軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑話:ニクとイチカ

「イチカ、どうでしたか?」

通常業務に戻ったイチカに、ニクが聞く。

もちろん抱き枕として使われたかとか、その先に踏み込んだかとかそういう話だ。なにせイチカとニクは奴隷であり、そういう用途に使われる方が普通だ。

なので、今回ケーマと二人で(ウゾーとムゾーもいたが)出かけたイチカに成果を聞くのは、当然の流れだった。

「あー、やっぱ手ェ出されんかったわぁ。ご主人様は一途やねぇ」

「そうですか……まぁ、お子様は既にソト様がいますし、そもそも将来を心配する必要はありませんが」

「せやな」

ロクコもソトもダンジョンコアなのでおそらく寿命がない。先達のコアを見る分に、最低でも500年は姿をそのままに生きていく。

跡取りという概念が必要のない存在であり、多分先に心配すべきは自分たちの寿命だろう。

「とはいえ、手ェ出されないのも出されないので女としては負けた気がするんよな」

「勝ち負けがあるのですか。それならわたしも鍛えなければいけませんね……!」

「そういう話やないんやけど……いや、そういう話なんかな?」

手を出されたら勝ちなら、女としての魅力を鍛えてケーマを誘惑するべく鍛えるということか。

……サキュバス達に教えを乞うのもアリかもしれない。自分磨きをして価値を上げるのは悪いことではないし。奴隷の価値が上がれば、所持しているケーマの利にもなるだろう。

「バストアップ体操とかお肌の手入れとかあるらしいしな、サキュバス達そういうの詳しいで」

「さすがサキュバスですね。ミチルはそういうの全然話しませんが」

「まぁミチルはまだ子供やしなぁ」

それはそうですね、とニクは頷く。

「……そういえば、跡取りで思ったのですが、ハク様はどうして帝国を直接治めていないのでしょうか?」

「む? 確かに言われてみればそうやな。ハク様とは別に皇族がおるわけやし」

ニクの疑問に、ふむ、と腕を組んで考えるイチカ。

「まぁウチでいえば、ご主人様の子供のソト様の子供のー、って続いたのが今の皇族って話やし、これがウチらのご主人様なら『表に出るのは面倒くさいから』ってトコやろな。子供に色々ぶん投げたんやろ」

「ご主人様が面倒くさがり……? 立派に村長していますが?」

「あれで副村長らに仕事押し付けてるつもりなんよなぁ……」

やれやれ、と肩をすくめるイチカ。

「ま、それも含めてハク様はご主人様の理想とした立ち位置に居るっちゅーカンジやな」

「なるほど。つまり我々の目標は帝都、そして帝国ってことですね」

「うん? まぁ、そう、かな? あくまでそれになりたい的な意味で」

「分かっています」

うんうん、と頷くニク。

「ではまず皇族を作らないとですね。ソト様に子供を産んでいただけばいいんでしょうか?」

「ご主人様の孫ってことやな!……いやどっちかといえば、ロクコ様に人間としての子供を産んでもらう方がええんちゃう? ソト様、レオナの事狙ってるし」

「……レオナとの子供というのは 業腹(ごうはら) ですが、このさいそれでも……」

と、斜め上な不穏なことを話し合う二人。

「そういや、レオナってニク先輩の祖母なんやったっけ? そうなると、レオナとソト様がくっついたら、ソト様の事は『お 祖母(ばあ) ちゃん』って呼ぶことになるんやろか」

「……!? ソト様が『お祖母ちゃん』ということは……ご主人様が『ひいお 祖父(じい) ちゃん』ということに!?」

「おう。言われてみればそうなるんか。いや、うん、複雑やね」

驚愕に目を丸く開くニク。尻尾もピンッと立った。

そしてニクの脳内には、ひいお祖父ちゃんのケーマと縁側でのんびり日向ぼっこしたり、お祖母ちゃんのソトと一緒に公園に散歩に行ったりする光景が浮かぶ。

ひいお祖母ちゃんのロクコにも可愛いひ孫と撫でられるのだ。

悪くなかった。

「……ちょっとレオナとソト様の仲を応援したくなりました」

「うん、きっとソト様もそれ聞いたら喜ぶんとちゃうかな。うん。ご主人様はどちらかといえばレオナとの仲は反対っつっとったし」

「……睡眠学習、というのがあると以前ご主人様から聞きました。ご主人様が寝ている間に耳元で二人の仲を認めるように囁くというのはどうでしょうか?」

「それは……まー、えー、ウチは何も聞かんかったってことで?」

イチカはちょっと余計な事言ったかもしれない、と、そっと目を逸らした。