軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新装備

「凛、少しシミュレーター借りるぞ」

「あ、うん。というか話に聞き入ってたからこっち集中できなかったし丁度いいと思うよ」

「そか、うわの空での練習は無意味だし気をつけろよ」

「うん、全滅判定5回貰って諦めた」

こういうのは諦めも大切だし、息抜きも重要なんだ。

そこを理解しているならうちの妹は大丈夫だな。

……クリスはむきになって、何度も全滅するタイプなんだ。

「ではご覧にいただきたく思いますのはこちら」

スクリーンに映し出したのは俺の乗っているシミュレーターの映像。

この中なら機体の情報とか架空の物でも好きなだけ作れるからな。

「これは……随分とすっきりした見た目だね」

「はい、ただ可変機構が多く使われているので必然的に値段も高額になります」

可変機構はお高いんだよなぁ。

軍じゃ足の速さは重要とされているから採用されているけど、オミットできるならその方がいいと言われている。

その問題を最初からバラバラにしておこうぜってことで形にしたのがスサノオ。

合体機構だから機体一つが変形するよりは安い。

あくまでも完全オミットに比べたら、という話だけど。

それに機密性とかの問題はまだ健在だ。

「このアームパーツが左右それぞれ3つに分かれて腕となります。先端にはライフルとして使用可能なビームサーベルが付属、また腕と背中に当たる部位にそれぞれミサイルポッドを装備しているので面制圧も可能ですね。近接戦は言うまでもなく」

「ふむふむ、しかしギアに対してこのサイズとなると随分な金食い虫になりそうだ。少なくとも一個小隊並みのランニングコストになりそうだな」

「そうですね。ですがミサイルポッドはビーム兵装への換装も可能です。問題はランニングコストよりも製造コストの方です。この装備の金額的にはギア20機分相当、ランニングコストが1個小隊というのがネックですね」

「この装備、スピーダーと言っていたバックパックに似ているね」

「はい、各種俺専用バックパックの全乗せと思ってください。スピーダー並みの速度で近づいて接近戦、あるいは逆に逃げながら射撃戦ができる機体です。またドローンを複数マウントする事でオールレンジでの攻防が可能となっています」

「ドローンか……あれは便利だけど、使いこなせる人員が問題だね」

「そうですね。ドローンマウント機体のシミュレートも作っておこうと思いますが、軍で正式採用しているものであれば俺……私が作るよりは軍の方に情報のインストールをお願いした方がいいかと思いまして」

「ふむ、あぁ、口調は砕けて構わないよ。それで、これだけの装備を持ち出してどうするつもりだい? 並のインベーダーならツクヨミ改、ともすればスサノオ小隊か中隊で十分じゃないかな」

もっともな答えだ。

だが俺が想定しているのは並のインベーダーじゃない。

「僭越ながら、今回出現した未確認インベーダーのようなのが今後も現れないとは限りません。何より宇宙空間での戦闘に際してはもっと巨大かつ凶悪な能力を持っている個体がいてもおかしくないと考えました。例えばワイバーンやベヒモスを延々と召喚し続け、その上で本体もベヒモスに劣らぬ戦闘力を持っていた場合を想定したものです」

嘘だ、本当の事言うならボスクラスになってくるとベヒモスが束になってもかなわない化物もいる。

そういうのを想定して設計した装備だ。

「無いとは言い切れない……か。ならば逆に聞こうか。そういう相手が出てきた時、この装備でどこまで戦える」

「俺個人であれば3時間は時間稼ぎが可能かと」

「君一人で3時間か……すごいと言いたいところだけれど、他のメンバーはどうなる?」

「はっきり言ってしまいますが、この装備は俺の特注品です。パイロットの安全などを一切考慮していないため他の方が使うには相当な訓練が必要になるでしょう。辛うじてそこのクリスと、良平が一部性能をオミットして使いこなせるかと言った所ですね」

「ふむ、うちの……そうだな、真田辺りならどうだい」

「真田准将であれば使いこなす事は可能でしょう。ただし一部兵装を使わず、タイミングに応じて使い分ける形になるかと」

ぶっちゃけ真田准将の実力を知らないのだが、シミュレーターのランキングとか見ると結構上位なんだよ。

あの人がそもそも後方に下がってきているタイミングが少なくて、なおかつシミュレーターで訓練する時間がとれてないのが問題だが。

「なるほど……最低でも真田クラスのパイロットでなければ使いこなせない装備か……ちなみに訓練とはどんな内容かな」

「主に耐G訓練とドローンの訓練です。リアクターをいくつか積みこむので垂れ流しで射撃していてもある程度役に立てますし、近づいたらこの装備でもギアでも近接戦が可能となりますので。ただしドローンの操作などは本人次第です。最悪マウントをミサイルポッドに切り替えてオートでロックオン射撃にしてもいいかと」

ドローンは脳波コントロールが基本だからな。

マニュアルで使えるのは結構希少だったりする。

ちなみに凜は普通に使いこなしているし、索敵メインのドローンを適時動き回らせて周囲警戒を怠っていない。

多分天性の才能ってやつだ。

俺は比較的得意分野なんだが、クリスは超苦手と言っていた。

良平はそつなくこなすけど、ドローンの操作は数が増えると難易度が指数関数的に難しくなっていく。

なので本人曰く10機が限界、それ以上はギアの操縦どころじゃないと言っていた。

なお凜は最低で20機動かしていて、俺の最高記録は80機だ。

なお金欠を理由にそれ以上使えなかったともいえるので、まだいけると思う。

「うちのドローン部隊ならどうだろう……」

「Gで潰れる可能性が高いです。ドローンマウント機体は基本的にスペックがそこまで高くないのも特徴ですから」

「なるほど。つまり完全にエース用の装備という事か」

「妥協案としましてはスピーダーの性能を落とした状態で二人乗りなどもありますが、今度は人員という意味でコストがかかりますね」

「そうか……では大将として特務少佐に命令する。この追加装備を複数データにて作成、シミュレーターにて実際に触れられるようにしたまえ。今後Gなども体感できるシミュレーターでパイロットたちに意見を聞きながら折衷案を模索する」

「了解しました。復唱します、シミュレーターにて追加装備を複数データ化、触れられるように制作します」

「よろしい。なおこれは秘匿任務とするので口外はしないように。そしてもう一つ、こちらはとても重要な任務だ」

「はっ!」

「学業をおろそかにしないように。優先度ではこちらが上だ。ゆっくりやりたまえ」

「ありがとうございます!」

いやぁ……いい人だ、柳ヶ瀬大将。

日本の対インベーダー軍は人望のある上層部だね!