軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

頑張れナリキン……!! 俺はお前を応援しているぞ……!!

マスタールームに戻ってきて、ナリキンにみなし夫婦について教えた。

聖女がそれでなし崩し的に夫婦になることを狙っている可能性も。

『みなし夫婦……そんな制度、ありましたねそういえば……すっかり忘れておりました』

「気を付けろよナリキン。必ず1か月未満でダンジョンを踏破するか、一旦帰還しろ」

『はッ! かしこまりました!』

ナリキンも一応そういう制度がある事自体は知っていたが、適用される事例がほぼない事なので頭からすっかり抜け落ちていたようだ。

今回俺ノータッチなので、ダンジョン攻略に実際どれくらい時間がかかるかは一切分からない。ロクコが頑張って作っていたのでかなりの時間がかかるとは思うが……

「というわけだからロクコ、ダンジョンの難易度を下げておくか、ナリキンに攻略情報を教えてやってくれ」

「え、嫌だけど?」

「……ん? ごめん今ちょっと聞こえなかったな?」

「嫌よ。せっかく作ったダンジョンなんだからしっかり攻略してもらいたいわ」

……うん、そう来たかぁ。

「攻略したらこのダンジョン破壊しないといけないでしょ? 難易度下げたりネタバレしたら色々な仕込みがパァじゃない! 嫌よ私は! せめて正面から突破してもらわなきゃ納得できないわ!」

そう来たかぁ。

「気持ちは分かる。気持ちは分かるよ? でもこのままだとナリキンが聖女アルカと結婚しちまうんだよ?」

「いいじゃない結婚でもなんでもしたら。私は困らないわ。夫婦生活頑張ってねナリキン、ってダンジョンモンスターに命令するだけよ?」

確かにロクコは一切困らないな。

……うん、まぁ、ダンジョンコアのロクコにとってはナリキンは一体のモンスターに過ぎないし、いざとなれば切り捨ててもいくらでも替わりがある存在。

DPがあれば物理的に「お前の代わりはいくらでもいる」が出来ちゃうんだよな、ダンジョンコアだから。

そして、カリソト区のおかげでDPはじゃんじゃか稼げており、人化できるリビングアーマーの1人や2人、10人くらい揃えても余裕すぎるわけで。

実際、カリソト区管理のためにシルキーを何人か増やしてキヌエさんの部下に追加したし……

「大げさね。別に死ぬわけでもないんだからいいでしょうに」

「……確かに即座に死ぬわけじゃないけどさ」

ダンジョンモンスターのナリキンだよ? 聖女アルカに夫婦として張り付かれたらいずれバレて殺されるだろう。

枕を高くして安眠できる日も減ってしまうに違いない。

仕方ない、こうなったら俺がマスター権限で……

「ケーマ。マスター権限で難易度下げたりダンジョンを調べて情報を横流しとかしたら許さないわよ?」

「うぐぅ!」

「手伝うにしてもナリキンが見れる範囲での助言にしてよね。いいわね!」

くそう、釘を刺されてしまった。

「……な、ナリキン。そういうわけで、正面から頑張って攻略してくれ。俺にできることは限られているが、できるだけサポートするから……!」

『は、はい』

「あ。ケーマが違反したら、私も本気出すからね」

「まって? 本気って?」

そう言うとロクコは「ちょっとだけ見せてあげるわ」と言い、メニューから通信を開く。

「ソト、ちょっといいかしら」

『なんですママ?』

「あなたの恋人、ウチのドラゴンの強化とかできるかしら。錬金術とかでなんかない?」

『ちゃんと報酬がなきゃ働かせませんよ!』

「ところで知ってるかしら。ダンジョン付近のゴミってダンジョンに捨てられるのよ。その中には履き潰した靴下なんかも大量に」

『ママのお手伝いするのってとっても子供らしいですよね!』

「まて。まって! それって反則がすぎるからまって!!」

なんて恐ろしすぎる本気だよ!?

「ナリキンのダンジョン攻略が終わったら強化してもらいたいから、よろしくね?」

『はーい!』

「場合によっては早まるかもだけど……どう思うケーマ?」

「わかった。マスター権限は使わないし正面攻略以外でダンジョンも覗かない!」

「ええ、約束だからね、ケーマ。まだ出てないモンスターのネタバレはダメよ?」

にっこりと可愛い笑みを浮かべるロクコ。

……これ、本気の本気出したらハクさんにも連絡するんだろうな。

「……ナリキン。俺のサポートはあまり期待しないでくれ」

『は、はい。……まぁ聖女とみなし夫婦になってもロクコ様の仰る通り死ぬわけではありませんしな。ぼちぼち頑張ります……』

「ああ。そろそろ寝て明日の攻略に疲れを残さないようにな」

『かしこまりました。オヤスミナサイ』

うん。なんというかその、ね。

頑張れナリキン……!! 俺はお前を応援しているぞ……!!

「ナリキンに【収納】経由でアイテム渡したりはいいよな?」

「あんまりにあんまりなアイテムだったら怒るわよ? オリハルコンの剣とか。配信道具とかナリキンが持ってておかしくない程度のモノだったらいいわ」

急に攻略にロープが必要だ、とかなった時に提供するのはいいってことだな。

攻略のテンポが悪いのは配信的にもロクコ的にも面白くないだろうしな。

ともあれ、翌日からナリキンのダンジョン攻略速度が上がったのは言うまでもない。

『次のエリアに向けてダッシュするぞ聖女アルカ』

『え? モンスターに遭遇しないように、歩いていきましょう』

『いーやっ! 奥へ行く、視聴者達もそれで良いな!?』

……頑張れよナリキン……!