作品タイトル不明
だいたいストライク
ごめん皆、めっちゃ殴られてたね。
でも傷つけるも何も俺がズタボロにしてたから今更というか、ぶっちゃけあの装甲じゃ使い物にならないから全交換のつもりでいたとか今更言えないわ……。
それはそれとしてだ。
「おやっさん、AからGまでの配線全部交換しよう。こいつらは確かにエネルギー効率はいいけど耐久性がゴミだ。それから動力パイプだけどZ15の部分はいらないと思う。むしろあれが原因で配線傷つけてぶっ壊しかねない」
「なるほどなぁ。おい、わけえ衆! 聞いてたな! 配線は全部交換! それとZ15だけじゃなくB27のパイプも取っ払って両方Cパイプと繋いでおけ!」
「それと口出しして許されるなら装甲も微妙だと思うんだ。あれじゃないのと同じだから要所要所にちょっと重くてもいいから厚いのをつけた方がいい」
「だがそれじゃ色々むき出しだぞ」
「今のままだとどうやったって被弾する重さだし、それに耐えられるようなもんじゃない。自壊するような脆い重りくっつけるくらいならコックピットと関節だけ守った方がいいな」
「言わんとすることはわかるんだが、それだと逆に速度出したら自壊するだろ」
「そう、だから外付けで飛行用のパーツをバックパックとかの形で用意できないかなって相談。いざとなったら切り離してしまえばいいし、整備でも戦闘でもその方が役に立つ」
「分離式ってことか。面白い発想だが……前例がなぁ」
「システムは俺が組むよ。ハードだけ用意してもらえればいいさ」
「ほう? 自信ありそうじゃねえか。どのくらいで用意できる」
「設計図があって、予定通りに行くなら徹夜込みで5日、完成を合わせるなら徹夜しないでもいいだろうから10日かな」
プログラミングはゲーム内で覚えたままだから、それが使えるなら問題ない。
実際俺の乗ってた旧式の機体含めてそういうの全部コード覚えてたし、だからこそバランサーとかの解除ができたともいえる。
ただマシンとタメ口きいてるようなもんだから慣れてないと数カ月かかるような状況でもある。
1から機体を組みなおすというのはそういう事だ。
「ふぅむ……前例に関しちゃできるってなら問題ねえ。予算も潤沢で技術者も儂含めて学校の生徒を使ってもいいと言われている。時間だって納期があるわけじゃねえから融通が利くが……ここまでやるなら基礎設計からやり直したらどうだ」
「できればそれが一番楽なんだけどねぇ、軍とこれ作った企業の顔も立てないとでしょ?」
「はっ、ガキが小難しい事考えやがって。だが、その通りだ。つまるところ軍の唾つけであり、企業のアピールでもある。それを改造するのと予算と人員だけ使って別ものを作るってのはだいぶ意味が違う。よくわかってるじゃねえか」
バシバシと背中を叩かれる。
地味に痛いが、このくらいの距離感で話せる相手でよかったぜ……。
「じゃあとりあえず基礎はそのまま、改善点を纏めて設計図にしてから飯でも食う?」
「いや、せっかくだ。坊主のアイデアは全部聞いておきたい」
「それこそ飯でも食って茶でも飲みながらだろ。長い話になる」
「腹に物が入ってると眠くて仕方ねえんだよ。それに今が絶好調なんだ、聞かせろ?」
圧が……この人圧が強いよぉ……。
距離感近いといったけど訂正、逃がさないつもりで掴んでやがる!
「あー、じゃあまずバックパックを複数用意する事で即時換装が可能な状態にするんだ。で、バックパックそのものにもリアクターを積む。そうすると基地に戻って換装するだけでエネルギーの一部を回復できる」
「普段からそっちをメインに、本機の心臓は脱出用予備システムとしても使えるわけか」
「それだけじゃない、装備を複数用意して状況に合わせて使い分けができるようにしておけば……」
「出撃の際にどのバックパックを背負うか考えるだけでいいわけだ。だが普通に持ち替えてもいいんじゃねえか?」
「うん、だからその辺の基礎装備は統一。例えばビームサーベルやライフルはそのまま機体が持って、バックパックに長距離狙撃用ライフルや高火力ランチャー、対大型用サーベルに射撃用ドローンなんかの専用装備をそれぞれつけておく」
「それで相手によって切り替えるわけだ。確かに対大型用サーベルだの高火力ランチャーだのはかさばるくせに相手を選ぶ。かといって積んで置かねえってのは論外だ」
いつどこで、どんな敵に出くわすかわからないのであればその手の装備は常に補給基地や船に乗せておくべきだ。
逆に言うなら使わない時は埃被る事になるが、それでも使い勝手が悪いだけで大抵の相手には通用する。
一部例外を除いてビーム兵器が効かない相手はいないからな。
実弾が効かない相手はそこそこいても、ビームは大体の敵に通る。
「あとは極力使いたくない実弾装備限定とか。攻撃の度に速度も上がっていく仕組みで、なおかつ機体を一番早く飛ばせる装備だな」
「なんで使いたくねえんだ。便利だぞ、ミサイル」
「高いじゃん」
「その辺は軍からある程度援助してもらえるようになってる。それじゃ駄目なのか」
「え、なにそれ」
知らないんですけど……。
「あのなぁ、軍が機体用意してやるって言ってるならそりゃ弾薬費くらい出すっての。メタルとかの連中はビーム兵器の効きが悪いしな」
メタル系と呼ばれるインベーダーはビーム兵器に耐性がある。
完全に無効化されるわけじゃないが、とにかく硬い。
そういうやつらはまとめて爆破処理するに限ると言われているのだが……そのための専用爆薬だからお高いのよ。
「あの糞高い爆弾も貰えるのか?」
「おう、何なら備品として常備する事になってるからな。学校側はおこぼれを貰ってる状態だ。だから俺達がここを占拠して、なおかつ生徒を顎で使っても何も言わねえ。むしろ実戦形式だと喜んでやがったがな」
まぁ学校を始めとした施設各署はいざという時基地の代わりに使われる。
ここは特に、その手の学校だから設備が充実しているので弾薬などをそれなりに常備しているのだが、特殊爆弾やら新型のビームライフルなんかは無かった。
それを軍が支給してくれるとなったので、俺達はお目こぼしを貰っているらしい。
「まーじか。じゃあバックパックは10種類くらい作っちゃう?」
「いやいや、ここは他の機体とも連動できるように数が多い方がいいだろ」
俺とおやっさんは悪戯を思いついた子供のような表情だったと思うよ。
完全に自重って言葉が抜け落ちてた。