軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

超変身

いきなりLv3になった説明を求めたが、脳内に植え付けられた【超変身Lv3】の使い方しか分からなかった。

尚、効果は以下の通りだ。

・24時間中にLv回(Lv3なら3回)、思い描いたモノに変身することができる

・Lv1効果:実在する何かの姿に変身できる

・Lv2効果:変身したモノの能力を一部模倣できる

・Lv3効果:72時間に1回、変身した状態で死亡しても変身を解除して復活する

変身中は魔力を消費する。任意、もしくは魔力枯渇で変身解除。

魔力の消費は、かけ離れた姿になるほど激しいものになるようだ。あと変身中は能力が制限されたり。

Lv4以降の効果は分からないが、既に色々スゴイな。実在していれば変身できるのか。さすがチートスキルだ。しかも3日に1回復活できるとか。まぁ場合によっては復活しても溶岩の中だから即死亡とかになりそうだけど。

『今のが「アナウンス」か。うちの「メニュー」と同じような感覚だったね』

「え、今の外にも聞こえてたんですか?」

『いや、ちょっと観察させてもらっただけだよ。それで、どういうスキルを手に入れたんだい?』

言うべきか、切り札として秘匿すべきかと悩むところだ。とりあえず、名前だけ教えておくか。

ハクさんも居るし言わない方が良い気もするけど『父』の要望だ。応えない方が問題ありそうな気がする。ハクさんの目の前で勇者と宣言されて、バラされてしまった。ここで隠したら叛意アリとかいうことになりそうだ。

よし、答えよう。

「オマケも貰っちゃいましたし、スキル名だけ答えましょう。【超変身】ってスキルです」

『【超変身】か。面白いスキルを貰ったね』

ん? これってスキルの内容知ってる感じか。

『過去にも居たんだよ、アレは【超変身Lv7】までいってたかな。敵の姿を能力ごと完全にコピーして、かつ自分の能力も上乗せして使えるとか、中々スゴいことになってたよ』

なにそれヤバイ。無敵じゃないか?

「アレは、確か1対500くらいの数によるゴリ押しで始末しましたっけ」

『そうそう、あの時はハクが大活躍だったね』

ああ、数の暴力に負けたのか。そうか、分裂できるわけじゃないもんな。

……あ、でも分身とかできるスキルとかはありそうだ。

「しかしケーマさんが神の尖兵だったのですか……異世界人ということは分かっていましたが」

「いやぁ、進んでダンジョンを破壊する気はないからただの勇者ですよ。いままでチートスキルも無かったし。自分でも神の尖兵とは思ってませんし」

「そ、ならいいわ――で、そのスキルについて、詳しく教えていただけるかしら? そうねぇ。具体的には、変身するところ、見せて?」

はーい、オーダー入りましたー。

「変身するにも、回数制限があるので見せ放題という訳にはいかないですよ。……何に変身します?」

「そうねぇ、じゃあ……ロクコちゃんに変身、できる?」

……できるのかな。やってみよう。

ロクコの姿を思い浮かべ、【超変身】と唱える。言葉に出さずとも、このスキルは発動できるが、ここは言って変身しておいた方がいいだろう。

うぉ、視界がぐにょんって。歪んで……お、ロクコの目の高さに合った。

「おお、本当に私そっくりになったわね」

「今、ロクコそっくりになってるのか。服はジャージのまま、服までは再現できないのか。と、声も変わるんだな」

さっきまで着ていた服がブカブカだ。これ。

「服の下までは見るんじゃないわよ? いい?」

「……ソンナコト考えてないよ」

「体ぺたぺた触ったりしたら殴るわよ?」

「いや、見たこと無い箇所とかも再現されているのかどうかって気になってな。ロクコ、俺の知らない傷跡とか無い?」

「ないわよ。私にケーマの知らない傷なんて付いてるわけないじゃない」

「はっ、ロクコちゃんが増えて驚いてしまいましたが、ちょっと待ってくださいその発言聞き捨てなりませんよ!」

ええ、濡れ衣ですとも。俺は変身を解いた。

「……ロクコが傷一つつかないように丁寧に気を使ってるからです。嘘を見抜く魔法や魔道具を使ってもらってもかまいません」

「それは本当に?」

「本当ですとも」

「……どうやら本当のようね」

おっと、本当に嘘感知の魔法を使われたみたいだな。でもこういう時あっさり無実を証明できるから便利でいい。無実であれば。

「ついでに聞いておくけど、ロクコちゃんに危害を加える気はないのね」

「はい、そりゃもう。神に誓って」

『あっはっはっは! 僕の前で神に誓ってか! 愉快だねぇホント』

突如笑い出す『父』。

あ、そうか。勇者送り込んでるの神だったわ。敵陣営じゃん。むしろ『父』も神っていう説もあるんだったっけ? そりゃ『父』も大笑いだわ。

「わかりました。……ところで、もう一度ロクコちゃんに変身できたりするかしら? ロクコちゃんと両側からお姉さま大好きって言ってもらえるかしら」

「あ、すみません変身には回数制限あるんで、その行動による検証は今度で」

「あら残念。……じゃあ、この手紙には化けられる? できれば、中身」

ぴ、っとハクさんが封筒を見せる。……ほほう、こりゃ分かりやすい検証だ。

まず、無生物に変身できるか。

次に、直接見ていない、知らない中身に変身できるか。

さらに、手紙の内容を再現できるか。

……さすがハクさん、1回の変身でこれだけ試せる。俺が検証に協力的なうちに情報を持っていけるだけ持っていく気だ。っていうかいつの間に用意したんだそれ。

まぁいい。俺は、手紙の中身を考えて【超変身】を使う。

「……【超変身】」

俺の体がぐにゃりと変身する。……うーん、どうやら、手紙、封筒の方になってしまったようだ。さすがに知らない中身に変身するには、頭に思い描く情報がたりなかったようだ。

ぱさり、と床に落ちる俺。床から見るマスタールームって新鮮……あ、ハクさんが近寄ってきた。スカートの中の白いのが見えた。ロングスカートの中のニーソもいいもんだ……おっと。で、俺を拾い上げる。というかこの視点ってどうやって見えてるんだろ。

「ほう。見せていなかった宛先も再現されていますね。ですが中身への変身は無理でしたか? 直接見たことが重要なのかしらね。……ちょっと千切ってみましょうか、戻ったときのダメージも気になります」

ひぎぃ!? やめて!? あ、喋れない、ちょ、力こめないで千切れる! ホントに千切れちゃううぅ! Lv3の能力で死んでも復活できるらしいけどらめぇえ!

俺はぽんっと、変身を解除して人間の姿に戻った。ハクさんの手の中で。

「きゃっ! いきなり戻らないでくださいよケーマさん――あら」

「うぉっ! ……ふぅ、戻ったか。やべぇ、死ぬかと思った……」

「ケーマ!? ちょ、服着て、服ーー!」

え。と、俺は床に落ちている俺の服を見つけた。

……ああ、そっか。俺さっきまで封筒になってたから、服はそのまま残ってて。

つまり、俺は全裸でハクさんにお姫様抱っこされていた。

「きゃああああーーーー!? ハクさんのエッチーーーー!!」

「失礼な。まるで人を変態みたいに。……これはどちらかといえばケーマさんの方が変態ですよね、全裸ですもの」

「何この人冷静で逆に怖い!」

「裸なんて冒険者の死体とかで見慣れてますし。大丈夫、可愛い方ですよ」

もう止めて! その言い方は俺が傷つく!

「あ、でもロクコちゃんはこんな汚いもの見ちゃダメよ?」

「へ、は、ひゃいっ! すみませんハク姉様! みっ、みてないからねケーマ! 安心してっ!」

「お、おう……」

……こうして俺は、ちょっと涙目になりつつ服を着た。

尚、『父』は腹を抱えて笑っていた。

ぐすん、もうやらない。