軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

出立準備

一応、実質村の運営をしている副村長のウォズマにも話を通しておくか。

翌日の仕事の際、俺は執務室でウォズマにワコークに行くことになったと伝える。

「――というわけなんだがウォズマ。俺が居なくても問題ないよな?」

「え? 大問題ですね。そういうのはもっと余裕を持って言ってくださいよ村長」

んん? 俺、お飾りの村長なんだが……いや、そうか。飾りが急に取れたら大変だもんな。

「すまんな、俺もワタルに教えられたのが昨日だったんだよ」

「ああ、そうでしたか……」

「あ。ミーシャがバイトに来るから手伝わせていいぞ」

「……えーっと。ミーシャ、というのは、まさか以前村に滞在していたあのお方で?」

恐る恐る、ウォズマが聞いてくる。

「……生憎、他のミーシャを知らんな」

「帝都冒険者ギルドのギルドマスターがなんで田舎の村へバイトに来るんですか!? バカンスならともかく!」

そうか。ミーシャ、あれで帝都冒険者ギルドのギルドマスターだったわ。

言われてみればとんでもない話だよなぁ。

「……俺も知らん。上からの命令だろ」

「帝都のギルドマスターの上って、グランドマスターか国の上層部、それも最上の御方しか……はぁ、そういう案件なんですね……」

やれやれ、とウォズマが頭を振る。

察しが良いな、さすがウチの副村長。そういう案件なのだ。

「ウォズマも知っての通りギルドマスターなわけだし、村の運営くらい余裕だろ。むしろ捗るんじゃないか?」

「そう願いたいものです。はぁ、どうせならアメリア様の方がよかった……」

「ん? じゃあそっちに手伝ってもらえばいいんじゃないか」

「……お待ちください村長。その言い方だと、どちらか選べるように聞こえます」

「その通りだが? 二人ともウォズマの手伝いをさせても良いぞ」

頭を抱えるウォズマ。

「ハクさんに送り込まれてくるんだよ。労働力としてな。……あの二人が宿で働けるかわからんし、二人ともこっちで働いてもらうのがいいか。村の運営の方がまだマシだろ?」

「はぁ……ミーシャ様は用心棒として動いてもらうのがいいんじゃないですかね」

ああ。それが関の山だろうなぁ……普通に給仕できる光景が思い描けないもの。

「ちなみにあとドルチェさんがバイトに来るぞ」

「……帝国四天王のうち3人ですか。最後の騎士団長は流石に来ないですよね?」

「サリーさんは来ないらしい。よかったな」

「もういっそ揃ってくれた方が清々しかったかもしれませんね、ははっ」

自嘲気味に笑うウォズマ。

「……前々から思ってたんですが、この村ってそんなに重要な拠点なんですね?」

「ん? まぁ、正直ハクさんの趣味で存続してるみたいなもんだからな」

「趣味、ですか?」

「ああ。趣味ってほら、採算度外視で金ツッコむもんだろ?」

「……ダイン商店も不自然なくらいにいい条件での取引が多いとは聞きましたね」

ハクさん、そっち方面でも手を回してたか?

冒険者ギルド経由での優遇が色々とあるのは聞いてたけれども。

「ところで村長と村長夫人が居なくなると、誰が四天王の方々の接待をすれば?」

「……バイトにくるんだから、要らないだろ。多分。うん」

「そういうわけにもいかない方なんですが……副村長の自分が、ですかね……はぁ」

すまんな、飾りの俺がいれば俺がやるところなんだが。

ともあれ、当面不在になるので今のうちに指示だけ用意しておかないとな。

基本的には、普通にいつも通りに通常業務しておいてもらえばいいだけなんだが。

四天王がバイトに来るっていうイレギュラーが面倒なんだよな。

「出発前にロクコにも一言釘を刺しといてもらうから、大人しくしててくれるだろう」

「ロクコ様が何者なのかって話になりますよねそれ。今更聞きませんが」

「まぁ、傍目から見たら四天王の上に見えるよな……あ。四天王の上で思い出した。クロウェさんは来たりしないよな? ワタルに確認しておかないと」

「四天王統括、白の女神の右腕じゃないですか。……来ないとは言い切れないですね」

そうだね、ハクさんにくっついて何度か来てるものね。

でもクロウェさんが来るなら四天王3人をまとめてくれるからむしろ楽だな。……ハクさんの護衛だから、さすがに来ないだろうけど。

あ。ミーシャ達の移動手段はやっぱソトを使った特急便だよな。

そっちのアレコレも手配しないと……

うーん、やることが、やることが地味に多い……!

全く余計な仕事を増やしおって。