軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

あの子らしいでしょ?

仕事を終え、入浴や夕飯を済ませたノイエが、寝室のベッドの上で膝を抱えて動かない。

それをソファーから眺めながら、拗ねてうーうー唸っているポーラの頭を撫でてやる。

今日のパルに捕らわれているのに助けず帰ったのがショックだったらしい。

『あれでも一応僕の妹にあたる人だし……悪いことはしないと思ったんだけどね』と何度か言い訳しているが、ポーラはずっと拗ねている。

ここ最近、ナーファや義母さんやパルなどに掴まり玩具にされる割合が高い。と言ってもポーラは可愛らしい女の子だから仕方ない。

ウリウリとこれでもか~と撫で回し、彼女の機嫌が直るまで甘やかす。

こんな風に感情を曝け出してくれるのも嬉しい。ずっと良い子なのもそれはそれで怖いしね。

ただ普段ならここまで密着しているとノイエが拗ねて邪魔をしに来るはずなのに……今日は半分目を閉じて膝を抱えて動かない。

別に寝ている訳では無いんだけれど、ぼんやりしているノイエとか貴重だ。

「ノイエ?」

でも気にはなるから声をかけたら、アホ毛の先端がこっちを向いた。

「どうかしたの?」

「ん」

「お~い」

何かぼ~っとしている。返事も一文字発しただけのものだ。

ポーラも気になったのか僕の顔を見上げてくる。

「ノイエ?」

「……」

フワフワとアホ毛の先端が動くだけで返事が無い。

つまりノイエの身に何か起きているのか?

「まっいいか」

「っ!」

驚いた様子で僕を見るポーラを抱きかかえてベッドに向かう。

「ほらノイエ。寝るよ」

「ん」

返事を寄こしポーラを優しく抱き締めた彼女は、コロンと横になると目を閉じた。

捕らわれ動けないポーラは……『どうすれば?』と不安げな目を向けて来る。

余計なランプを消して僕もベッドに横になり、そっとポーラの頭を撫でてやる。

「ノイエも色々と忙しいんだよ。物思いにふけることもあるんです」

「はい」

納得はしていないがポーラは素直な子なので頷き目を閉じた。

しばらくすると2人から寝息が聞こえ……そっとノイエの耳元に口を寄せる。

「何してるのか知らないけど、喧嘩の類は止めてよね?」

警告はしておくに限る。

ノイエがおかしい理由なんて中の人たちが何かしている以外考えられない。

「ん~。アイルローゼ」

「何かしら?」

「ノイエがファシーに似た行動をするのって、本当にノイエがそれを望んでいるからなのかな?」

「どう言う意味?」

床に座り伸ばした足を軽く振りながら、レニーラは何となく自分の経験を口にする。

「人の真似って意外と大変なんだよね。私も現役時代は良く『上手い』と言われていた人の真似をしたことがあったけど、それって自分本来の踊りじゃ無いから結構疲労が残ったりするしさ」

「ならノイエはファシーの真似をしていないと?」

「どっちとも言えないけどね。ノイエの場合は疲労なんて祝福で治せるし……ただこうも考えられないかなって」

ビシッと指を立てレニーラは満面の笑みを浮かべる。

「ただの偶然!」

「……」

根底から何かを引っ繰り返すような一言だった。

でもよくよく考えればノイエ自身結構な甘えん坊だった。心を許せる相手には全力で甘えに行く……その姿を思い出すとレニーラの一言は的を得ている。

「つまりノイエもファシーも甘えん坊だったと言うことね」

「ノイエは甘えん坊だよ? ファシーは甘えられなかったのもあると思う」

「そうね。そう考えればノイエがファシーに似ているのではなく、ファシーがノイエに似ていると考えれば辻褄が合うわね」

「そうそう。ファシーはノイエみたいに甘えたかったのかもしれないよ~」

柔らかく笑うレニーラの言葉にアイルローゼも納得する。

感情の起伏で人を傷つけてしまうファシーは、ノイエのように甘えることも出来なかった。出来なくなった。

だからノイエを羨んで似た行為をしていてもおかしくはない。

「それにさっきファシーに聞いたら、『ノイエ、みたいに、甘えると、アルグスタ、様が、喜ぶ』って言ってたしね!」

つまり確信犯だったのだ。幼い姿をしていてもファシーも女だと言うことだ。

「ってそれを先に言いなさいよ。問題解決じゃない?」

「あはは~。言ったらアイルローゼが怒るかと思って~」

「何故よ?」

「アイルローゼは旦那君に甘えたりできないだろうから、って魔法は待った!」

手を向け魔法語を唱えだしたアイルローゼに恐怖し、レニーラは外の彼を真似て土下座した。

「別に甘えるだけが相手の関心を引く行為じゃ無いでしょうに」

綴るのを止めてアイルローゼは毒を吐く。

「次よ次」

気持ちを切り替えてアイルローゼはホリーを見る。

「私が言った魔力の回復速度があがったって話かしら?」

「それね」

「あ~。確かに早くなったかも~」

土下座から復活したレニーラは、また足を伸ばし床に座る。

「私って魔法はからっきしだから魔力は微々たるものしかないでしょ? それでも前に比べると外に出れる回数と言うか間隔が詰まった気がするんだよね~」

「そうね。何よりエウリンカの作った魔剣はそこまで優れていないと本人も認めている。ならどうして私たちの魔力が直ぐに回復するようになったのか? それもここ最近……特に」

レニーラの言葉を受けホリーは自分の考えを口にする。

それはとても簡単で納得出来る推測だ。

「ノイエ自身が私たちに魔力を供給していると考えれば説明がつくわ」

「どう言う意味かしら?」

看過できない言葉にアイルローゼも鋭い視線を向けた。

「だからノイエが私たちに魔力を寄こしているのよ。あの子らしいでしょ?」

確かにノイエらしい。あの子ならそうする。

理解できるが納得できない言葉に、アイルローゼは今一度頭の中を巡らせた。

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