軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第114話 上官命令に逆らったのは誰です?

「だいたい、グレンバーレルが起動するまで二時間以上かかっているのだ。時間がかかるのは仕方がない」

そう、腐海の部屋が床が見えるまで掃除ができる時間があったのです。

いつものことですが、これ以上早くはならないのですよ。

「楽しそうでしたが?」

そこが引っかかっているのですか?

「グレンバーレルが、部下たちが私の忠犬だとおかしなことを言うから、思わず笑ってしまっただけだ。まだ時間がかかりそうだから、戻っていればいい」

ここで引くと、絶対に駄目なのです。グレンバーレルが根負けするまで居座らなければなりません。

「当たり前のことではないですか。でないと、隊長に命はかけられません」

レクスにそう言われて、ビクリと肩が揺れてしまいました。

多くの部下を道連れにしたのは、間違っていたとは思いませんが、後悔はしています。

「では、騎士団団長殿にそれほどの部下がいるのですかね?」

え? グレンバーレル。何を言っているのです?

「彼らは背中に背負う隊章を誇りに思っていました。今の騎士団にそれほどの者たちがいるとも思えませんね。あのハイラディ元団長が騎士団を去れない理由。わからないとは言わせませんよ」

このグレンバーレルが、他人のことに口を出すなんて……どうしましょう! 明日は雹が降ってくるかもしれません。

「少し、従騎士殿に固執しすぎているのではないのですか? 騎士団団長の使いとして送り出したのであれば、それはこの者に任せるべきことで、団長自身が動くことではないですよね?」

「うわ! まともなことを言っています!」

驚きのあまり口に出してしまいました。

すると呆れたような視線が突き刺さってきます。

「部下を送り出して上官が口を出してくるなど、部下を信用していないということでしょう」

「まぁ、そうですね」

あの探知能力だけは信頼できるダラニアールでさえ、仕事はヤり切るだろうと送り出していましたからね。

「それから、上官命令を無視した従騎士の末路は、よくご存知のはず。従騎士が己の役目を果たそうとしているのであれば、そこに口出しをすべきではない」

「グレンバーレル。少し言い過ぎなのでは?」

「誰も言う者がいないから言っているのです。貴女は、懐に入れたものには甘い。それはいいことでもありますが、悪い面でもあります」

あ、今度は私に飛び火してきた。

まぁ、グチグチと口うるさく言うのはディロべメラ副中隊長の役目だったから、私が寛容にならなければ隊がまとまらなかったのもあります。

いや、逆ですか?

ディロべメラ副中隊長のお陰で隊がまとまっていたですか。

「グレンバーレルも偉くなったね」

私は手を伸ばして、隣の金髪の頭を撫ぜてあげる。

昔はこのようなことを言うやつではなかったのに。

「やめてください。何年、魔導師団の団長をしていると思っているのですか」

あ、手が払われてしまいました。せっかく褒めてあげましたのに。

「あ? 自覚があったのか?」

「相変わらず失礼ですね」

すると、パタリと扉が閉まる音が聞こえてきました。

あれ? レクスが無言で部屋を出ていってしまったようです。

「はぁ、レクスのやつ相当へこんでいるぞ」

「上官の命令に逆らった者に、命をかけられないと言われたくありませんからね」

あ、さっきのレクスの言葉ですか。

「誰が好き好んで部下を死地に送り込む上官がいるのですか。考えればわかることを平気で口にするから腹立たしいのです」

「その言葉に少し報われた気がするよ」

「これで変わらなければ、馬鹿だと切り捨てることですね。フェリラン」

まぁ、そういう面を鍛えてあげるのも上官の役目なのですが、従騎士でしかない私ではその言葉に意味がありませんからね。

何も関係のない、それも他の組織の団長から言われてしまえば、かなりキツイですよね。

「しかし残念なことに、国王陛下から婚約の許可が出てしまったので、切り捨てることはできなさそうなのだ」

「……よく国王を闇討ちしませんでしたね」

私の性格をよく知っているグレンバーレルだからこそ出てくる言葉でしょう。

普通は国王を暗殺を示唆するような言葉は口にしません。

「王太子ならしていたかもしれない」

「しかし、彼であれば、フェリランの願いが叶うのではないのですか?」

「ぷっ! 馬鹿なことを言うな。その願いはもう叶っている」

「それは良かったですね。ユーフィア」

そう、私の願いはもう叶っている。

元部下の父と、その妻との間に生まれて来たことだ。

「そろそろサインをしてくれないと、外に連れ出すことになるのですが? どうされますか? ルクスファラン」

「ものすごい嫌がらせですね」

眉を潜めて言い返すグレンバーレル。

互いに名で呼ぶことが、嫌がらせだと感じている時点で、本当にグレンバーレルとは合わないのだと思いました。