軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三次ダンジョンバトル:終了

『こんなに笑ったのは生まれて初めてかもしれないよ。やっぱりケーマ君は面白いね、最高だ。ああ、安心してくれ、他のチームにはご褒美のあたりから繋がってないから』

「ははっ、何よりです。男の尊厳的に……いや、さすがに、マジで……」

へそを曲げることによりスキルへの追及を避ける理由ができ、ごく自然な流れで断れるようになった。結果的にはOKだったのかもしれん……と思っておかなきゃ泣ける。

思いのほか色々分かったことバレたことは多いが、ハクさんによる検証も有意義なもんだった。帰ったらまた自分で検証しとかないとな。

「そういえばケーマさん。勇者としてSランク冒険者の称号は要ります?」

「……要らないです」

「勇者は本来強制でSランクなんですけどね」

「ハクさんとしては『欲望の洞窟』に勇者が常駐してるのはまずくないですか? 注目が集まり過ぎて」

「あら、私はどちらでも構わないんですけど。今更さほど変わりませんし。むしろ抑止力になって無駄な問題が減るのでは?」

……確かにそれは魅力のある提案だ。が、同時に勇者としての責務も負うんだよな。

「勇者って、有事の際にお国のために働かなきゃいけないじゃないですか?」

「ええ。そのために優遇してるので」

「お断りします。俺は、勇者ではなくダンジョンマスターなので」

あと絶対に働きたくない。

あ、そうだ。ロクコに変身して可愛くお願いしたら許してくれるんじゃないか?

……やめとこう、下手にやって逆鱗に触れたら困る。

「……ま、いいでしょう。ダンジョンマスターですものね」

ハクさんはそういうと、自分の椅子に戻っていった。

『父』がパンパンと手を叩いて注目を集める。今度は全員に通信がつながっているようで、『父』の映るモニターの両隣に、魔王チームと龍王チームの映るモニターが出ていた。

『さて、それじゃハク、5番、6番。何か一言ずつたのむよ』

「では優勝した私から。……5番、あなたは所詮ただのトカゲという事がよく分かりましたね? これからは分を弁え、私には敬意を払って頂戴な。もちろん、お父様の決めたこの戦いの結果が気に食わないというのであれば別ですが」

『うぐぅ! ……ぐぬぅん……ッ』

「……6番。あなたはもっと躾をなさい。それに自分の事を 爺(じじ) 様などと呼ばせて、ある意味お父様に対する不敬ではないかしら? ああ、ボケて耄碌した老人という意味でしたか。なら問題ないですね。ふふふ」

『ふん、抜かしおるわ』

ハクさん、煽りまくってんじゃねーか! これは戦争が勃発してもやむなしな気がする。あ、実際何度かダンジョンバトルじゃなくてガチで国家間戦争してんだっけ? 迷惑極まりないな。

『次は儂じゃ、2位だったからのう。……89番、いや、ハクか。儂が老人なら同ロットで同い年のお主も相当なババアじゃのぉ? 無理して若作りするな。いや、精神年齢というのがずっと成長せず小娘のままだからじゃったか。ハッハッハ、いやぁ若くて羨ましいのぉ! 皴を刻む生き方をしてないから気楽そうじゃわい』

「あら? 敗北者がなにかほざいてるわね」

『ふん、負けたのは666番が自分の強化につぎ込んだからじゃ。むしろ長期的に見れば666番の1人勝ちじゃわい』

「ふふ、だから何だというのです? 私のロクコちゃんも今回のDPかなり温存してたんですけどね。このままもう1回やっても勝てるくらいに」

煽る煽る。今カタがついたばかりだってのにもう次の喧嘩だよ。

あとこのままもう1回はさすがに難しいから遠慮願いたいのですが。

『おい、次は俺の番でいいよな。いいか、この結果は俺が負けたんじゃない、そもそも3匹をまとめるというのはハンデを負っている状態だったんだ、次は――』

「言い訳は見苦しいわね」

『力押ししか知らない負けトカゲは黙っとれ。無様じゃのう』

『……』

「無様と言えば、6番の――」

『カッカッカ、それこそハク、貴様の――』

あ、黙るんだ。そして口撃の応酬を再開するハクさんと6番コア。

……それを、6番コアの後ろでアイディが 羨ましそう(・・・・・) に見ている。何? この子にはこれが愛の語らいか何かにでも見えるの? やらんぞ、そんな少し興奮して鼻息が少し荒くなっているウットリ顔でこっちをチラチラみても、ガチ戦争開戦待ったなしの口論なんて絶対にやらないからな!

ロクコも目を合わせちゃダメ! でも友達だし、だって? いけません!

『父』がパチンと手を叩く。と、ハクさんと6番コアは口論をぴたりと止め、注目した。

『みんなの仲が良くて、お父さんはうれしいよ。それじゃあ名残惜しいけどそろそろ時間だ。お別れの挨拶はいいかい?』

『ちょっと695番……ロクコ! 父様に名前を認めてもらったからと言って調子に乗るんじゃないわよッ! もう負けないわぁあ!』

『くぉら650番ッ! 父が喋っているというのに割り込むとは何事だ! 教育はより厳しくせねばならんな……覚悟せよ! 651番、652番、貴様らも連帯責任だッ!』

『ゲココォッ?!』

『お、おゆるしをぉ5番様ぁ!』

『はっはっは、僕がお別れの挨拶はいいかって聞いたんだ、気にしなくていいよ。5番も教育はほどほどにしてあげてね』

『父』が笑って言うと、5番もそれ以上は言わなかった。

650番コアは蛇なのに顔が真っ青になっていたけれど。

ちなみにアイディは、ロクコの顔を笑顔で見ているようだった。それをロクコは、まぁ、友達ならという感じでにこっと笑顔を返していたが――なんかアイディ、ハクさんと同じ匂いを感じる気がする。

そうだ、見なかったことにしよう。

『それじゃあみんな、また次回の集会で会おうね!』

その『父』の一言を最後に通信が切れる。

これにて、俺たちの第三次ダンジョンバトルは終わった。

なんか、凄く長かった気がする。