軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第324話 空襲

「飛行船を確認!! 数分で城の上空へ到着すると思われます!!」

見張の兵から報告から報告が入った。

「遂にきたか! 城の防御魔法を展開するんだ!! それから、兵たちは上からの攻撃に備えて、各自身を守ること!!」

レングは全軍にそう指示を出す。兵たちに指示は伝わり、盾を自分の上に構えたり、物陰に隠れたりして、兵たちは各自上空からの攻撃に備えた。

数分後、予定通り飛行船が到着した。

魔法を放ってくる。

土属性の魔法だった。尖った岩が、次々に降ってくる。

魔法の防壁で防ぐ。

しばらくは防ぎきり、城への被害を避けていたが、しばらくすると、防壁が破られる。

岩が城に降り注ぎ、屋根を破壊した。

少しだけ被害を与えた後、魔力水が切れたのか、飛行船は撤退していった。

「ひ、被害を調べてくれ!!」

「は、はい!!」

レングが焦った表情で、兵士に命令した。

すぐに兵士は命令通り動く。

「報告します! 死者はなし! 負傷者三名! いずれも軽傷です! 屋根が壊されましたが、大きな損傷はなくすぐに修復できます! ただ、城の魔法防壁は破られました! 同じ強度の防壁を張るのには、時間がかかりそうです!」

「そ、そうか」

被害状況を聞き、人的な被害が少なかったことに、レングは少し安堵する。

「思ったより強力だったね。魔法防壁が一回攻撃で破られたか〜」

ミレーユは特に焦っていない様子でそう言った。

「つ、次来たらもっと被害が……」

ミレーユの言葉を聞きレングは動揺する。

「城にダメージが出た……」「あんなの理不尽だろ」「なんで、他国の城を守るため、あんなのと戦わないといけないんだ……!」

兵たちにも動揺が広がっていた。

士気も落ちているようである。

(駄目だ……私が動揺していては……兵も動揺し、士気も落ちてしまう)

レングは兵の様子を見て、そう気づいた。

「兵を集めてくれ」

「は、はい!」

伝令兵にそう言って、レングは兵士を集めさせた。

「皆、よく聞け!!」

兵に向かって大声で呼びかける。

「サイツはミーシアンを守るため重要な土地だ!! サイツがやられれば、次はミーシアンが狙われることになる!! 命をかけてでも守らねばならない!!」

勇ましい顔で叫ぶレングを、兵士たちは真剣な表情で見つめる。

「飛行船は確かに一方的に攻撃される恐怖はあるが、先ほどの攻撃では死者はゼロだ! そこまで敵の魔法兵は、威力のある魔法を使えないようだ! 恐れる必要はない!」

その言葉を聞いた兵士たちは、少しだけ表情が緩んだ。不安が解消されたようだ。

「魔法防御があったからだろ……?」「もう、壊れたらしいし、次はどうなるか……」「逃げたほうがいいんじゃ……」

全員の不安がなくなったわけではなく、一部の兵士たちはひそひそとそう言っていた。

「まだビビってるやつがいるようだな」

横からトーマスがそう言った。

「はっきり言ってやるが、飛行船で死ぬ奴は出る。だが、それは戦だから当たり前のことだ。死ぬのをビビってちゃあ戦なんぞ出来ん」

全軍を睨むトーマス。

「飛行船にビビるような腰抜けは、去ってもらってもいい。別にいてもいなくても変わらんからな。帰って畑でも耕してろ」

「う……」

トーマスに言われて、話をしていた兵士たちは黙る。

どうするか迷っているような反応だ。

「ま、帰るのも一つの手だけど、勿体無いとは思うけどね」

ミレーユが発言する。

「ここにいるレングは、クラン国王の息子だ。つまり次期国王になる男ってことだ。こいつに戦いっぷりを認められれば、将来出世するかもよ〜。貴族になって、領地持ちになって、そんで可愛い嫁が貰えるかもしれない。大チャンスだとは思わないかい」

ミレーユはレングを見る。

「あ、ああ! そうだ!! 戦で戦功を挙げたものには、特別報酬が出るぞ! 将来貴族に取り立ててやることも私なら出来る!!」

レングは大声でそう言った。

「き、貴族……」「特別報酬? いっぱい金が貰えんのか?」「領地が貰えるかもってまじか……」

ざわざわと兵士たちが話し始める。

「お、俺は、マイケル・トリアンと言います!! 絶対次の戦で戦功を上げて見せます!!」

一人の兵士が大声でそう言った。

「ず、ずるいぞ!!」「俺は……」

それに釣られるように、兵士たちが自分の名前を言い、戦功を挙げると宣言した。

「うむ、皆のやる気は分かった!! 次の戦では存分に頑張ってくれ!!」

兵士たちから歓声が上がった。

落ちかけていたミーシアン兵の士気だが、レングたちの力により何とか持ち直すことができた。

兵たちの士気を建て直した後、どう戦うかレングは軍議を始めた。

「現状不利は変わってはいない。敵はバルット城を攻略する部隊と、ここクーハ城を攻略する部隊とで二手に分けて攻めてきた。こちらの方が早く落とせると言う判断か、クーハ城の攻略に飛行船が来ている」

トーマスがそう言った。

「バルット城の様子はどうなっているのだ?」

レングが尋ねる

「報告によれば、シューツ側はバルット城付近の街道に布陣し、まだ攻め込んではいないようだが、着々と準備を進めているようだ。アシュドがどうするかは分からない。クーハ城の攻略を防ぐため、出陣するのも一つの手だろうが……」

「まあ、リスクが高いね。兵数で負けている以上、攻城戦に持ち込まなければ、勝率は低くなる。バルット城の兵士が出陣すれば、こっちに来ている飛行船が、バルット城の兵士たちとの戦いに向かうだろうからね」

「な、なるほど……」

「シャーロットのように城を簡単にぶち壊せるほどの、魔法兵が乗っている場合は、攻城戦でも飛行船は強いが、そうじゃない場合は、城の防御魔法に防がれて、逆にあまり効果が出なくなる。バルット城はかなり堅牢だし、ほとんど飛行船の攻撃は通らないと思った方がいい。野戦だと防御魔法が張れないから、魔法兵の力量が低くても、かなりの戦果が上げられる。そう考えると、野戦をするのはあまり得策とは言えないね」

「この城は何とか我々で守り抜かねばならないということか……」

ミレーユの話を聞き、レングは不安そうな表情で呟く。

「次、飛行船がこの城を襲えば、恐らく防御魔法は壊れる。飛行船の攻撃をモロに喰らうだろう。その後、敵軍は城を奪うため、一気に攻撃を仕掛けてくるはずだ」

「守り切る策はあるのか?」

「策ね……」

ミレーユは考え込む。

「ちょっとばかしリスクはあるけど、一応思いついたよ」

「リスク……か。言ってくれ! 今の状況……なんのリスクもなしに、抜けるのは難しいだろう」

「わかった。説明するよ」

ミレーユは策をレングとトーマスに説明する。

「それはいい考えだ!! 私なら絶対に引っかかるぞ!!」

「ま、成功すれば確かに効果はありそうな策だが……上手くいくかな」

レングは目を輝かせて言ったが、トーマスは懐疑的に見ていた。

「これ以外の策は私には思いつかんだろうし、ミレーユ! お主の案を採用する! このまま待っていても、負けるだけだし、やってみる価値はあるはずだ!」

レングはミレーユの案を採用すると決めた。

「それでは早速動くぞ! 準備を始めるのだ!」

策を実行するための準備をレングたちは始めた。