作品タイトル不明
342 ソロリティ 7
創設メンバーの無記名投票……但し、私には誰が書いたか分かるようになっている……で反対者がひとりもいなかった伯爵家と侯爵家の子を数人、合格者として受け入れた。
さすがに、元々のメンバー……子爵家以下の者と、平民であるが大商人や高名な人物等の娘……を上回る人数を受け入れるわけがなく、あくまでも多数を占めるのは下級貴族と一部の平民達、というスタンスは崩さない。
そして、受け入れた者の中には、勿論ベアトリスちゃんが含まれている。
他には、あの、私が王都滞在届けを出していなかったためにデビュタント・ボールを欠席してしまった、パストゥール伯爵家の次女ちゃんも合格していた。
真面目で優しそうな子だったし、御両親もいい人っぽかったよね。
……それに、私がダイヤの指輪をプレゼントしたという話が広まっているだろうから、ベアトリスちゃんと同じく、『 姫巫女様(わたし) のお友達枠』での合格かもしれないな。
他には、真面目そうな人、あんまり真面目そうじゃないけどムードメーカーで楽しい人、その他様々な人が合格した。……人数は、そう多くはないけどね。
中級貴族や上級貴族の御令嬢の中にも、愉快な人や変わり者の人もいるみたいだ。
あ、あのティノベルク侯爵家の御令嬢も合格していたよ。サビーネちゃんが言っていた通り、みんなに一目置かれている、立派な家のお嬢様だったみたいだ。
よし、これで、『ソロリティ』の態勢は 盤石(ばんじゃく) だ!
主宰者としての実務面は、アデレートちゃん。
上級貴族としての身分的な統率は、ベアトリスちゃん。
宗教的なシンボルと飲食物、化粧品等の『撒き餌』担当は、私。
あ、ベアトリスちゃんは『聖女様』だから、宗教的なシンボルは、私と2本柱かな。
王族としての国家中枢との繋がりは、サビーネちゃん。
……完璧の母!!
そしてこの4人は、私を中心として、鉄壁の団結力を誇っている。
誰かがその一角を切り崩して、なんてのは不可能だ。
……まず、私とサビーネちゃんは、替えが利かない。
アデレートちゃんは、主宰者。
それに、ベアトリスちゃんは、以前サビーネちゃんの御学友……というより、 話し相手(コンパニオン) かな……としてお世話役をしていたから、サビーネちゃんとは仲良しで、立場を越えた関係でもあるんだよねぇ。
サビーネちゃんのお相手要員には、幼い子供の我が儘に耐えられるよう、2~3歳年上の者が選ばれたらしいのだけど、それまでに何人もがすぐにサビーネちゃんから『チェンジ』を言い渡されていて、やっとベアトリスちゃんで半年以上保ったらしいのだ。
……それも、別にベアトリスちゃんが半年で首になったというわけじゃないらしい。
サビーネちゃんがそれまでの お相手(・・・) と合わなかった理由が、『サビーネちゃんの頭が良すぎること』だということが露見したためだとか……。
それまでのお相手は皆、サビーネちゃんを年下の幼児だと思い、軽くあやせばいいとか、うまく 手懐(てなず) けて、とか考えていたらしい。
それが、ベアトリスちゃんの報告により、『サビーネちゃんの頭が良すぎる』という事実が判明し、年上の子供に遊び相手をさせるのをやめて、かなり優秀な成人女性を 家庭教師(ガヴァネス) に就けることにしたそうな。……7歳の時に。
さすサビ!
なので、半年という短期間ではあったけれど、ふたりは仲良しだったそうなんだよね。
それまでの者達とは違い、ベアトリスちゃんはかなり聡明だから、サビーネちゃんとは割と話が合ったらしくて。……3歳差だけど。
このふたりの間に割り込むことができる同年代の子供は、まず、いないだろう。知的レベルの問題で、多分、会話が噛み合わない。
……あ。
以前、ベアトリスちゃんが、サビーネちゃんを私に取られ、私をサビーネちゃんに取られたと思って、呆然というか愕然というか、とにかく大ショックを受けて大変なことになりかけたことがあったのだけど……、考えたら、それも無理ないか。
もし自分の恋人が、自分の親友と仲良くなって、ふたり手に手を取って去っていったとしたら……。
地獄やん!!
あああ、ベアトリスちゃんには、申し訳ないことをしたなぁ……。
何か、あの時の埋め合わせをしなくちゃ……、って、デビュタントボールでの大サービスで帳消し、ってことでいいか。
子供をあんまり甘やかすのは、良くないよね!
……って、デビュタントボールを終えて社交界デビューしたのだから、ベアトリスちゃんは、もう立派な大人か……。
そして私は、一応、対外的にはまだ未成年ということになっている。
2年前からこの外見のままだから、そろそろ化けの皮が剥がれかけているけれど……。
……い~んだよ、細けぇこたー!
この国のために生命力を使いすぎたせいだと言えば、誰も陰口を叩くことはできまい!
はぁはぁ……。
とにかく、少なくとも、国内において我が『ソロリティ』に敵対する、……いや、 敵対できる(・・・・・) 勢力はあるまい。
何しろ、普通の国だと権力争いで対立しそうな勢力である、王族派、貴族派、宗教的シンボル、救国の英雄の、全ての者達が関わっているのだ。
しかも、国内の結婚相手として有望な少女達の多くが所属。
……アレだ、アレ。
圧倒的ではないか、我が軍は、ってヤツ。
あと、メンバーの中で 使えそうな者(・・・・・・) を選抜して、仕事を振ったり、情報収集をお願いしたりしよう。
……何か、サビーネちゃんの将来の取り巻き候補と丸かぶりしちゃいそうな気がするけれど、ま、それでも別に構わないか。
サビーネちゃんは『ソロリティ』と王宮とのパイプ役になってくれて、『ソロリティ』はサビーネちゃんの後援会的な役割を果たしてバックアップ、互いに助け合う。
サビーネちゃんの意に染まぬ縁談とかが来たら、『ソロリティ』の全力を以って叩き潰すのだ!
わはははは!
あ、そういえば、新大陸のヴァネル王国には、私の『ソサエティー』のパクリサークル、『ソロリティ』というのがあったな……。
同じ名前だけど、ま、問題ないだろう。
向こうとは言葉が違うし、そもそも、あのサークルが両大陸の交流が始まるまで存続しているとは思えない。
……絶対、1年も保たずに空中分解するよね。
権力とコネとお金目当ての者ばかりが集まって、経費や労力を無償で提供しようとする者がひとりもいない、親の爵位や派閥で力関係や立場が決まる交流会。
そんなのに参加したがる、下の立場の少女がいるとは思えない。
中級から上級の者達の集まりだから、『下の立場』といっても、伯爵家の御令嬢とかだ。そんな少女達が、侯爵家や公爵家の令嬢達に 顎(あご) で使われて、我慢できるとは思えない。
最初は親に強制されて仕方なく参加しても、すぐに拒否するようになるだろう。
そして、下の者がいなくなれば、次はそれまで中位であった者達が、上位の者達から下っ端扱いされるようになる。
……半年、保つかなぁ……。
そして、もし何年か先に新大陸との交流が始まったら、旧大陸の『ソロリティ』と新大陸の『ソサエティー』が姉妹組織として提携し、両大陸の親善に寄与したりして……。
うんうん、どんどん夢が、広がりんぐ!