軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

メルのいなくなった学園では

メルが居なくなった後、暫くして異変が起こった。学園で使っていた電気や水道が、急に使えなくなったのだ。

理由は明白だ。動力源となっていた「賢者の石」が急に出力を停止したのである。これはメルが錬金術で作り上げたものだった。

このゲーム世界において「賢者の石」は錬金術師が作り出す、魔道具の一つである。火、水、雷など、それぞれの魔法属性エネルギーに変換されて使われる。

学園ではこれを動力源にすることで、水道や電気などのインフラが整備されていた。

ではメルが作る前はどうしていたのかというと、それまでも賢者の石は使われていた。

しかしメルの作った物のほうがもっと効率よく、巨大なエネルギー源となった。

そのためエネルギーを安定的に賄うことが出来、コスパも良いのでインフラが置き換わってしまったのだ。

これはゲーム内の、ストーリー本筋とは関係ないサブミッションであり、メルはそれをクリアするために賢者の石を提供したに過ぎない。達成すると「鳳凰の羽」という貴重な蘇生アイテムを5つ貰えるからだ。

また、メルは学園を出る際、特に賢者の石に細工を施したわけでもない。ただメルが作った賢者の石をメンテナンス出来るのが、彼女しかいなかったのだ。

メルは永久機関を目指して作ったつもりだったが、やはりどこか未完成だったのだ。

賢者の石が出力を停止したことで学園には大混乱が起こった。

水道さえ使えないのだから、主にトイレなどで致命的な問題が発生した。

学園側は慌てて錬金術師を呼んでメンテナンスさせようとしたが、メルの作った術式が高度過ぎて誰も治せなかった。

では旧式のインフラに戻そうという話になったのだが、実は以前使われていた賢者の石は全て売却されており、一つも残っていなかった。新しい物を買って、再び整備しようとなると数か月の時間が必要となる。どう考えても遅すぎた。

メルが賢者の石を扱っていたことは誰もが知っている。そして、その彼女を追い出したのがヴィルターであることも。

何よりあの舞踏会の場で彼自ら広めてしまったのだから認知度は抜群だ。

ヘイトはヴィルター並びにユリアーナへと集中した。

それまで学園で築き上げてきた地位や人間関係を全て失う程、彼らは肩身の狭い思いをしていた。

「あいつらが婚約破棄をしたせいでメルが居なくなった。学園はめちゃくちゃだ」

誰もが後ろ指を指した。冷ややかで、突き刺さるようなプレッシャーを彼らは毎日浴び続けた。

学園だけではない。ヴィルターは親からも叱責された。どうやら彼らの失態は貴族社会にも周知され始めており、学園での出来事が話題になっていたのだという。

「お前のせいでワシまで恥をかいたではないか!」

ヴィルターの父親は彼を激しく叱責した。

これらの状況を改善する方法は一つしかない。メルを学園に連れ戻し、賢者の石を修理してもらうことだ。