軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

それかエピオルニスとか?

「そう言う訳でノイエっ!」

「……はい」

帰宅していつも通りに全てを済ませて寝室へ。

ハイテンションな僕を見るノイエの目が若干呆れているように見えるのは気のせいだ。

ノイエの隣に居るポーラなんていつも通り僕をクリリとした目で見ているしね。

寝室に備え付けられている個人用のタンスの奥に隠し……丁寧に仕舞っておいた物を取り出す。

「明日はこれを着て僕を出迎えてね!」

「……はい」

ジャジャーンと脳内で効果音を発しながら取り出したのはミニスカメイド服だ。

こっちを見ているポーラが軽く首を傾げてから自分が着て居るドレスのスカートを軽く持ち上げて顔を真っ赤にした。

それもそのはず。このミニスカは膝上15cmだ。攻めた。頑張った。

「これを着て明日は帰って来た僕をお出迎えするのです。良いですね」

「……はい」

大切だから再度説明して畳みかけておく。

泣きそうな顔をしたままだけどノイエは素直に応じてくれる。

ポーラにメイド服を預け、僕はそっと彼女を抱きしめた。

「大丈夫。明日も元気に帰って来るから」

「はい」

「だからノイエは待っててね。僕が君の家族を取り戻すから」

手をノイエの顔に動かし、頬に手を当てて親指で彼女の左瞼を閉じる。

顔を近づけて瞼越しにノイエの左目にキスをする。数人男性が居るらしいがここはスルーだ。

「君の家族は取り戻すから信じて待っててね」

「……はい」

ポロッと涙を溢してノイエが僕に抱き付いて来る。

分かっている。ノイエが怖がっていることを。

家族を失った怖さと僕を失うかもしれない怖さ……本当ならパンクしそうなほど怖いんだって。

ウリウリとノイエを可愛がってやり、視線をポーラに向ける。こっちも泣きそうな顔をしているけどミニスカメイド服をギュッと握って甘えるのを我慢していた。

そっと手を差し出したらこっちに飛び込んで来た。

うむ。可愛いお嫁さんと可愛い妹に泣きつかれるなんて、僕ってば罪な男だぜ。

「大丈夫。ポーラもお兄さんを信じて待ってなさい」

「はい」

グリグリと顔を押し付けて来るポーラも本当に可愛いな。

「そうか。つまりポーラもその短いスカートのメイド服で明日出迎えてくれるのなら僕の頑張りは倍増するわけだ」

「っ!」

ビクッと驚いてポーラが僕から離れる。

ノイエを抱きしめたまま移動して壁にある伝声管に近づく。鈴を鳴らして、

「ちょっと明日の夕方までにポーラのメイド服のスカートの丈を膝上拳一つ分ぐらい詰めて欲しいんだけど出来る?」

「畏まりました」

待機しているメイドさんから返事が来た。

スッと部屋の扉が開き、そのままメイドさん数人にポーラは担がれ運ばれて行く。

「ポーラが持ってるメイド服を見本にして。それとそれは明日ノイエが着るから」

「畏まりました」

『あ~う~』と叫び声を残してポーラは運ばれて行った。

これで今夜はメイドさんたちの玩具だろう。

「さてと」

抱きしめて居るノイエを解いてその目を見る。

「出て来い」

「ストレートね」

目を閉じて髪の色を栗色にした賢者が姿を現す。

何故にこの人は目を閉じているのでしょうか? セシリーンと同じ系か?

「まあ最終日まで来てくれないとこっちも困るから助かったわ」

「そりゃどうも」

軽い足取りでベッドの端に座った彼女はクスリと笑う。

「何か言いたげね?」

「あのさ~」

「何よ?」

「明日僕が負けたらドラゴンはどうなる?」

「それね」

納得した様子で彼女が頷く。

「消すまでに時間がかかると思うけど?」

「でも消してはくれるんだ」

「ええ」

スッと彼女の指が僕に向けられる。

「その時は貴方にも死んで貰うけどね」

「だろうな」

そんな気はしてた。

「お断りしたら?」

「言ったでしょう? この左目の中を全て消す」

「でしたね~」

なら最悪僕1人の被害で済む。済むんだけど……そっとしゃがんで膝を抱いた。

「何よ。仲間が居なくなって怖じ気づいた?」

「それもあるんだけど……ノイエが泣き叫ぶよなってね」

それを考えたら凄く胸が痛くなった。張り裂けそうってこのことか。

「自分の命よりもそっちの方が気になるの?」

「ん~。と言うか僕ってば1回死んでるしね。そう考えると元の姿に戻るだけ?」

本来の僕は火事で死んで、この体の持ち主であるアルグスタだって毒を飲んで死んだ。

そんな2人がようやく正しい姿に戻るだけとも言う。

「なら死んだら?」

「うん。まあそれは明日負けたら考えるわ」

「……即死だったら?」

当然な質問だ。

「でもそれだとお前が楽しめないでしょう?」

「へ~」

ニヤリと笑い彼女が足を組みかえる。

「どうしてそう思うの?」

「と言うか、初日から全力で僕を殺しに来てないしね。仲間を廃して最終日にって感じがプンプンしたから?」

「あはは。だってそれが悪役の美学でしょう?」

「知らないし」

立ち上がった彼女が何とも言えないポーズを取る。

「私は数多くの戦隊物やヒーロー物を見て悪役を学んだわ!」

「自慢にならないし」

「そしてその努力が報われる時が訪れたのよ!」

「1人でやってくれ」

「私が~! この世界で~! 最強の~! 悪の~! 科学者に~! なるのよ~!」

「どう見ても魔法使いだし。科学者ちゃうし」

「ブツブツツッコまないでくれるかしら?」

「ツッコミ求めたり自分勝手な奴だなっ!」

「ありがとうございますっ!」

全力でハリセンチョップしてしまった。

ノイエの体なのに……後で抱きしめて撫でておこう。

「で、明日の敵は?」

「ふふふ……」

何処からか赤いマントの様なローブを取り出し、彼女はそれを羽織るとバサッとなびかせた。

「私が作りだした最強のドラゴンよ!」

「残りは北で朱雀か。方角ミスの件は?」

「何も聞こえませ~ん。って話の腰を折らないでよ~」

知らんし。拗ねるなって。

「つか朱雀と言う時点で絶対に飛ぶよな?」

「……大型のペンギンかも? それかエピオルニスとか?」

全力で誤魔化そうとしているから飛んで来るのは確定で。

(c) 2020 甲斐八雲