軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

463 招待パーティー

今日は、『ソサエティー』のお茶会。

場所は、いつものみっちゃんちの小ホール。

今日のお茶会には、ミレイシャちゃんの件で協力してくれた、『ソサエティー』のメンバー以外の令嬢達を招いているから、人数が少し多い。

協力してくれたとはいっても、デマを流した罪滅ぼしに、とか、ただ情報を教えてくれただけ、とかいう令嬢達ではなく、デマの拡散には関わっていないのに、わざわざミレイシャちゃんの護衛役を務めてくれた上級貴族家の令嬢とか、自分の誕生パーティーを『糾弾ざまあ』の場として提供してくれた令嬢とかの、『ソサエティー』に協力的な令嬢達だ。

『ソサエティー』に加入させてあげることはできないけれど、『ソサエティー』がどのような親睦団体かという、雰囲気だけでも体験してもらいたいと思って……。

勿論、協力に対するお礼はそれだけではなく、みんなには既に贈り物をしてある。

上級貴族家の令嬢に小粒の宝石……勿論、人造宝石……を贈るのは品がないし、大粒のものや真珠とかを大量にバラ撒くのも、よろしくない。

人の厚意にお金で返すのは、駄目だよね。……特に、友情に関係することとかでは……。

なので、お礼の品は、金額的にはそう高くないもので。

……但し、 日本では(・・・・) 、だけどね。

ここでの価値は、分からないから……。

いや、人造宝石も日本じゃ安いけど、そうじゃなくてね。

珍しくて、女の子に喜んでもらえそうな、ちょっとした異国の品物を……。

精巧な造りの、可愛いぬいぐるみ。

クリスタルガラス製の、小さな置物。

チョコレートの詰め合わせ。

綺麗に映る鏡。

精密なとげ抜き。

アイディア商品。

永久機関(笑)である、水飲み鳥。

……そういったものを贈ったわけだ。それぞれの好みを調査して、相手に合わせて、個別に……。

好みの調査は、我が『ソサエティー』の諜報網を使えば、簡単だったよ。

いや、別におかしな方法を使ったというわけじゃないよ。相手側のお友達に、『お礼をしたいのですが、あの方はどういうものを喜ばれるでしょうか?』と聞けば、あの方は可愛いものが好きですわ、とか、実用的なものがお好みのようですわ、とかの情報を、積極的に、ノリノリで教えてくれたのだ。

まあ、自分のお友達が喜ぶことの手助けができるし、『ソサエティー』のメンバーと仲良くできる機会は嬉しいだろうからね。

打算的な考えだけでなく、敬虔な信徒は『ソサエティー』のメンバーのことを女神の御寵愛を受けし者達、と思い、本当に敬愛していたりするしね。

ま、そういうわけで、私が自分で贈り物を渡しに行った時に、招待状も一緒に渡したというわけだ。

……うん、参加を辞退する者は、ひとりもいなかったよ……。

何でも、『王宮のダンスパーティーを辞退する者はいても、「ソサエティー」のお茶会を辞退する者はいない』とか……。

いやいやいやいや!

王宮のダンスパーティーって、それ、王族や上級貴族の令息達が婚約相手を探すためのやつ!!

そんなの欠席する令嬢はいないだろ!

……って、勿論比喩表現に決まってるけど、それくらい『辞退することはあり得ない』ってことか……。

まあ、『 ソサエティー(うち) 』の子達との交流を狙うも良し、お茶会の雰囲気を楽しむのも良し。自由に過ごしてもらえれば、それでいいや。

今日は、皆さんへのお礼のお茶会なのだから……。

* *

「ええっ! アルターナ様、『愛の煉獄』をお読みになったの!

……で、『推し』は! 『推し』は、どなたですのっっ!!」

「『春の嵐』の上演は、初日より3日目の方が、役者の皆様、ノっておられませんでした?」

「おお、あなたもそう思われましたの! そうですわよね、観客の反応に手応えを感じ始めて、役者の方々がその実力を発揮されましたのが、3日目以降ですわよね!

通(ツウ) は、3日目に行くものですわよね、演劇というものは……」

「美味しいですわ! 今日のスイーツ、新作が多いですわね……」

「「「「「「…………」」」」」」

う~ん、招待客の皆さんが、圧倒されて黙り込んでいるなぁ……。

いや、今日はお礼のお茶会なんだけど、お客さん達には いつものお茶会(・・・・・・・) をそのまま見せてあげようと、メンバー達には『忖度なしの、いつものままのお茶会を』、と言っておいたのだけど、……あまりにも、 いつものまま過ぎ(・・・・・・・・) !!

……いや、いいんだけどね……。

あ、演劇好きなのか、最新作の話で盛り上がっているところに、招待客のひとりが突入した!

自分もその話題について話したくてうずうずして、我慢できなくなっちゃったか……。

うん、ここは、 そういう話(・・・・・) をしてもいい場所なんだよ。他人の耳を気にする必要なんかなしでね。

別の子が、スイーツコーナーに突っ込んだぞ。

まあ、見ただけで分かるよねぇ、絶対に美味しいに違いない、って……。

レフィリア貿易では取り扱っていない、ここでのみ購入できるヤマノ製の品々のカタログを見ながら色々と意見を交わしつつ検討しているグループにも、何人かの招待客が入り込んでるな……。

今日のみの1回限りだけど、招待客の皆さんにも購入権を与えてあるのだ。

……勿論、メンバー達と同じく、1回あたりの購入金額には制限が掛けてあるけどね。

父親に高く売りつけるための蒸留酒か、美味しい食べ物か、ドレスやアクセサリーか、それとも化粧品か……。

化粧品は、うちの代理店になっているあの小間物屋でも買えるけれど、ここではアソコでは取り扱っていないものがたくさんあるからねぇ……。

メンバーに話し掛けて、お化粧の技術について色々と聞いている者もいる。

普通は、『門外不出の、組織の秘伝』扱いなんだけど、今日だけ、ほんの少しヒントを与えてあげているみたいだな。

まぁ、今日の招待客は、友好的な令嬢達であり、味方扱いだから、それくらいはいいか。

うちのメンバー達と同じ男性を奪い合うことにさえならなければ、問題はない……のだけど、上級貴族の令嬢が多いから、バッティングする確率、結構高そうだぞ……。

あ、この年齢だと、大半はもう婚約者がいるか……。

勿論ミレイシャちゃんも招待してあり、彼女は自分を助けてくれた令嬢達にお礼の挨拶廻りをしている。

……というか、このパーティーの趣旨から考えて、今日来ている令嬢達はメンバーも招待客も全員がミレイシャちゃんのために尽力してくれた人達ばかりじゃん。

ミレイシャちゃん、挨拶廻りだけでお茶会が終わっちゃいそうだな。

「……大丈夫かな……」

「心配だよね……」

え?

連れてきているサビーネちゃんとコレットちゃんから、そんな心配そうな言葉が出たけれど……。

「みんな、喜んで、楽しんでくれてるよね? お礼のイベントとしては、大成功じゃないの。

飲食物は日本のものだから、そんなに高くついた訳じゃないし……。

これで、また困った時には協力してもらえるなら、安いものだよ」

「「…………」」

ふたりとも、何を心配してるんだか……。

あ、敵対派閥の 間諜(スパイ) が交じっている可能性か!

さすが、サビ・コレコンビ、よく気が付くなぁ。

そのあたりには、気を付けよう。

さて、招待客の皆さん、充分楽しんでくれているかな……。

* *

「……ミツハさん、先日、お茶会に招待しました方々ですけど……」

「ん? あの子達が、どうかしたの?」

サビ・コレコンビを連れて、次回のお茶会の打ち合わせに行ったら、みっちゃんが困ったような顔で、何か言ってきた。

「……全員が、『ソサエティー』に入れてくれと泣き付いて来られましたの……」

「え……」

「「やっぱり……」」

絶句した私に、サビーネちゃんとコレットちゃんから、無慈悲な言葉が投げかけられた。

「当たり前じゃん……」

「自業自得だよ、ミツハ……」