軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

犯人は聖王国……

暗殺者をさし向けてきた商人に報復を行ったわけだが、店にあった証拠をもとに商人を尋問したところ、さらに黒幕は聖王国だったらしい。

一体どうして聖王国が帝国のただの村のいち商人を暗殺しようとする事になるんだ?

いやまぁ、ただの村ってわけでもないけど。

むしろそろそろ町だけど。町認定も間近で。

「どう思う、ロクコ?」

「聖王国って、10番コアが教皇とかいうのやってたのよね?」

「ああ。そういやまだ後釜が決まってないんだよな」

「そのゴタゴタが関係してるのかしらね? ナリキンに状況を聞いてみたら?」

そういえば聖王国には俺達の配下、リビングアーマーのナリキンと天使のロクファを送り込んでいる。

早速、 小鳥(トラン) に憑依して連絡を取ることにした。

『おーい、ナリキ……って、なんか随分良い部屋に居ないか?』

「む? おお、マスターではありませんか。定期報告の時間ではありませんが、何か用ですか?」

人化したナリキンが直ぐに気付いてニコリと笑う。

そして部屋を改めてみると、キングサイズのベッドが数個も入りそうな大きな部屋で、赤い絨毯にレリーフも入った白い家具、絵の入った金縁の白磁の壺など、高そうな調度品が揃えられている。

執務机のようなデスクもあり、その上には書類とペンが置かれていた。先ほどまでナリキンがここで何か仕事をしていたような、そんな感じだ。

「ああ、ロクファとナーナは所用で出かけております。そしてこの部屋は神殿内の私室でして」

『神殿内の私室? どういうことだ?』

「はい。マスターの指示通り聖王国の情報収集を行っているのです。そして今は次の教皇が誰になりそうかを探っているところでして」

なるほど。教皇を探るなら光神教の教会に潜り込むのも当然か。

『……そうか。定期報告でもそういう話だったな……あれ? 教会に潜り込んだって言ってたっけ?』

「2、3回くらい前の定期報告でも報告しておりましたが?」

……言ってたような気もする。うーん、色々あって記憶があやふやだなぁ。

順調だとか、まだ教皇は決まっていないとかいう話はあったが……多分そのあたりソトに振り回されてあまり詳しく聞いてなかったかもしれない。

「神官になって教会に潜り込んだところ、書類上の後見人が死亡して遺産を継いだり、カジノで知り合った相手が後ろ盾になってくれることになったり、手慰みに描いたロクファの絵が高値で売れたり、なんやかんやでそれなりの地位になりまして」

何があったんだ……

まぁ情報を得るにも工作するにも、地位が高い方が有利ではあるけど。

『でも、こんな豪華な部屋になってたらさすがに覚えてるハズだが』

「ああ。ナーナから報告場所が変わったら混乱するかもしれないと助言をもらい、定期報告は神殿外の宿でしてましたからな」

『……トイめ、確信犯だろこれは……!』

ナーナはトイが【憑依】スキルで動かしている元暗殺者。つまりトイだ。

よって俺へのささいな邪魔をしてきても何ら不思議ではない。

「……まず犯罪ではないから確信犯という表現は間違っているのでは?」

『そんなことはどうでもいい。あー、いや、そう、そうだった。そんなことは一旦どうでもいいんだった。……先日、ウチの村に暗殺者がやってきてな』

「なんと。穏やかですな」

『……? 穏やかではない、の間違いか?』

「むお? あいや、聖王国国内であれば奴隷を使った自爆テロが主流ですので……最近はよく爆破音が響いておりまして、1日に2回鳴る事も。なので、暗殺は表面的には穏やかな方で。失礼しました、こちらの感覚に流されておりました」

『お、おう』

教皇の後釜を狙ってそういう事が横行しているらしい。

「それで、暗殺者が……ああ、聖王国から送られてきていた、と」

『まぁそうなんだ』

しかし、自爆テロが頻繁に横行している無茶苦茶な状況だと逆に暗殺者が聖王国のどこの誰から送られてきたのか、は探るのが難しいか。

と、思ったのだが。

「おそらく聖女派の仕業ですな」

ナリキンの口から、アッサリと候補が出てきた。

『聖女派? 聖女……聖女アルカか?』

「ええ。聖女を教皇にしてはどうか、という派閥ですな。聖女は教皇になれない決まりゆえに、まずその決まりを撤廃させようと色々しております。ゴレーヌ村は聖女アルカにとって過去の汚点になり得るところ。どうにか消したいと思ったのでしょう」

『なるほど』

証拠はないが、一番怪しいのは間違いないようだ。

「もっとも聖女本人が教皇になる気もないので、周囲が勝手に暴走しているのが現状です」

『ふぅん。まぁ、だとしたら……対抗派閥に手を貸すのが報復になるか?』

「おお! 良い考えですね」

『よし、なら俺達が手を貸せそうな対抗派閥を教えてくれ』

「わかりまし――おっと、失礼。ロクファから念話です。……ああ、あー」

ナリキンはこめかみに手を当てる。その表情は少し苦々しい。

「申し訳ありません、たった今良さそうな対抗派閥がひとつ消えました」

『……何、暗殺させにいってたの?』

「いえ。ですがある意味丁度良かったかもしれません」

『丁度いい? 何がだ?』

改まって俺にお辞儀し、そのまま顔だけこちらを向けてくるナリキン。

「現在の教皇最有力候補は俺になりました」

『……まって?』

送り込んだスパイが教皇の最有力候補って? どういうことなん……??