

しかしそれには当然ながらお金も手間もかかる。奴隷はほとんどが領地外へと売られていく。やはり知り合いのいる土地では売られるほうも辛いのだろう。帝国全土、時には他国にまで送られることもある。すべて調べてブランザ領まで送り返してもらう。大変な労力だ。

「帝都に拠点のある商人にはこちらでも当たろう」

そこまではまだいいのだ。しかしすでに売れた奴隷はどう取り戻す? 売った先が身元のはっきりしている貴族や商人とかならいい。俺みたいな根無し草の冒険者が買ってしまったら、サティなんて王国で買って、いまは帝国である。ギルド長も難しい顔だ。

「売れた者まで取り戻すとなると大変な手間がかかりますね……」

見つけたとて素直に買い戻しに応じてくれるかどうか。中古奴隷を戻すときは普通は価格は安くなる。しかし買い主が奴隷を気に入って手放さないと言った場合は?

専用のチームを作って地道に探して交渉して、じっくり回収していくしかない。クライアンスは頼れない。これは俺たちの我儘だ。ここは一旦持ち帰って相談だな。

「資金は問題ない。まずは一〇〇〇万ゴルドを当座の資金として用意するから、すぐに買い戻せる者は領主の館に連れて来てくれ」

まだもらってもいない治水の報酬であるが、リリアがそれくらいは用意してくれるだろう。一人五〇〇万円として二〇〇人は買い戻せる金額だ。

総額はいくらくらいだろうな……二〇〇〇人としてもこの一〇倍、資金が必要となる。ちょっと頭が痛くなってくるな。

「ところでゴールドハウブズ領もブランザ伯爵が統治されるということですが、そちらで売られた者の対応はどういたしましょうか?」

「!?」

確かに! もはやゴールドハウブズ領もうちの領地なのだ。

「子爵、ゴールドハウブズ領はどうなんだ?」

「そ、それは税が払えなければ当然……」

奴隷か鉱山か。これはゴールドハウブズ家の常套手段だったらしい。それともダークエルフが唆したのか? なんでもかんでもダークエルフのつもりにするつもりもないが、いかにもありそうな話である。

「ゴールドハウブズ領も同様の処置をする。犯罪奴隷以外はブランザ家で買い取る」

やると決めた以上、徹底的にやる。じゃあ帝都の後はゴールドハウブズ領の商業ギルドか。

「犯罪奴隷も場合によっては……」

そうギルド長が話す。つまり本当の意味の犯罪ではなくて、ゴールドハウブズ家に無礼を働いたとか逆らったとかで犯罪扱いにされたケースだ。

「犯罪奴隷もちゃんと調べて対応しよう」

「期間は五年前までで?」

「ブランザ領でゴールドハウブズの統治が始まって以降だな」

それ以前、経済的困窮で売られた者は? さすがにどこかで線引きをしなければ。

とりあえずお金の相談をする。商業ギルドに口座を作ってお金を入れて、販売前の奴隷は多少の経費を乗せて、ギルドのほうで買い戻しの交渉を代行してくれるという。販売後の買い戻しに関しては商業ギルドの権限外だ。多少の協力は期待できるが、俺たちでやるしかない。

「ところで新しい領主のエリザベス・ヤマノス・ブランザ伯爵様というのは、前ブランザ伯爵のお嬢様の?」

話が一段落ついたところで、ギルド長がそう切り出す。前領主の忘れ形見だ。名前くらいは知っていたようだ。

「そうそう。まだ若いけど有能だぞ」

「ほう。よろしければ奥方様がどのような方かお聞きしても?」

今後の付き合いもあるから、領主のことは知っておきたいのだろう。

「そうだなー。エリーは魔法使いの才能があったから家を出て冒険者をやっていてな。稼いだお金は実家に送金して借金返済の足しにしてたんだ。伯爵令嬢なのに普段は飾ったところのない、なかなかの苦労人だぞ。ああ、実家ってのは辺境に飛ばされたブランザ男爵家だな。エリーの兄がブランザ家を継いでいて、今回もブランザ伯爵に戻る話もしたんだが、功績を上げたのはエリーだし、自分はもう田舎でゆっくりとしたいと伯爵位はエリーに譲ったんだ」

「功績というのはどのような?」

「ヒラギス奪還での活躍だな。で、ウィルフレッド王子。ランディーズ王太子の末の息子が修行か何かで冒険者をやっていたのを、エリーと俺がたまたまが拾って、パーティに同行してた縁があって、ヒラギスの後、ウィルフレッド王子を帝都に送ったりして帝王陛下とお会いして、仲良くさせてもらっているんだ」

まさか家出してたとは言いにくい。

「ヒラギス……ああ!? マサル・ヤマノス、ヒラギスの勇者?」

ヒラギスと聞いて勇者のことを思い出したらしい。田舎でもちょっとは知られているんだな……

「ああ、まあそのこともあって、領地返還のことは帝国も俺との関係を深めたいってこともあるんだ。俺への爵位の話もあったけど、俺は王国の人間なんで諸々のことはエリーにってな。それでだ、色々あって、ゴールドハウブズ伯爵の鉱山の違法操業が明るみに出た時に、ついでに前ブランザ伯の過去の失態の再調査もやってもらって、ブランザ伯に罪がないことが判明して、ブランザ領と、ついでに取り潰されたゴールドハウブズ領も受け取ることになった、ということなんだが……」

うーん。これじゃ説明がガバガバだな。

「つまるところ前ブランザ伯爵はゴールドハウブズ伯爵に嵌められたんだ」

「確かに当時は色々な噂が……」

言いかけて子爵を見てハッとする。

「こいつも爵位はもう剥奪されてもうないから、あまり気にしなくてもいいぞ。ゴールドハウブズ伯爵家に近しい者は領外追放が決まっている」

「そ、そのことなのですが、マサル様のお力添えでどうにかなりませんかねえ!?」

「帝王陛下はお怒りだし、それをして俺に何の得がある?」

できなくもないけど、こいつに便宜を図る理由なんて欠片もない。

「そ、そこをなんとか! 私は鉱山にも関わってはいなかったのです!」

ブランザ領は遠からずゴールドハウブズ領と統合される予定だったから子爵はお飾りで、権限もほとんどなく、言われるままに働いていただけなのだと言い訳をする。

「どうか! なんでも! なんでもやりますから!」

「ん? いまなんでもって言った?」

なんでもか。なんでもとなると、ふうむ。

「そりゃもうなんでもやらせていただきます! これでも経験豊富なのです。領地の運営でも他家との折衝でも、軍務にも付いたことがありますから軍の指揮までなんでもできます!」

「商人の相手も?」

「もちろんですとも!」

やる気は買うが、俺はこいつのことをさっぱり知らない。仕事ができるというのも本当かどうかもわからん。しかしうちにも余計な人材はいないのだ。選り好みできる状況でもない。

「ギルド長から見て、子爵は仕事ができると思うか? 後で調べればわかることだ。正直に答えてくれ」

「貴族としての能力にはさほど欠ける面はないと思います。ただ……」

あまり評価はしないがそれなりに能力はありそうってところか。あと言い淀んだのは不正の話だな。

「こいつが個人的に蓄財をしているのは知っている。それは許せそうなレベルなのか? 仕事を任せて領民に襲撃なんてされてたらまともな仕事にもならんからな」

「それなりに恨みは買っているでしょうが、貴族を襲ってまでということはないと思います。しかし平民に戻ったと知られれば、ちょっとわかりませんな」

貴族を襲ったとなれば、運が良くても生涯奴隷で、大きな怒りを買えば本人ばかりか家族や周囲にまで類が及ぶ。ふむふむ。護衛がしっかりしていればいいのか? それともブランザ伯の部下ということを明確にするか。

「蓄財の他に何かやばいことはやってないよな?」

「や、やっておりません、たぶん……」

「ほんとか? うちには真偽官がいるから後で調べてもらうぞ?」

「え? あー、大丈夫。きっと大丈夫です!」

ティリカには気が付かなかったのか。まあさっきは人がいっぱいいたし、それどころでもなかったんだろうな。

「よし。じゃあお前にある仕事を任せようと思う。そいつをやり遂げれば口添えでもなんでもしてやろう」

「な、なんなりとお申し付けください!」

「アッセイスト・マイダス、お前が奴隷を取り戻すんだ」

話を最初から聞いていただろうし、この領地に出入りしている商人になら顔も効く。それで任せてみてダメそうなら改めて開拓地送りにすればいい。

「私が奴隷を!?」

何を驚いてる。今の話の流れでそれ以外ないだろうに。まあ売り払った側のこいつにやらせようっていうのが結構酷い話であるのはそうなんだが。

「奴隷商人たちと交渉して、売れた奴隷を帝国中探してまわり、取り戻す。何年でもかけてだ。やれるか?」

「や、やります! ですから爵位のほうは……」

「お願いはしてやるが、確実なことは言えないぞ?」

俺から言えばどうにでもなりそうだが、所詮は他国どころか異世界人。この世界の政治や爵位は未だにわからない部分も多い。

「元は男爵だったのです。戻れるなら生涯、マサル様にお仕えします」

そう言って膝を折って頭を深々と下げる。男爵なら伯爵家の権限でいけるか? 領地もブランザ領でも開拓地でもなんともなりそうだし。

しかし俺に仕えられても困るんだが、まさかこいつに加護とか付かないよな? うーん。エリーもゴールドハウブズ家の家臣でも使うつもりはあったようだし……加護が付く可能性も考えておくべきなのか?

よし。問題が起きたら起きたでその時だ。やる気のある部下が手に入ったと思って、深く考えないようにしよう。何より万が一がある。もし加護がつけば儲け物だ。

「俺の配下になるなら、言っておくことがある、俺の方針は民に優しくだ。ゴールドハウブズとは真逆だぞ? もちろん不正とか税の誤魔化しも許さん」

もちろんですと、子爵がぶんぶんと頷く。

「俺は神の使徒だ。エルフを救い、ヒラギスを救った。帝都でも鉱毒で苦しむ人を無償で治療してまわった。それから今回の奴隷の件もだ。報酬もないどころか、いくらかかるかもわからん。俺の目的は人を助けることだ。わかるか? 俺の部下になるってことはそれを手伝うってことだ。いままでのような生き方はできんぞ?」

「マイダス家を残していただけるなら、マサル様の名に恥じぬ、民に慕われる良き領主となりましょう」

そう言ってアッセイスト・マイダスは深々と頭を下げた。

「いいだろう。忠誠は行動で示せ。それに必ず報いると約束しよう」

万一帝国でダメなら王国かヒラギスにでもねじ込んでやろうかな。もちろん仕事ぶり次第となるが。

「誓ってマサル様には後悔はさせません」

さて。じゃあ次は? 急がないと奴隷が売れると面倒だしまずは帝都だ。帝都の商業ギルドへ行って話を通す。帝都では子爵は役に立たんか。俺も名乗ればそれなりの扱いになるんだろうが……

「これから帝都へ転移魔法で移動するが、ギルド長もどうだ? 紹介状を書いてくれるだけでもいいが」

「転移? 人を転移できるのですか?」

「何人でもな。ところで帝都の商業ギルドの場所は知っているか?」

帝都の商業ギルドの本部は貴族街のすぐ側にあるらしい。王家の森から徒歩距離だな。さくっと行って戻ってこよう。

ギルド長も行きますと頷いたので、廊下で待っていたエルフの護衛も部屋に入れて、一人にエリーたちへの伝令をお願いして、すぐに転移を発動させる。

「おお、これが転移魔法……ここは?」

「王家の森のエルフの居住地だ」

その一室の転移ポイント、なのだが部屋から出ても全然エルフが居ない。

「マサル様!」

そうして玄関付近でやっとエルフを一人みつけた。

「人がいないけど何かあったのか?」

「それがお店が想定より盛況で、みんな応援に行ったのです」

「なるほど。人手は足りてるか?」

「はい。レストランのほうは材料切れで閉めたので、今はなんとか」

直接飛んで商業ギルドへ行くつもりだったが、そういうことならついでに様子を見に行くかと移動してみると、お店の周囲にはまだまだ人だかりができている。一応待機列の整理はできているようだが、相当長く伸び伸びとなっている。

二店とも広めに作ってあったが、それでも捌き切れてない。レストランは拡張してもいいかもしれない。それか早めに二号店、三号店を出すか。しかし工芸品の販売は物に限りがある。

帝王陛下の宣伝はやり過ぎだったかもしれないな。まあ閑古鳥が鳴くよりかはいいのだが。考えながら警備をしている知った顔のエルフが居たので声をかけた。

「繁盛しているようで何より」

「マサル様。それは嬉しいのですが、人が多すぎてどうしたものかと……」

「とりあえず列の整理をする必要がある。並んでもどうせ後ろのほうは入れないし、整理券を配って数を絞るんだ」

整理券とは、と問い返すエルフに説明をする。番号の書いた札か紙を用意して、順番に配る。番号順に入れていく。店の入口あたりによく見えるようにいま何番が入れるか掲示して、整理券を持ってる者の待機場所を隣に作って、ベンチとかを用意して待っていてもらうといいかもしれない。次は何番から何番の方どうぞと案内すれば混乱もない。

「閉店までに何人くらい入れられるかはだいたいわかるな? それを整理券で調整するんだ。そうしたら並んだ挙げ句、入れない者は居なくなる。整理券の配布が終わったところで、残りの人には今日はもう無理だと帰ってもらう」

「上手くいきそうですね。あと高位の貴族方への対応はどうしましょうか?」

「レストランは人員を増やして、店舗も拡大して貴族席を作ろう。工芸品店のほうは……」

別枠を作るか?

「いっそ午前中は当面は貴族にのみ開放するか? 日没後とかでもいい」

それでも混み合うなら予約制だな。

「なるほど。やってみます。それからガラスを売ってくれとの問い合わせがかなりきています」

昨日作ったばかりのガラスは店舗正面と、それからいくつかの陳列ケースとなってそれぞれの店を飾り立てていて、いい感じに仕上がっている。

「そっちは商人に任そう。そこまでは手が回らないだろ?」

どっちみち一般の流通に乗せることになるし、ドワーフたちも作り出すだろうし、エルフがこの店で販売する意味はない。

「そうですね。ガルソン商会に聞いてみましょう」

帝王家の御用商人で店舗を開くのに色々と相談に乗ってもらっていた商会だ。不足はないだろう。

「それで儲けはどんな感じだ?」

「レストランは作れば作るだけ売れますし、工芸品店もかなり品薄になってきてます。そちらの補充をお願いできないでしょうか?」

レストランはメニューを少なくシンプルにしたのはいい判断だったな。様子を見て品数を増やそうと思っていたが、当分今のままで良さそうだ。

「品薄は今日はもうそのままでいい。無限に商品が湧いて来るわけじゃないし、ある程度は仕方ない」

品薄商法だ。元々エルフの工芸品は希少で手に入りづらいのも人気の理由の一つだったのだ。

「あとは陳列用の見本を確保して売らないようにするんだ。見本につき非売品って但し書きを書いて」

商品がすっかすかなのは見た目が悪い。

「それでなんですが、マサル様にもセラミック剣を追加で作ってもらえないかと……」

「いい値段で売れるか?」

「マサル様お手製で、他では絶対に手に入らない品ですよ! 見た目も美しいですし、ミスリルどころかオリハルコン並みの値段でも売れそうです」

マジか。セラミック剣一本で奴隷を何人か取り戻せるじゃん。

「今日中に作れるだけ作る」

「助かります」

「よし。増援は必要ないんだな? じゃあまた見に来るからがんばれ。リリアたちにも状況は伝えておく」

そうして客を避けて貴族街に出る。

「あの店はマサル様の持ち物なのですか?」

貴族街を商業ギルド本部に向かって歩きながらそうギルド長が尋ねてくる。

「いや。なんというか、オブザーバー的な?」

「マサル様。あの店はリリア様がオーナーですから、マサル様の物です」

そう護衛のエルフが教えてくれる。あそこ、俺の店だったのか。初めて知った。エルフが俺の言う事を聞いてくれるのはいつものことだったし。

「そうなんだ? ああ、リリアってのはエルフで俺の妻の一人だよ」

それならもっと真剣に考えるか。レストランの増設は今日の閉店後、すぐにやったほうがいいな。幸い敷地はたっぷりある。二号店以降は現地人を雇用して、本店だけエルフ経営にして特別感を出すとかでいいか。あとは鏡だ。あれは量産は頼んでたっけ? 売れ筋商品確実だし、生産体制を早めに構築してもらわないとな。

奴隷買い戻しの人員も確保できたし、代金のほうもなんとかなりそうじゃないか? 俺はまた仕事が増えそうだが……