軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

339 ソロリティ 4

「……ツハ! ミツハ!!」

あ……。

「戻ってきた?」

「うん、ごめん……」

また、思考に没頭してた。

サビーネちゃんやコレットちゃんが言うところの、『ミツハの妄想タイム』というやつだ。

……妄想ちゃうわ! ちょっと、深く思索してるだけだよっ!

「とにかく、顔合わせと入会の意思確認のための、第0回の『ソロリティ』お茶会の準備だね。

締まっていこう!」

「「お~!」」

* *

そして、それから3週間後。

ライナー子爵家のホール……アデレートちゃんのデビュタント・ボールが開催された場所……で、『ソロリティ』の第0回お茶会が開かれた。

うん、招かれたのは子爵以下の貴族家の娘、大店の娘、そうお金持ちではなくても有名な家の娘……平民でありながら重職に登用された家の娘とか、高名な学者の娘……とかだし、人選には細心の注意を払ったので、あまり高慢な者や、態度の悪い者はいない。

まぁ、国家的大英雄である 雷の姫巫女様(わたし) や、王様夫妻や両王子殿下、ちぃ姉様と上姉様から 溺愛(できあい) されている上、貴族や平民からの人気が高い 第三王女殿下(サビーネちゃん) の前で、おかしな態度を取るような勇者はいないよねぇ……。

下手(ヘタ) すりゃ、社交界での『死』を迎えるのだから。

元々、ほんの少数の『立場上、声を掛けざるを得なかった者達』以外は、実家の立場、家族の人柄、そして本人の人格を重視して選抜し招待したのだから、おかしなのは交じっていないのだ。

そしてやむなく招待した一部の者達には、『「ソロリティ」というのは、何やら下級貴族や平民達が集まり、多数決で参加者を意のままに従わせる組織らしい』という噂をこっそりと耳に入れているので、工作対象者は全員が辞退、もしくは無視してくれた。

本人以外にはその話が伝わらないようにしたし、そんな話を聞いたということの証人もいない。

それに、もしそれを誰かに話したとしても、『多数決によって決議し、皆はその結果に従う』というやり方に、何の恥じるところもない。

斯(か) くして、『ソロリティ』は、当初の計画通りのメンバーで初期会員、創立メンバーを揃えることができたというわけだ。うむうむ……。

そして、第0回お茶会は、ほぼ新大陸の時と同じく、順調に進んだ。

『雑貨屋ミツハ』による商品の優先販売……割引、限定商品あり。販売数の上限あり。

お茶会の時に特製スイーツ等の飲食物を無料提供。

肖像画(しゃしん) の製作受注(メンバー限定)。

貢献ポイント制度。

……そして、コレットちゃんによるお化粧の見本と、その除去の展示。

いやあ、 実戦証明(コンバット・プルーフ) 済みの作戦は、安心感があるよねぇ。

一撃必殺(イチコロ) 。『くっコロ』じゃないよ!

あとは、練習用の化粧品を配って、万事OK!

* *

……拉致された。

そして私は今、とある邸に監禁されている。

「ミツハ、どういうことよ!」

「……ミツハ、ちょっとお話ししましょうか……」

「ぎゃあああああ!!」

ベアトリスちゃんと、イリス様に。

どうやら、どこかのパーティーで『 ソロリティ(うち) 』の 娘(こ) 達を見たらしいのだ。

……バッチリお化粧した娘達を……。

あちこちのパーティーに出現する、急に可愛く、美しくなった少女達。

他の女性達が、その秘密を 探(さぐ) らないわけがない。

……勿論、イリス様とベアトリスちゃんも、その例外ではなかったというわけだ。

そして、その美少女達の共通点は……。

うん、『ソロリティ』という組織に辿り着き、その背後にいる『ヤマノ女子爵』、そして『雑貨屋ミツハ』が提供する、『ソロリティ』のメンバーのみの限定販売品である特殊な化粧品のことを知るまでには、数日も掛からなかっただろう。

そりゃまぁ、調べる気になれば、すぐに分かる。『ソロリティ』の正式な会合である第1回お茶会が開催されたあとは、私とサビーネちゃんが参加していることは隠していないからね。

……別に、わざわざ触れて廻っているわけじゃないけど。

「あのようなものを他家の女性達に与えておきながら、どうして私とベアトリスには渡さないのですか! え? いったい、どういうことですか!!」

「ミツハ、酷い!!」

あ~……。

「いえ、それは、アレは『ソロリティ』のメンバー限定のものなので……。

それに、イリス様とベアトリスちゃんは、あんなものなくたって充分美しい……」

「黙らっしゃい!!」

うひゃあ!

「そもそも、そんな怪しげな団体を立ち上げるのに、どうしてうちに何の相談もしないのですか!

そして、なぜベアトリスが主宰者どころか、一般会員にすら招かれていないのですか!

おかしいでしょうが! ボーゼス家(うち) を舐めているのですかっっ!!」

ひ~ん!

「い、いえ、『ソロリティ』はアデレートちゃんが 主宰(しゅさい) している団体で、私はただお手伝いをしているだけ……」

「黙らっしゃい!」

ドン!

うわぁ、『黙れドン』だよ……。

こりゃマズいなぁ……。伯爵家以上の入会制限、解除時期を早めるか?

他にも、伯爵家や公爵家からの入会希望者が殺到しているからなぁ……。

今は一応『子爵家以下の者の集まり』ということになってるけど、サビーネちゃんが名誉会員になってるから、自分も名誉会員か特別会員、参事、顧問、相談役、社外取締役……、まぁ、そういった『普通の会員より上の立場』で参加して、美味しいところを戴きつつ、サビーネ王女殿下や 姫巫女(わたし) と懇意に、って魂胆らしいのだ。一般会員にマウントを取り、『ソロリティ』以外の場でも支配的な立場を取ろうとして……。

まあ、一般会員より上位に、というのは許容できないけれど、みんなと同格でいいなら、そして実家の 立ち位置(ポジション) 、家族や本人の人格等に問題がなく、初期メンバー全員が賛成するなら、入会してもらっても問題ないのだけどね、上位貴族の人達にも。

イリス様は年齢的に無理だけど、そこはベアトリスちゃんがイリス様の分も購入すればいいだけのことだ。

……ベアトリスちゃんの入会が却下されることは、まずないだろう。

事前に私、アデレートちゃん、そしてサビーネちゃんが根回しするし、今をときめく聖女様の入会は、『ソロリティ』に箔が付く。

それに、ベアトリスちゃんは良い子だし、人から怨みを買うような子じゃない。

ボーゼス家自体も、地方の領主の纏め役的な存在であり、今まで王都での政争には関わってこなかったらしい。……つまり、敵対する貴族は殆どいない、ってことだ。

おまけに、会員の間に、それとなく噂を流す予定だ。

もし親友であるベアトリスちゃんが入会できなかったら、親友であるサビーネちゃんと私が『ソロリティ』を退会して、3人で新たな親睦会を設立する予定らしい、って。

そしてその場合、ベアトリスちゃんを排斥した『ソロリティ』の元会員は受け入れない、と……。

あ、それだとアデレートちゃんも 入(はい) れなくなっちゃうけど、あくまでもブラフ、脅しのための噂だし、私達が明言するわけじゃないから、そんなの知ったこっちゃない。あくまでも、出所不明の、ただの『噂』に過ぎないんだからね。

ま、そもそも、そんなことにはならないだろうけどね。

万一のことがあっても、色々と腹案は用意してある。

……抜かり無し!

ふはははは!

「……でも、どうしてミツハはお化粧しないの? そんな凄い化粧品を持っているのに……。

ちゃんとお化粧すれば、ミツハの平たい顔も、もっと陰影をつけて立体的に見せられるのに……」

ベアトリスちゃんからの、痛恨の一撃ががが!

うるさいわっ!

「そうですよ、ミツハ。女の武器は、常に磨き、研ぎ澄ましておかねばなりません。

あなたも、せっかく優れた化粧品というものを持っているのですから、それを活用して、その平たい胸を何とか……、あ!」

しまった、という顔をして、自分の口に手を当てるイリス様。

……今、何て言った?

イリス様、今、何て言ったあぁっ!!

私の形相があまりにも凄かったからか、さすがのイリス様も罪悪感を覚えたらしく、慌てている。

「ご、ごめんなさい! ちょっと言い間違えただけですよ! つい、うっかりと本音が……」

うるさいわっっ!!