軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第320話 サイツ防衛戦 軍議

アルスがセンプラーを奪還する前。

サイツ、首都ペンドラ。

シューツ州から来た軍勢に対して、対策のため軍議が開かれていた。

国王であるカイルは出席しておらず、最近ペンドラに戻された、アシュドが出席をし、議長を務めていた。

アシュドのほかに軍師のラダス、そして、カナレから防衛の戦のために、援軍としてやってきたミレーユ、トーマス、そして、

「この私が来たからもう安心だぞ!! 大船に乗った気分でいるといい!!」

クランから援軍を命じられた、息子のレング・サレマキアがいた。

(こんなガキ援軍に寄越して……正気かねぇクランは)

ミレーユは呆れた表情でレングを見ていた。

「頼もしい限りですな。クラン様の後継者であるレング殿がいれば、百人力だ」

議長であるアシュドは、レングをおだてる。

「ははは、そうであろう! シューツ州如き恐るるに足らず!」

自信満々にレングはそう言っている。

「私だけでなくアシュド殿の高名もよく聞くぞ! とても戦上手であるとか! 軍師のラダス殿はサイツ一の知恵者だとか! そして、ローベント家からミレーユとトーマスも来てくれた! 二人は数多の戦功を残している、名将だ! 力を合わせれば敗北することはないはずだ!」

にこやかな表情でレングは場にいる者達を称賛する。

軍議に参加しているサイツの貴族達は、最初は不安そうな表情であったが、レングの言葉を聞き、表情が少し明るくなった。

「そうだ、我々にはアシュド殿がついている……!」「ミレーユ殿とトーマス殿は敵だと怖いが、味方になれば頼もしいぞ」「ラダス殿が何か良い策を考えてくださるに違いない」

貴族たちが安心したような口調で、話を始める。

(ふーん。意外とただの馬鹿ではないっぽいね……)

レングを見て、ミレーユはそう思った。

「お褒めいただき恐縮です。さて、本題に入りましょう。ラダス。状況を説明してくれ」

アシュドがそう言った。

その言葉に従い、ラダスが説明を始める。

「シューツ州が、大軍をサイツに送り込んできました。数は推定10万。我が軍は5万ほどです。ミーシアンの援軍を合わせると、7万はいますが、それでも数では負けていますね。敵軍はサイツ北部のバルット郡のローグ砦に向かって進軍中。数日あれば到着すると思われます」

冷静な口調でラダスは説明する。

「さらに、シューツ州が飛行船らしきものを、運んでいたという情報があります。まだ戦場には出てきていないようですが、飛行船の開発に成功した可能性があるようです」

「そりゃ、本当かい? 簡単に開発できるような代物じゃないと思うんだがね」

ミレーユが怪しむような口調でそう言った。

「確かにミレーユ殿の言う通りではありますが、しかし、飛行船を運んでいたという情報があるのも事実。ブラフの可能性もありますが、警戒はしておくべきかと」

「ふむ……まあ、飛行船自体は戦で何回か見せてるし、見る人が見れば、作り方が分かったりするのかね?」

ミレーユは腕を組みながらそう言った。

「もし飛行船があっても、こちらもあるし、攻撃して落としてしまえば問題ない!」

レングが自信満々に発言する。

「……逆に落とされる可能性もある。今までは絶対攻撃されない場所から、攻撃できてたのがそうもいかなくなるだろう」

トーマスが冷静な口調でそう言った。

「むむ……そ、それは……飛行船は失いたくないな……」

レングは焦ったような表情を浮かべる。

「それでも敵軍が飛行船を使ってきた場合は、こちらも使わざるをないでしょう。それで勝てれば良いのですが……空戦の経験はお互いゼロなので勝敗はどうなるか分かりませんね」

アシュドが難しそうな表情で言った。

カナレが作った飛行船は今まで一方的に地上を攻撃してきたが、飛行船同士の戦いの経験はない。

練習も危険なので出来ていない。

「1対1となると、戦術も組みづらいねぇ。飛行船の操舵経験はこちら側が上ではあるけど、結局勝ち負けは飛行船の上にいる魔法兵の力量で決まりそうだね」

「そうですね……カナレの誇るシャーロット殿がいれば勝てるでしょうが……今はセンプラーの方に行っておられるようですし……」

「サイツには良い魔法兵はいないのかい?」

「そうですね……国最高の魔法兵でも、シャーロット殿と比べると、かなり見劣りします」

アシュドは困り顔でそう言った。

「シューツ州にはいるのだろうか?」

レングが尋ねた。

「ラント・モートルという齢70近い、魔法兵がいます。ただ、年齢的に衰えてきているようではありますね。最近はあまり戦場には出てきていません。彼以外となるとそこまで強い魔法兵は思いつきませんね」

レングの質問にラダスが答えた。

「そうか……ただ、衰えていると言っても油断はできぬな!」

「それはそうですね。サイツは彼に何度か痛い目に遭わされた経験がありますから」

アシュドは昔の戦を思い出すようにそう言った。

「とにかく現状はそんな感じですね。不利な戦には変わりないですが、何とかするしかないでしょう」

アシュドは軽い感じでそう言った。

「サイツ軍は私が率います。ミーシアンからの援軍はレング殿が指揮し、副官をミレーユ殿、トーマス殿が務めるという形になるでしょうか?」

「そうであるな!! よろしくお願いするぞ、ミレーユ、トーマス!!」

「気は進まないけどねぇ」

「……まあ、良いだろう」

ミレーユとトーマスは、あまり気乗りしないという表情でそう言った。

「それでは出陣いたします」

「うむ! 我々も行くぞ!」

シューツからの軍勢を迎え撃つため、ペンドラから大勢の兵が出陣した。