軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

よーし、オヤスミナサ……

ナリキンの方は一旦攻略が大変になるまで置いておく。

ほとんど俺には何もできない……というわけでもないが、行動の抜け穴は多大にあるといえばある。

だが、ここですぐに手を出してしまってはロクコに文句を言われてさらに『縛り』が増える可能性もあるので、一旦は様子見しておこう。

「……となると、うん。しばらくは何もできないな」

動くにしても『みなし夫婦』認定ギリギリのタイミングになるだろう。

今日の昼に手助けを色々しようと考えてたから、予定もすっぽり空いている。

……あれ? もしかして暇なのでは? つまり寝てもいいのでは?

つまりは惰眠をむさぼるチャンスである。俺はそっとオフトンを敷いた。

「よーし、オヤスミナサ……」

「大変やご主人様ー!」

突然のダンダンダンダンと激しいノックの音と、緊急事態を告げるイチカの声。

おう、ブチ殴るぞテメェ……と言いたくなったが、本来普通に起きている時間なので咎めないでおく。ノックする程度にはちゃんとしてるし。

「なんだイチカ、借金でバイトしてたのが俺にバレたのか?」

「ちゃうねん! それは誤解やってん! って、それは今は関係なくて!」

関係ないなら、一体何だというのだろうか。

「近所に新しいダンジョンが見つかったんや!! ご主人様なんか知っとらん!?」

「……おっとぉ」

なんということでしょう、もしかしてそれ、撮影ダンジョンで今攻略中のヤツじゃないですかね?

* * *

撮影ダンジョンは、ロクコのサブダンジョンである。

つまり、ロクコ本体、『欲望の洞窟』からほどほどに近い範囲でなければ色々と使用DPが跳ね上がる。

ゴレーヌ村からはそれなりに離れた場所に作ったのだが……どうやら、薬草採集の依頼を受けていた冒険者が偶然見つけてしまったらしい。

撮影ダンジョンの入り口は多少隠しておいたとはいえ、完全に人が入れない程ではなかった。なにせ、人が入れない状態にしてしまうとダンジョンが機能不全に陥ってしまうからだ。それはサブダンジョンでも同様、というか、どんなに複雑な経路であったとしてもダンジョンコアから奥まで繋がっている必要がある。

つまり、誰かが見つけてしまう危険性は多大にあったのだ。ましてや、カリソト区で人も冒険者も大量に増えているので。

もちろんこれはソトのせいというわけではなく、俺の迂闊の招いた事故である。

「えーっと、つまりご主人様のダンジョンなわけやな?」

「そうなる。そして破壊予定だ」

「おぅ。色々マズイでご主人様。ダンジョンはギルドへの報告義務がある。そんで、ダンジョンの破壊はこの帝国において重罪やろ?」

「うーん」

そこはハクさんに事情を説明すれば案外回避できそうなところではあるのだが……

一介の村長が、国から特別な許可を簡単に得られるってどういう事? ということになる。

「……うん、このまま聖女アルカが破壊するまで待って、しれっと無かったことにできない?」

「ならんやろ。もう見つかってるわけやし」

そうなんだよな。見つかっちゃったし、イチカに話が来ている以上ギルドも把握済みということだ。

「というかその冒険者は何でそこがダンジョンだって言いきれたんだよ。ただのゴブリンの巣穴かもしれなかっただろ」

「! それやご主人様!」

ビシッ! と指をさしてくるイチカ。

「ゴブリンの巣穴を見間違えただけだ、コレはダンジョンではない! って言い訳なら通せるハズやで!」

「おお! いい案だイチカ。ご褒美に先日の借金云々で課したペナルティは解除してやろう」

「おお、ええんか! やったで!」

ニクに、イチカに対して甘すぎると言われたのでちょっとした罰を与えていたのだが、まぁそれは置いといて。

「まぁ問題は誰にそれを言わせるか、ってとこかな? やっぱり信用が無いとな」

「そりゃ……まぁ村一番の冒険者が言えばええやろ」

「ってことはゴゾーか……」

「いやご主人様やけど?」

あ、そうか、俺か。ランクとか爵位とか的にそうなるな。

「……だが、俺の言う事を信じてもらえるかどうかだな」

「信じない奴は村を追い出せばええんとちゃう? 村長なんやし」

わぁ、独裁政権。

「とはいえ、早く誤魔化さないと誤魔化し切れないほど話が広まるで?」

「そうだな。イチカ、ギルドには俺が既に把握していて目下調査中だ、とでも言づけておいてくれ」

「了解やで!」

そう返事して、イチカはギルドへ走っていった。

……さて、俺も調査してるという体裁を整えないとな。えーっと、立ち入り禁止ロープを『落ちて見逃しやすくなっていた』風に設置して……ダンジョンの方はゴブリンの巣と見せかけるためそれなりに……色々置いて……

あ、これダンジョンの改造でロクコの縛りに引っかからないよな!?

後から文句言われないように先に話しておこう。通信を繋げて、と。

「ロクコ、ちょっとダンジョンの攻略済みの洞窟エリア、少し改造していいか。村の冒険者に見つかって誤魔化すのに必要だ」

『……む、それは仕方ないわね。いいわよ、攻略済みのとこならね』

これでよし。

こういう地味な連絡ってホント大事だよね。

『……ちっ、言わなかったら約束を破ったことにして色々要求できたのに』

「通信切れてないぞロクコ」

『ケーマにサキュバス化して抱き枕になって欲しかったな、とか思っただけだから別に隠す程の事でもないでしょ』

「そっかー」

……こういう地味な連絡ってホント大事だよね!!