軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

490 観光旅行 2

秋葉原では、コンカフェ巡りでそれなりに飲食したので、改めて食事を摂ることなく帰宅。

そして家に戻ると、お店では自重していたらしきサビーネちゃんとベアトリスちゃんが、一斉に喋り始めた。

「な、ななな、何よ、あの店のメイド達は!」

「あ、あんなの、メイドじゃないわよ! 場末(ばすえ) の女給じゃないの!!」

怒っているのではなく、動揺している。そんな感じの、ふたり。

あ~、まあ、本物と較べちゃあねぇ……。

「あれは、本物のメイドさんや執事じゃないよ。

コンカフェ、つまり『コンセプトカフェ』って言って、特定のテーマに基づいた内装、衣装、接客、メニューなどの、体験そのものを楽しむことが目的の、……何というか、まぁ、『ごっこ遊びを楽しむお店』ってとこかな。

だから、あのメイドさんや執事とかは、みんな真似事であって、本職じゃないよ」

「ミツハ、質問!」

あれ、コレットちゃんが元気よく右手を挙げたぞ。

「何?」

「執事は『執事』って言ってるのに、どうしてメイドには『さん』付けなの?」

「うっ……」

鋭い質問だ!

「……いや、それはその、何というか、『メイド』という言葉の 枕詞(まくらことば) と言うか……」

私が、そんな苦しい言い訳をすると……。

「枕詞は、単語の前に置くのじゃなかった?」

「ぐはっ!」

痛恨の一撃を受けた!!

「い~んだよ、細けぇこたー!」

「あ、逃げた!」

「誤魔化した……」

サビーネちゃんとベアトリスちゃんからの追撃が来た。

うるさいわっ!!

「……じゃあ、妹カフェの子達も、本当は……」

「いや、中には本当にお兄さんやお姉さんがいる子も含まれているだろうから……」

コレットちゃんの質問に、そう答えたところ……。

「でも、少なくとも私達の妹じゃないよね?」

「そ、それはまぁ……」

そりゃ、あの子達が、サビコレベアーより年下だったら、怖いわっ!

「とにかく、深く考えちゃ駄目! 考えるんじゃない、感じるんだ!!」

「「「…………」」」

よし、何とか逃げ切ったぞ!

「……そして、お人形……、『ふぃぎゅあ』というやつ、アレ、買いたい!」

「あ、私も!」

「私も欲しい!」

うむむ、3人共、フィギュアが気に入ったか……。

勿論、えっちなやつではなく、綺麗系と可愛い系、カッコいい系のやつね。

そしてどうやら、スーパードルフィーやガンプラとかもフィギュアの一種だと思っているみたいだ。

「『 臼異本(うすいほん) 』とかいうのはともかく、『ふぃぎゅあ』というのは、買っても問題ないんじゃないの? アレ、どうして買っちゃ駄目なの?」

うっ……。

サビーネちゃんから、尤もな質問が……。

『 臼異本(うすいほん) 』は、3人には絶対に触らせず、問題のない表紙のものだけをチラリと見せただけなので、問題なし。

『好きなアニメや漫画の二次創作だよ』と言って、二次創作というものについて簡単に説明したけれど、みんな、元の作品を読んだ方がいいと思ったみたいだ。

素人が描いた、ということには、かなり驚いていたけれど……。

まあ、驚くよね、そりゃあ。みんな、プロ並みの画力なんだもの……。

でも、フィギュア(ドールを含む)には、心を奪われたみたいだ。

まあ、むこうの世界で売っている人形とは、比較することすらできないよね、 日本(こっち) のとは……。

ビスクドール……素焼きの磁器で作られた人形……とかも素敵だけど、向こうの世界ではまだそういうのが作れるレベルには達していないし。

まあ、ちゃんと理由を説明するか……。

「価格が高い。造りが細かいから、乱暴に扱うと折れたり壊れたりする。変色や劣化に対処するためには 製造元修理(里帰り) が必要で、手間とお金がかかる。うちの大陸では手に入らないから、これを見た令嬢とかが欲しがると困る。着替えやオプションパーツとかを揃え始めるとどんどんお金が掛かるようになって、沼る……」

「「「うっ……」」」

うむうむ、3人共、そうなりそうだという自覚があるみたいだね。

まあ、今の説明は、フィギュア、ガンプラ、スーパードルフィー等を一緒くたにしたものだから、全てに当てはまるというわけじゃないけど……。

フイギュアはともかく、ドールはお金と心に余裕のある人の趣味だよねえ。

「それと、ドール関連は、『買う』と言っちゃ駄目だからね。ちゃんと、『お迎えする』とか、『うちに来ていただく』とか言わないと、怒られるからね!」

「「誰に怒られるのよっ!!」」

息が合ってるなぁ、サビーネちゃんとベアトリスちゃん……。

まあ、ドルフィーちゃんなら、お迎えしてもいいか……。

あ、スーパードルフィーだけでなく、ドルフィードリームもいいなぁ……。

* *

「今日は、広島に来たよ~!」

「……ヒロシマ? あにめとかではあまり聞かない地名だよね?」

サビーネちゃんの言葉に、ベアトリスちゃんとコレットちゃんも、うんうんと頷いている。

まあ、確かにアニメではそんなに出てくる場所じゃないか……。

でも、日本を旅行する場合、絶対にここを外せない理由があるのだ。

それは……。

うん、『お好み焼き』だ! そして、『 関東煮(かんとだき) 』!!

『広島風お好み焼き』などと言う者は、広島の飲み屋やタクシーの車内でカープの悪口を言った者と同じ運命を辿ることになるのだ。

……まあ、翌朝 川面(かわも) に浮いている、とまでは行かないと思う。……多分……。

広島のアレが、正しき『お好み焼き』であって、大阪のが『大阪風お好み焼き』なのである!

なので、『広島風お好み焼き』などという言葉は存在しないのだだだ!!

まあ、アニメで言うところの『無印』と同じだよね。シリーズ物の初代作品を、続編及びシリーズ全体と区別する際に用いられる言葉である、『無印』。

元祖。真祖。基準。オリジナル。

具材は層をなし、決してキャベツがメリケン粉の中にめり込んでいたりはしない。

キャベツの甘みと食感。オタフクソース。

だけど、私は王道から少し外れて、肉は豚肉ではなく牛肉、麺を入れる時はソバ玉ではなくうどん玉なのだ! 麺なしも好きだし! ハァハァハァ……。

「姉様、いったい何と戦ってるのよ……」

みんなが、呆れたような目で見ているけれど……。

譲れん!

ここは、決して譲れんのだ!!