軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

068話 裏の裏

リハジック子爵領領都エッハ。

森を切り開いて作られた街で、人口はおよそ千二百人。主要な産業は、麦の生産と 麦酒(ビール) 造り。森の傍である立地を活かした養豚と、冬の間に行われる精肉。森の木の恵みを活かす製材加工業。そして、それらの産品の運搬業等々。

産業としても多様性があり、非常に豊かな町として知られているが、歴史自体はかなり浅い。元々小さな領地が幾つも混在していた地域が、大戦後に統合されて子爵領となり、その取り纏めの為に作られた比較的新しい町なのだ。

観光名所もちらほら存在するこの街には、リハジック子爵が生活する館も存在する。

出来てまだ十年ほどの真新しい屋敷で、見栄の為か屋根の辺りに飛び切りでかい彫刻があり、荘厳と見るか成金趣味と見るかは評価が分かれるところだ。

この屋敷、大戦を経験して以降に建てられただけあって、防御設備が整っている。

深い堀に囲まれた中に屋敷が立ち、跳ね橋を降ろさなければ館に近づけないようになっていた。

厳しく管理されている橋は、そう簡単に降ろす許可も出ない。一般人が近づけない理由がこれだ。

その跳ね橋が、今は降りている。

何故かといえば、来客があったから。

無駄に広い応接間の中。高そうな一人掛けソファに腰掛ける男。リハジック子爵家当主アロック=ハイント=ミル=リハジックは鷹揚に来賓を迎えていた。

「ようこそ。急なご連絡でしたので大したお持て成しも出来ませんが、精一杯のものを用意致しました。ささ、お座りください」

「ありがとうございます」

「ご厚意に甘えますわ」

リハジック子爵は二十代。若々しさと威厳のバランスが均衡する風体で、目の奥には隠しようも無い向上心が見え隠れする。良く言えば上昇志向、悪く言えば野望でぎらつく有様は、好き嫌いがはっきり二極化するだろう。

その男の前に、二人の人物とその護衛が居た。

片方は、来るかもしれないと子爵も予想していた人物。ペイストリー=ミル=モルテールン。かなりの確率で父親の方が来るかと思っていたのだが、息子の方が来た。

これ自体に驚きは無い。

歴戦の勇者と名高いモルテールン家の連中だ。リハジック家が糸を引いていた海賊騒動の裏に気付き、一足飛びに本丸を攻めに来るぐらいは想定していた事。

なければ楽だとは思っていたが、起こり得る可能性は想定している。

そしてもう片方が意外な人物。

神王国にその人ありと言われる女傑。レーテシュ女伯爵。

利に聡く、どんな難しい交渉でも利益をもぎ取っていく手腕から、諸領諸外国の面々からは女狐とも呼ばれる、油断できない相手。

彼女が出て来たということが、今回の面談が穏便に済むことが無いと暗示している。

「しかし、レーテシュ伯とモルテールン卿の御子息が揃ってお見えとは、何事でしょうか? 只事では無いと身構えてしまいます。宜しければ理由ぐらいは教えていただきたい」

「あら、私は単に付添ですわ。当家もモルテールン卿には何かと助けて頂いておりまして、今回は御子息がこうして他領に出向かれることを心配された為に、付添をかって出ましたの。おほほほ」

女狐が白々しい、とリハジック子爵は心の中で吐き捨てる。

彼の顔はにこやかな笑顔のままだが、心中は警戒心で満ちていた。

レーテシュ伯ともあろう人間が、単なる子どもの付添などするはずが無い。裏には相当なものがある。得られる見込みの利益なのか、或いは避けたい損失なのかは分からないが、何も無しなどというわけがない。

「子爵閣下、レーテシュ伯が今回に限って私の付添であるのは事実です。それよりも、幾つかお伺いしたいことがございます。今日お時間を頂いたのは、それについてお答えを頂くためでございます」

「ほう、モルテールン卿は中々しっかりとしたご子息をお持ちのようだ。それで、聞きたいこととは何だろうか」

「恐縮です。それではお伺いいたしますが、まず一つ。閣下は、ボンビーノ子爵家が近頃問題を抱えていることをご存知でしょうか」

「……さて、存ぜぬ。どの家にしても問題の一つや二つはあるものでしょう。何を指しての事なのか、それだけでは何ともお答えしようがない」

まずは様子見か、と軽く躱す子爵。何のことかさっぱり分からない、という演技を見事にこなして見せた。

当然、その程度のすっとぼけはしてくるだろうと考えていたペイスにも驚きは無い。

「知っての通り、ボンビーノ家と言えば、レーテシュ伯家と同じく海の安全を守るのが御役目の家柄。ところが先般、海を荒らしまわる海賊が出たとの事でございます。海を守るお役目の家としては、これは大きな問題でしょう」

「物騒な話ですな。当家も何度か盗賊が出て討伐したことがある。自らの領分を守るのは、貴族としての務めでしょう」

「その通りです。ボンビーノ家としても本分に従って討伐を試みました。しかし、どうやらこの海賊、ただの海賊では無い様なのです」

「ただの海賊ではない。ほう、どういったものだったのでしょう」

「実はこれを知り得たのも、縁あって当家が援軍として助力したからです。小競り合いがありまして、何名かを捕縛。話しを聞きだしたところ、何と、リハジック家の者だと名乗るではありませんか」

「ははは、それまた奇妙なことであるな。当家としては全く心当たりがないのだが」

リハジック子爵は、さも平然とした風でお茶を飲む。

そのポーカーフェイスはさすがに鍛えられた鉄面皮であり、感情のさざ波すら見せない。

「しかし、現実に捕まえた者達がそう証言しております。お疑いであれば、そのものを引き渡す用意もありますが?」

「……例えば当家に恨みを持つような家が、当家の者のフリをして雇ったものかも知れないな。捕まった者達は心からそうだと信じている事であっても、真実とは限らないと思うのだが?」

「なるほど」

リハジック子爵も、交渉人としては経験を積んでいる。

ここで簡単に非を認めるような神経はしていないので、ペイスに反論した。

捕まえた者達が幾ら証言しようと、それだけでは証拠にならない、という反論だ。そしてそれは説得力のある反論だった。

「それとも、貴君は何か根拠をお持ちかな。其方が捕まえた海賊なるものが、当家の者であるという確たる証拠が」

「……いえ、ありません」

ペイスの言葉に、レーテシュ伯は驚いた。

てっきり、証拠を確保しているからこそこの場に来たのだと思ったからだ。彼の少年のしたたかさをよく知る人間として、どういう事かと問い詰めたい思いをぐっとこらえる。

対し、内心でしてやったりと思ったのがリハジック子爵だ。

伊達に大戦を生き抜き栄達を勝ち取ってきたわけでは無い。元々が準男爵位であったのを子爵に陞爵されたのは、自らの才覚故と自負もある。これから伯爵位を狙う人間として、用心もしてきた。

その彼がそれなりに苦心して用意した舞台。万が一に捕虜が生まれても、自分と繋がる事は絶対にないと確信を持っているし、その為の隠蔽工作は完璧だと思っている。

事実、ペイスであっても疑惑以上の確証を得ることは出来なかったのだから、リハジック子爵の用意周到さというものはハイレベルである。

ペイスの口から、証拠がないと断言する言質が出た。

この勝負、貰った。そう、リハジック子爵は勝ちを確信する。

「これは異なこと。まさかモルテールン卿の御子息ともあろう方が、証拠も無しに、当家が海賊行為を 嗾(けしか) けていたとでも言うおつもりか?」

「……まさか。証拠がなければ誹謗にあたりますから、言うはずがございません。重ねてのご確認ですが、此方が把握していて、実際にボンビーノ子爵領界隈で荒らし回る海賊は、絶対に御家とは無関係とおっしゃるのですね?」

「無論だ。当家は疾しいことなど一片も無い。海賊風情が何を言ったかは知らんが、当家が海賊と関わりがあるなどとは誹謗も甚だしい」

「失礼しました。しかし閣下、彼らがリハジック家の者であると証言しているのは事実です。もしかして、彼らはリハジックの生まれでは無いのですか?」

「それは分からんが……だとしたら、どうだというのかな」

リハジック子爵は、心に余裕が出てきた。

手強い女狐相手の厳しい化かし合いになるかと覚悟していたものが、蓋を開けてみれば年端もいかない子供との児戯。

大人としての配慮も見せるべきかと、埒も無く考える程度の余裕がある。

「ボンビーノ家の統治の仕方が悪く、領民が海賊行為を働くようになった、というのならボンビーノ家の失態でしょう。しかし、仮に、海賊がリハジック出身であるならどうでしょう。彼らが海賊に身をやつした原因が、リハジック家に全く無いとも言い切れぬのではありませんか?」

「ほう」

なるほど、とリハジック子爵は思った。

モルテールン家の子も、伊達に賢才だの神童だのと呼ばれているわけでは無いようだ、とも思う。

領地貴族とは、治安を守る責務がある。守れるからこそ、軍を持つことを許されている訳であり、税を集めることを認められているのだ。

であるならば、治安を守れなかった場合の責任もあるという事。

食い詰めたものが盗賊や海賊に堕ちることは割とありふれている。今回自分が手配していた者達が海賊になった理由が、リハジック家の統治の仕方が不味かったからだと言い張ることで、何らかの譲歩を迫る。

この少年が狙っているのはそこだろう、と子爵は思う。

狙い目としては良い。常人ならばなんとかして海賊とリハジック家を結び付けようと躍起になっているところだが、それをバッサリと見切った上で、攻め手を変えてくる。攻めるポイントも、海賊とリハジック家が無関係であることを前提に、リハジック家の統治について攻めてくる。

あら探しをしたいなら、幾らでも攻め手が思いつく、良い攻め方と言える。

見切りの良さと思い切りの良さ。しかも、着眼点は鋭い。この少年は、称賛に値するだろう。

だが、自分には届かない。如何に目の前の少年が賢かろうが、準備を入念に行い、用意周到に仕掛けている自分の方が 上手(うわて) 。

壮年の男は、もう一口お茶を口に含んで香りを楽しんだ。

「なるほど、海賊と言う連中が、賊になったそもそもの理由が当家の施政にあるかもしれないという、貴君の意見には拝聴すべき賢がある。だが、責任という意味とは少し違うだろうな。どんなに優れた人間でも欠点の一つや二つあるように、如何に優れた善政であったとしても、はみ出す連中や零れる者が必ず出てくる。これは致し方の無いことだ。私が何か過ちを犯して彼らが海賊になったわけでは無い。彼らは、彼らの意思で海賊になったのだ。その点で当家に責任があるような言は、賛同できない」

「閣下の施政のせいで海賊が生まれたわけでは無い、とおっしゃるのですね」

「そうは言っていない。海賊や盗賊は、どんな善政でも生まれるものであって、それを迅速に処理するのが我々の責務だと言っている。もっとも、その責務を果たすのが全てであるとおもうがね。ネズミにテーブルを荒らされたとして、ネズミを捕まえるのは家主がすることで、責任というならそれが全て。ネズミの生まれ故郷をどうこういうのは筋違いに思えるし、隣の家が汚いせいだと騒ぐのも可笑しな話だとは思わないかね?」

「ごもっともです」

ペイスと会話するリハジック子爵は、既にペイス達が海賊を討伐し終わっていることをまだ知らない。

だが、それでも一歩も引かない交渉姿勢はいっぱしの領地貴族として見事なものだ。

「では閣下、賊に領内を荒らされるような貴族については如何お考えですか? それも、他家の手が無ければ被害を拡大させてしまうような貴族です」

「それは、無能の一言だろうな。貴族としては失格と言って良いと思う。どことは言わんが、海賊に荒らされているのに他家の手を借りねばならぬような家は、取り潰しに遭っても仕方がないと考える」

「それもごもっとも。確かに、賊に領内を荒らされたままにする貴族は、領地貴族としても落第でしょう」

「ほう、貴君の賛同を得られるとは心強い」

ペイスが、ボンビーノ子爵に不利となる様な言動をする。

どうにも違和感が残るが、恐らく陣営の鞍替えを選択肢に入れたいのだろうと推察する。余りに不利が過ぎるボンビーノ家の状況と、手強い自分との比較で、寝返りを許してほしいのではないか。

こう考えたのがリハジック子爵。

あまりに胡散臭い言葉に、何を企んでいるのかと更に裏を考えるのがレーテシュ伯だ。

この点だけでも、両者のペイスに対する認識の違いが明らかになっていた。

その後も、侃々諤々の議論と、そして腹の探り合いが続く。

小一時間もやりあった頃だろうか。

必要な議論は尽くしたと考えた少年が、互いに共通認識を持った結論を言う。

「つまりはこういうことですね。リハジック子爵家と海賊は一切の関係がない。ボンビーノ子爵領を荒らす海賊については、ボンビーノ子爵家の差配で対処するべき。討伐に関してもリハジック家は応援する。海賊に領内を荒らされるのは貴族失格。仮に他家が助けるとしてもそれは仕方のないこと。海賊の討伐後の遺留物は討伐者の物であり、賊が飲食寝起きする根城の統治と復興は、討伐する家の責任で、リハジック家は銅貨一枚たりとも出す気はない、と」

「まとめるとそういう事だろうな」

「では、その言葉。ここに居られるレーテシュ伯も承知したというのも構いませんね?」

「無論だ。当家としては全くの無関係な話ではあるが、同じ王国貴族としてボンビーノ家による一刻も早い海賊討伐を願っている」

白々しい言葉である。

ことここに至って、レーテシュ伯は自分の役割をはっきり理解した。

交渉の内容もきっちりと書面に起こし、表の署名にはペイスとリハジック子爵が筆を走らせ、裏書人にはレーテシュ伯がサインする。

これで、今回の合意内容については公式なものとなった。

「では失礼します」

「気を付けて討伐に当たられよ。健闘を祈っているよ」

リハジック子爵は、満足そうにそう言った。

今回の合意で、リハジック家と海賊が無関係であると、レーテシュ伯のお墨付きが出来たのだ。後は、海賊たちがボンビーノ家を苦しめれば苦しめるほど、自分たちの利益になる。どうあろうと自分の損がなく、利益しか残らない極めて素晴らしい状況だと感じていた。

自分の策が、最高の結果になったとほくそ笑む。

この時ばかりは、いつものポーカーフェイスが崩れていたのだから、相当に嬉しかったのだろうと、ペイスは推測した。

リハジック子爵の館を辞した時。早速という勢いで、ペイスを問い詰める女性が居た。

「ペイストリー=モルテールン卿。この交渉、どういう意図があるのかしら」

「レーテシュ閣下であれば、既にお気づきなのでは?」

「……上手くすれば、うちがボンビーノ家を庇護することで、森沿いと海沿いの街道を統治下に置ける、と見ても良いわけね」

「お察しの通りです。陸上交易と海上交易。南方の交易の二本柱を閣下が治められれば、得られる富は膨大なものになりましょう」

「見返りは何が欲しいの?」

「ボンビーノ家に対する完璧な庇護。ボンビーノ家に対する当家の優先交渉権と、港湾使用権の承認。ついでに、御家の交易路の優先使用権を頂ければ」

「うちの交易路云々は別途の交渉にしましょう。まだことは終わっていないのだから」

「さすがはレーテシュ伯。油断なりません」

「その言葉、そのままお返しするわ」

お互いに、含みのある笑顔で笑い合う。握手を交わしたところで、交渉は合意したことになる。

交渉をまとめた後、ペイス一人だけは、ある村へと【転移】する。

そこには、ボンビーノ家とモルテールン家の一同が揃っていた。

捕虜も全て解放しているので、全軍が勢ぞろいである。中々に壮観と言える光景。

「海賊の包囲、完了しています、モルテールン卿」

「ボンビーノ卿ばかり働かせてしまったようで申し訳ない」

「何をおっしゃいますか。それで、こんなことをしても良かったのでしょうか?」

「こんなこと、とは?」

「いや、その、ここはリハジック領の村ではないですか」

ペイスが転移した村とは、リハジック領の村。森沿いの街道の要所を抑える村として、リハジック領でも相当に重要な位置にある。

不思議なことに、何故か海賊が突然現れて領民やリハジック家の面々を追い払ってしまったらしく、見かねて止む無く隣領のボンビーノ家が討伐の為に包囲したという事になっている。

今は、総力をもって村を監視しつつ、息を潜めていた。

「構いません。ほら、ここにリハジック子爵との合意文書があります」

「これは……」

「あそこにいる連中は、リハジック家とも無縁の海賊。おまけに、リハジック家当主直々に、討伐許可のお墨付き。しかも“賊が収奪”したものは、我々が貰って良いそうです……アジト丸ごと、ね」

公文書となった書面を見て、ウランタは心の底から衝撃を受けた。魔法使いを敵に回すという意味。そして、モルテールン家を味方にする心強さを、心底から感じたのだ。

陰謀を仕掛けてきた人間を、丸ごとペテンに掛けるような真似。驚くなという方が無理というもの。

「リハジック子爵は、一つミスを犯しました」

「それは?」

「海賊の根城が、ボンビーノ家の領内にあると思い込んだところです」

「ああ、なるほど!!」

海賊の討伐は、確かにその地を治める領主の責任。

だからこそ、リハジック子爵は“荒らしていた海賊”の討伐と被害からの復興は、ボンビーノ家の責任と認めた。

大前提として、海賊が荒らしているのはボンビーノ家の領内だという思い込みがあったのだ。その点、本来であれば間違いは無く、失点になりようはずも無かった。

普通の貴族が交渉相手であったなら。

「これで、賊があの村で寝起き飲食し、アジトにしていたという実績さえあれば、晴れてこの村はボンビーノ家の物。盗賊の根城の差配はボンビーノ家の管轄と、リハジック家とレーテシュ家が認めていますよ」

「本当に……本当に……」

ウランタは、感極まって泣きそうになった。

海賊のお宝も手に入れた。それを元手に軍を再編出来る。

改めて軍を整備して配置できれば、街道沿いの村々がリハジック家に盗られる危険は大きく減退するし、相手の言い分の無効化も容易い。

その上、両街道をレーテシュ伯の後ろ盾でもって統治できるのなら、お家の躍進はまず間違いがない。

もう余所の家に好き勝手される事も無いし、子爵家として胸を張れる。自分の当主就任にケチを付けられるものも皆無となるだろう。

多くの貴族から良いように毟られ、果ては海賊によって進退窮まっていたところ。助けてくれたペイスに対し、心からの感謝を捧げた。

自分にとっての大恩人であると。

「そろそろ良いでしょう」

海賊による、村の根拠地化を誰しもが確認した。我が家の如く振舞う海賊を、他家の代表としてセルジャンも確認した。間違いない、と。

ここに最後の大掃除が始まる。

「構え!!」

ペイスの号令一下。村を包囲していた手勢が、一斉に弓を構える。

「放てっ!!」

そして、矢が空を覆った。