軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

10層 周回の結果

周回頑張るぞい、と息巻いて二日経過した。そう、二日だ。今は退屈な授業を右から左へ、西から東へ、インド人を右にしている。

え? 進捗?

んなもん休み無しで回ったから余裕だが?

そもそもレアモンスターなんているかも分からないから一通りドロップアイテムだけ回収して回っただけでまる二日かかったが、無事初出のドロップを手に入れて協会本部に鑑定をしてもらっている。

軽く使ってみたから結果は想像がついているものの、やはり買取価格とともに掲載したい。

ゴブリンどもが落とした武器類はともかくとして、スライムからは 回復薬(ポーション) が落ちたのだ。しかもゼリーバイキングしていたから複数個。

おかげで探索も捗るというものだ。

ボーッとしていると授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。帰りの支度をしていると携帯が鳴った。 回復薬(ポーション) の鑑定が終わったというメールだ。今朝出してこの速度は相当頑張ったんじゃなかろうか。協会も仕事してるんだなと思いながら早速協会本部へ向かうことにした。

平日だから話を聞いたり報酬について聞くだけだ。

今日は潜らないよ、うん。余程……でも寝なくていい体だからなぁ……。ちょっとだけ、先っちょだけならいいかな。よし、話聞いて数時間だけ潜ろう。ボススライムの周回をちょっとするだけだ。あいつだけまだアイテム落としてないからね。

カバンをほいっと肩にかけて席を立つ。

ふと、教室の一角の三人組が目に入った。いつもの三人組だが、明確にポニテワンコが焦燥していた。

明日までの宿題があったはずだからそれをやっていないのだろうか。ちなみに俺はもらった日に終わらせたから平気だ。巻き込まれないようにそっと教室を出――

「 兎渡香(ととか) ちゃん、落ち着いてください。まずは確認が先です」

「そうそう、案外大丈夫ってこともあるかもだし」

「でも……っ!」

なんだか物々しいな。でも分かるよ、数学の山本先生怖いからな。ネチネチ嫌味言うタイプで、寛容な俺も思わず手が出そうになったもん。

一瞬、ポニテワンコと目が合ったが、巻き込んだら悪いと分かってくれたのかすぐに諦めるように目を伏せた。

「……二人とも、ついてきてくれる?」

「もちろんです」

「ん」

そう言って三人は荷物を急いでまとめて走って行った。友達の宿題のために本気になれる青春、いいよねぇ。俺にはないものだ。

ちょっと羨ましく思いながらも、俺はいつものペースでひとり協会本部へ向かった。

「鑑定結果と査定額がこちらになります」

「おー」

スライムから落ちた、ここで名前も確定したローポーションは、簡単な外傷や骨折の治癒を行えるものという結果だった。服用方法は飲むか患部にかけるからしい。

買取価格は、探索者のあれこれで免税の50万らしい。……ごじゅっ!?

「【鑑定】のスキルによるもので名前も確認できたのですが、この感じですと“ロー”じゃないポーションもあると思いますので、またそれらしいものを発見しましたら――おーい、聞いてます?」

「はっ! すみません、金額に驚いていて」

高校生が一回の決済で見ることの無い金額だったので呆然としてしまった。【平常運転】のテコ入れが無かったから、普段からこんなんだとされているようで大変不服である。

いつもの受付の人(ロリきょぬー星人) がため息をつきながら、何かパソコンでカタカタした。

「その様子ですとこのまま買い取りでいいですね?」

「あ、はい。お願いしゃす!」

ふへへ……家にまだ数ダース分あるからそれも売ればもう働かなくても生きて……はいけないな。サラリーマンの生涯収入は二億とか聞いたことあるし、最低でもそのライン稼いでからだな。命に関わることもあるかもだし、一応あれは保管しておこう。

「これで、よし。口座の方もまたご確認くださいね」

「あざます! それじゃあ!」

「……あの、まさか今からダンジョンですか?」

「はい? ダメなんて決まりないですよね?」

ただでさえしょっぱくて探索者を本職にしている人なんてほとんどいないらしいのに、学生のことを縛っているのだろうか。

「いえ、学校帰りの格好で行くつもりかって話です」

「あー、そういえば制服でしたね」

すっかり忘れていた。まぁでもちょっとボススライムを飲みにいくだけだし。

「先っちょだけですから大丈夫ですよ! スライム目当てですんで! ね?」

「……まぁ1層ならいいでしょう。一応気を付けてくださいよ?」

はーいと元気に返事してダンジョンに入った。

何やら勘違いされたようだったが都合がいいので訂正はしない。入ってすぐに10層まで転移、ボス部屋に突入した。

「へい店主! ゼリーバー1時間コースで!」

ふふふふっ……。

悪い笑いが止まらない。今日はどうやらついている日だったようで、ボススライムからポロポロドロップを拾えたのだ。

「しかも“ロー”じゃなさげなポーションだし」

ローポーションは薄い水色だったのだが、今回はボススライムと同じ透明な黄緑色のポーションだ。飲んでみたところ、すこぶる体調が良くなった。【平常運転】の中でも絶好調な時の体だ。

手元にはそれが十数本。

「よし、もうちょい回収しよっと」

時間もまだ入ってから一時間弱、次ドロップしたら帰ればいいだろう。

いつものようにボス部屋の外へ出て、再度入るといつものボススライム――ではなく、なんだかメタリックなスライムがいた。

大きさはボススライムと変わらないが、明らかに金属みたいなコーティングのボディだ。

「め、メタルスライムか! 経験値くれるんか!!」

うひょーと飛び込もうとするも、スライムから槍が射出されて思わず回避。

想定以上の速度で掠ってしまった。腕にかすり傷が残る。制服が破れ、床に血が滴る。

「なるほどね?」

レアなボスだし、一応スマホでカメラを回してカバンを部屋の端っこに設置、その上に動画を回したスマホを乗せた。

「えー、攻略サイトの主です。今から仮称メタルスライムと戦っていきまーす」

攻略サイトにそのまま載せるつもりなので一応挨拶してから戦闘を開始した。