軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

駆け引き

「なるほど、つまり強化パーツを作りたいけど高額と……」

「え、えぇ……というか大将、よろしいので。こんな所に防護服無しで」

「僕もあれと接触した扱いになっているからね。今は軟禁中さ。それより面白い機体を作って、なおかつあの場で一番活躍した君達の情報を仕入れたかったんだ。軍の上層部も結構盛り上がっているんだよ」

「はぁ……というかキャラ違いません?」

「あれは威厳を出すための演技だから」

おやっさんとの連絡を終えてしばらくのんびりしてたら大将がやってきた。

あの日、スサノオとツクヨミ改の説明をした人だ。

「柳ヶ瀬大将、僭越ながら盛り上がっているというのは……」

「うん、軍よりも先に未確認の敵を見つけて、なおかつ的確に対処してみせた。データを見たけど光学カメラに写らない敵とか想定外だったからね。しかもそれがワイバーンを呼び出すとなれば脅威判定は天井知らずだ。何より小さい、それこそオフィス街にでも出てきたらどこに隠れられるかわかったものじゃないとなればね」

まぁ……サモナーミスト、あれは隠れる場所が多いほど面倒な敵ではある。

ただ対処法としてジャミングさえぶっ放せばしばらく増援は減るし、その間に強力なレーダーで周囲を捜せば見つける事は可能だ。

問題があるとすれば、あれは本体そのものがジャミング性能持っているから反応地点を中心に目視で探さなきゃいけないってことくらいか。

最悪の場合反応地点中心に歩兵送るだけでどうにかなる。

戦闘能力は皆無だからな。

「君のあげてくれたレポートから見るに対処法はいくらでも用意できる。ただそれは地上での場合だ。最前線に出てきたらと考えると……少し恐ろしいね」

「あいつの本領は宇宙でしょうからね。地上なら歩兵部隊送り込めば十分どうにかなると思います」

「うむ、記録見る限り戦闘能力は低そうだし」

「それで、お……私達の処遇というのは」

「はっきりさせておいた方がいいね。結論から言えば特務少佐の地位を与えようという話になってるよ。妹さんには申し訳ないが、中学生には酷だから特務大尉の座で我慢してもらわなきゃいけないけど」

「特務……ですか?」

「うん。要するに軍が要請して、僕達上層部が許可して、なおかつ出撃可能な状態でのみ運用可能な人員に与える予備役ってところかな。その中でも佐官クラスだから自由行動が許されるよ。妹さんはその随伴になるかな。階級が上がれば呼び出しの頻度は上がるけど、追加で給料も出る。逆に尉官だとそこまで呼び出しは無いと思うよ」

「はぁ……まぁ妹は学業に専念させたいですし、可能ならインベーダーに関する知識を詰め込んでおきたいです。あとひたすら特訓ですね」

「そう、それも問題だ。問題というか上層部で君の作ったシミュレーションが高評価でね。いや、正しく言うなら現場を知っている真田准将とかが部下にやらせて、報告上げてきて、それが一躍人気になってるというべきかな」

「恐縮です」

「あれを正式に売ってもらいたい。今回妹さんがやっているのも含めて、改良品の納品も頼みたいね」

凜が必死こいて練習しているシミュレーター。

大将がそのまま続けていいと言ってたので、気にせず続けさせている。

「オペレーティングパイロット用というのはなかなか珍しいけど、今回有用性がわかったよ。最前線に一人いると助かる人員だね」

「そうですね。いなくても各自のレーダー共有でどうにかできますが、一人いると動きやすくなります」

「うん、それに改良すれば戦艦や基地から指令を出すオペレーターや艦長の練習もさせられるかもしれないとなれば、買わないのは勿体ない。なにせ坂月重工のお子さんもいるんだ、先を越されたらどれだけ吹っ掛けられるかわからないから」

坂月重工……?

あれ、坂月って良平の苗字で……あぁ、こいつボンボンか!

「うちは軍と喧嘩するつもりはないですよ。強いて言うならお互い良い取引をというだけで」

「その割には今回結構攻めた機体持ってきてたよね」

「あれは父が考えた機体です。ほとんど僕専用ですから前線じゃ役に立つかどうか」

「超重装甲、鈍足、その代わり射撃では遠中近全部をカバーできて腕や脚の数が多い。小惑星にもしがみつけるようにワイヤーアンカー付き。支援部隊や狙撃部隊としては高評価だったよ」

「本音を言っていいですよ。それ以外の部隊からは論外の評価だったと」

「とんでもない、チームに一人は欲しいと言ってたよ。ただ鈍足が気になるというのは全員同意してたけど」

確かにな。

足の速い遅いは戦場に向かうのに重要な要素だ。

部隊の中でも足並み揃えられなければ先行部隊が無駄死にするだけだし。

「雨傘君はそういう機体を見てどう思う」

「使いよう次第かと。例えば設備防衛、あるいは固定砲台ですかね。俺が使うなら……場面にもよりますがアステロイドベルトや街中だと動きやすいんじゃないでしょうか」

「ほう? 狙撃が通らないと思うけど」

「ワイヤーアンカーとやらを使って立体機動すればいいんですよ。それで相手の懐に入って乱射、敵を直にアンカーで捕まえて振り回してもいいですね」

「若者らしい面白い視点だ。ただそれをするには様々な問題があるね」

そうだな、少なくとも複数機で同じ事やるとワイヤーが絡まるかもとかそういう点が気になる。

そうでなくても鈍足で射撃特化の重装甲ってなれば……使い道はタンク、つまり最前線で敵の攻撃を受け止めるのが基本か?

まぁ坂月重工とやらが考えた使い方からはかけ離れた運用になるだろう。

「で、君が考えた強化パーツと比べると、どっちの方がピーキーかな?」

「俺が考えた奴ですね。パイロットの事何も考えてないから最悪ブースターふかしたらぺしゃんこです」

「それは……うん、流石に軍から資金を出すわけにはいかないかな」

「プロトタイプなら、という注釈がつきますけどね」

「詳しく聞こうか」

食いついた!