軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

潜入! 聖王国側から見る配信模様(2)

その後も草原の探索をしつつ、楽勝な戦いを見せ、視聴者たちは盛り上がり、聖女アルカがナリキンに熱い視線を向けている様にヤジが飛んだり、雑談では理想の女性についてとかで盛り上がったりしていた。

勿論『理想の女性』について質問したのは広場の視聴者である。

『……理想の女性といわれてもな。俺には妻が居るので、その、妻だな』

「つまり妻になった方が好き、ということですか!?」

『ち、ちがうぞ?』

「例えば聖女様が妻になったとしたらどうですか!!」

『その場合は大切にはするが……って、何を言わせるか!』

『まぁ、そうなのですかナリキン様?』

『仮定の話ですぞ!? 実際には妻ではないわけですからな!!』

『うふふ』

まぁまぁわちゃわちゃと。イチャイチャしやがって???

視聴者からもヒューヒューと口笛が飛んで、拍手が起きたり。

ダンジョンの探索より雑談がメインになってるなコレ。そろそろ今日の配信魔道具の使用時間の限界のはずだが、このまま雑談で終わりそうだな。

「フッ、ナリキン様は若いな……俺も2人目の妻を迎えた時は……」

「お前さん、妻何人いるんだ?」

「2人だが。ちなみに妻の旦那もいるから4人夫婦だぞ」

聖王国は多夫多妻制だが、こんなすぐそこらに居るのか……

「他国生まれ他国育ちで、最近この国にきたんだが……そんなにいるのか?」

「む? そうなのか、珍しいな。男2女2の組み合わせの夫婦はよくあるぞ。バランスがいいしな」

「ふぅん。そういうもんかね……俺は女は一人でいいが」

「なんだ甲斐性なしか? 甲斐性があるなら多く娶るもんだからな。ナリキン様も複数の妻がいるだろ?」

ん?……と思ったけど、そうか。第三の試練、闘技場のときの 俺(キョウ) か。

「あれは妻じゃないらしいぞ」

「何!? それはどこ情報だ!? この俺の知らないナリキン様情報だと……!」

お前がナリキンの何を知っているんだよ。と言いたくなったが、言ったら俺もナリキンの熱心なファンのようで……この広場に来てる時点で熱心なファンに見えるのか。そうか。

「その話、この後詳しく教えてくれないか?」

「詳しくも何も、ナリキン……様が、妻は一人しかいないって言っているだろう?」

「だが闘技場の時に連れ添っていたあの感じ。妻でなければない距離感だったし、ナリキン様も彼女を気遣っているようだった。事実上の妻だろう」

「……姉みたいなものじゃないかな?」

同じダンジョンで生まれたモンスター同士ってことで。あの日は中身俺だったけど。

そしてそれ言ったらロクファも兄妹と言えなくもないけど。

「姉でも妻なのはたまにあるぞ?」

「……そうなの?」

「本当に最近来たんだな。まぁさすがに姉の旦那が別にいるし、子供は作らないもんだが」

嫁の2人目の旦那の妻が姉、というのは結構あっておかしくないらしい。幼い頃から一緒に暮らしていて仲がいい男女、色々勝手も分かっているので。

ホントとんでもないな聖王国……常識が違い過ぎる……!

「それならこれは知ってるか? この国で夫婦とみなす条件に、ダンジョンで男女2人きりで1ヶ月過ごす、というものがあるんだ」

「……ん?」

「1ヶ月もダンジョンで2人きり。何も起きないはずもなく……」

「ちょ、ちょっとまて。ダンジョン攻略してたら勝手に夫婦になるのか?」

「みなし夫婦、だな。そもそも命の危険があるダンジョンに夫婦でない男女2人組で行くこと自体無いし、1ヶ月籠ることも無いが」

みなし夫婦……ほぼ夫婦であると法律で認められるらしい。

「まぁ知らなかったとか言えば拒否できなくもないが、一緒にダンジョンに行くほど信頼できる相手だからな。そのまま夫婦になるもんさ」

「ナリキン様と聖女様は」

「え? 知らないわけないだろ?」

そうだよね! 教皇候補と聖女だもんね!?

聖王国を代表する人物が、聖王国の一般人が知っているような常識を知らないわけがないもんな!?

「だ、だが、こうして俺達が配信を見ているわけだし2人きりとは言えないんじゃないか?」

「え? 2人きりだろ? お前、あそこに他に誰かいるように見えるか?」

そうだよね……!? むしろただの証人だよ俺達が!

待て。そうなると上級神官のバラクドのやつ、まさか聖女とナリキンを夫婦にしようと画策してダンジョン攻略のお題を出したってことか!?

そう考えると、先ほどの『例えば聖女様が妻になったとしたらどうですか』という質問は……多少、いや、かなり意味が変わってくるぞ……?

ナリキンはなんて答えた?……大切にするが、とか言ってたか?

「ま、ナリキン様の3人目の妻になるのも間近ってことだな! おっと、配信終わるぞ。どうだいこの後一緒に飲みに。ナリキン様の話しようぜ」

「悪い、用事を思い出した。またの機会にな」

「おう! また配信で会おう!」

俺は後方師匠面男と別れ、こっそり【転移】を使いつつ帰還した。

……

ナリキン、狙われてるぞお前……!!