作品タイトル不明
394 パーティーの開催 2
ボーゼス侯爵様からパーティーの開催を命じられ、色々と考えている。
「う〜ん、どういう形式にしようかなぁ……。
普通のパーティー、ダンスパーティー、仮面舞踏会、天下一舞踏会……」
「お嬢様は武道会で踊るの?」
おっと、サビーネちゃんからの突っ込みが……。
そう、今はネタ出しタイムなので、サビーネちゃん、コレットちゃん、そしてベアトリスちゃんがいる。
場所は、うちの領地邸の、私のプライベートルームだ。
パーティーの目的というか開催理由は、レセプションパーティーで、ヤマノ領と雑貨屋ミツハの商品の宣伝だ。
そして今考えているのは、パーティーの形式。
「 晩餐会(ばんさんかい) 形式にするかなぁ……」
「やっちゃえ、晩餐会!」
イリヤちゃんかな?
サビーネちゃんが言うと、似合いすぎ!
いや、晩餐会だ、バーサーカーじゃないよ!
晩餐会は、ディナーパーティーだ。立派に、パーティーの一種だと言い張れる。
……でも、貴族の皆さんがうちのパーティーに求めるのは、 晩餐(ディナー) ……、正餐じゃないよね。
席に着いて普通のフルコース料理を食べたいんじゃなくて、もっとおかしな、珍しいものが食べたいのだろう。
そして、座りっぱなしじゃなく、何か面白い、楽しいことを期待するだろう。
……なら、晩餐会はボツだな。
そもそも晩餐会形式だと、人数が多いと調理も給仕も追いつかないよね。
ダンスパーティーも、仮面舞踏会もパス!
そもそも私がダンスを踊れないし、商談や根回しをするのに、仮面で相手が誰だか分からないんじゃ、どうしようもないよ。
「じゃあ、天下一舞踏会、かな?」
コレットちゃんが、そんなことを言ってきたけど……。
それ、優勝者は怪力のコレットちゃんだよね!
「ハイハイハイ!」
今度は、ベアトリスちゃんから。
まあ、自分も発言したいよね……。
「そんなに深く考えないで、普通でいいんじゃないかな。
今までのを踏襲して、それぞれを更にグレードアップ、ってことで。
寸劇、ヤマノ料理、ちょっとしたお遊びとか……。
ただの普通のパーティーなんだから、はなびとか電飾行進みたいな、お金が掛かる大掛かりなのは必要ないでしょ」
なる程……、って、自分のデビュタント・ボールの時より凄いものを出されたくないだけなんじゃないのか、ベアトリスちゃん!
……いや、そんな様子は 微塵(みじん) もないな……。普通に、良かれと思って提案してくれているだけみたいだ。
確かに、普通のパーティーであまりお金がかかることをやると、後が続かないよね。まだ、サビーネちゃんのデビュタント・ボール、ルーヘン君の成人の儀、その他諸々が控えているというのに。
ごめん、ベアトリスちゃんの純真な提案を色眼鏡で見てた。
……反省!
「私の時より凄いのは、出しちゃ駄目だからね!」
台無しだあぁ〜〜!!
「それは、サビーネちゃんのデビュタント・ボールまで取っておいてよね」
えええ……。
純真なのかと思っていたら利己的、……かと思えば、実は友達思いのいい子。
ダブルトリック!!
まぁ、やっぱりベアトリスちゃんは良い子、ってことだ。
「本筋は、ベアトリスちゃんの案で行こうかな。
そして、もうひとつの要・検討事項は……」
「開催場所かな?」
さすが、サビーネちゃん。さすサビ!
「うん。普通はその貴族家の王都邸、そこのパーティールームかダンスホールとかでやるよね?
でも、 ヤマノ家(うち) の王都邸は……」
「雑貨屋ミツハ、だもんね……」
そう。コレットちゃんが言う通りだ。
そして雑貨屋ミツハには、パーティールームもダンスホールもない。
「どこかの貴族家のダンスホールを借りる?」
そう提案したけれど、ベアトリスちゃんから物言いが付いた。
「駄目よ、ミツハ。そんなことをすれば、パーティー会場を確保するのに他家の助けが必要であると宣言したも同じよ。そして、その貴族家の下に付いている、と思われるわよ。
そりゃ、ミツハは救国の大英雄だし評判が高いけど、それを妬んだり足を引っ張ったり、そして自分で悪評を広めておいて味方 面(づら) して擦り寄ってくる連中とかがいるから、弱味や隙を見せちゃ駄目!
ボーゼス家(うち) の王都邸を使うというのも、あまりうちとの関係を露骨に出すのは良くないからね……」
……これだ。
童顔で幼く見えるけれど、ベアトリスちゃんは、あのボーゼス侯爵様とイリス様の娘だ。
そして、昔サビーネちゃんの 先輩指導員(チューター) に選ばれただけのことはある。
「じゃあ、教会……」
「あんなところに借りを作ったら、面倒なことになるよ。
寄付の要求くらいで済めばいいけど、名前だけでいいから巫女として登録してくれとか、宗教的イベントで訓示を頼むとか、色々と攻めてくるよ……。
まあ、悪意はない、ただの客寄せカーバンクル扱いだから害はないだろうけどね」
「……あ、うん……」
サビーネちゃんのアドバイスで、教会のホールを借りる案は、ボツに。
「中央大広場での野外パーティー、ってわけにも……」
「行かないよっ! 王都民を締め出して占有することはできないし、無関係の平民が大勢いる場所でパーティーなんかできないよ!
それに、姉様やベアトリスちゃん目当てで人が集まってきて、テーブルの料理やお酒に手を出す者が現れて、……後は阿鼻叫喚の地獄絵図だよっ!」
……駄目か……。
「でも、そんな姉様に、耳寄りな情報が!」
「え?」
「ちゃんとした建物で、広さも設備も問題なし。
貴族がパーティーを開いても恥ずかしくない場所で、おかしな勢力の紐付きじゃない。
上下関係とかを邪推されたり、弱味として 突(つつ) かれることもない。警備も万全。
そういう場所に、心当たりがあるよ」
何と、サビーネちゃんからお買い得情報が!
「どこかな、それ!」
「……王宮の大ホールと、ダンスホールだよ」
「ああ……。
そりゃ、王宮の施設を借りて、陰口を叩かれることはないか……。
逆に、子爵風情が私的なパーティーに王宮のホールを借りることができるとか、どんだけ王族にコネがあって無理が通せるねん、ってことになるか……」
うん、それで行くか……。
というか、それしかない。
今こそ、王様への貸しを取り立てる時だだだ!