軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

若作りした魔女が!

「あら? わざわざの出迎えだなんて光栄ね。ハーフレン王子?」

「ああ。こっちとしては事前に連絡の1つも欲しかったんだけどな。共和国所属の魔女マリスアン」

クスクスと笑いマリスアンはゆっくりと相手を確認する。

王子を含め女性の騎士が2人と何故かメイドが2人居る。

騎士は護衛としてメイドの意味は分からない。

「もしかして出迎えの茶会かしら?」

「希望なら準備をするが……その前に身体検査だ」

「あら? ユニバンスの王弟様は胸の大きな女性が好みだと聞くけれど」

妖艶に笑い魔女は自身の胸を抱いて寄せた。

「私もそのお眼鏡に適ったのかしら?」

「冗談は止せ。お前の背後に居る部下たちは……ユニバンスから居なくなった存在だろう? 調べは付いている」

「あら? 流石は厄介な国で有名なユニバンス王国の近衛団長様で」

抱いていた胸から手を離し、魔女はそっと右手をハーフレンに向けて伸ばす。

「ならば彼らがどのような存在か分かっているのでしょう?」

「ああ。分かっているとも」

背中に手を回しハーフレンは吊るしている巨大な剣を手にする。

ドラゴンの胴体も真っ二つに斬れると言われる宝剣の『胴斬り』だ。

「お前たちがわき目もふらずに真っすぐ来てくれたことには感謝するよ。そいつらの存在が明るみに出ると色々と拙かったんでな」

「そうだったの? だったら途中の街でも襲えば良かったかしら?」

クスクスと笑う魔女は本当に楽し気だ。

「でもね……私は好物を最初に食べる主義なの。だからこの国の王都から潰してあげるわ」

「そうかよ。まっ出来たらの話だな」

「ええ。そうね」

2人は同時に息を吸い、そして放った。

「死ねよ! 若作りした魔女が!」

「死になさい! 胸ばかり見る屑が!」

『戦い開始の号令としてはどうなんだろう?』と思う声で始まった。

魔女の指示で部下たち……ノイエの家族たち約20人が一斉に動くが、新メイド長の魔法が容赦無かった。

アイルローゼ先生? 貴女はどんな凶悪な術式をメイド長に与えたのですか?

もうダメだ。彼女がスカート越しに太ももを叩いたら終わりだ。素振りを見せたら土下座しよう。

フードを被った者たちを見て、フレアはその目を細めた。

眼鏡越しに見る彼ら、彼女らの中に……知った顔が数人いた。

それだけに悲しさと共に怒りが湧いた。

主の馬鹿な号令に怒りの度合いを増して、スカート越しに太腿に巻き付けているプレートを叩く。

自身の周りの土から砂鉄を取り出し操り動きを封じ込む。

知った者が居たお陰で使う魔法も分かっている。故に迷わず厄介な者から拘束した。

「流石ですフレア」

「メイドにしとくのが勿体無いね~」

両脇を抜け騎士と前メイド長が駆けだした。ユニバンスに居る最強の師弟だ。

目で追うことの出来ない速度で2人はフードの者たちの首を飛ばした。

「うわ~。本当に化け物ですね~」

「さっさとやりなさい」

「分かってますよ。先輩」

弓を構え矢を番えたルッテが横に飛んで誰も居ない場所に放つ。

ミシュの攻撃を回避した者が射線上で立ち止まり胸に矢を受けて地面に倒れた。

「何故かしら」

クスッと笑い、フレアはまたスカート越しにプレートを叩いた。

「この中でだと私が人らしいと思ってしまうのは」

余りにも周りが人外過ぎて、ついついフレアはそう考える。

ただ彼女とてその魔法で、旧友を締め上げ……全身の骨を砕いていた。

《少数精鋭ってことかしら? これは厄介ね》

初撃で5人狩られた。だが相手の実力が分かればこちらとて対処は出来る。

マリスアンは大きく手を振り、そして命じる。

「回避に徹しなさい。お前たちの体力なら半日以上は避け続けられるはずよ」

忠実に命令に従い部下たちは攻めでは無く守りに徹する。

「流石スィーク叔母様たちだな……互角にやってる。さてノイエ」

「はい」

木の枝を抱えて隠れている僕の隣でノイエもまた枝を握っている。

人を隠すなら擬態して木々の中が一番だろうとこうなった。ただ虫が邪魔臭い。

「まずは様子見。一発あの魔女を殴って来て欲しい」

「……殴る?」

「うん」

「分かった」

隣に居たノイエが消え、次の瞬間……魔女の横に立っていた。

圧を感じた。

空圧と言うか、言いようの無い気配だ。

マリスアンは視線を向けようとして、自身の頬に何かしらの硬い物が食い込むのを感じた。

白い何かに攻撃されたと感じながら吹っ飛び……地面の上を転がる。

まさか戻ってきているとは思わなかった。

地面に横になり……魔女は笑う。

あの小娘がもう戻って来ているとは想像もしていなかった。

「殺してやるわ……ノイエ」

頬を横に裂きながら、大きな口を広げて笑う魔女はゆっくりと立ち上がった。

魔女を殴り飛ばしても部下たちの攻撃は止まらない。

つまり停止指示を出さない限り動き続ける。仮に魔女を倒しても意味が無いと言うことだ。

「厄介なお願いをありがとう。結婚祝いにこれって趣味が悪いと思うよ。ユーリカ」

木々の擬態を継続しつつ僕は軽く思案する。

考える必要はないのか。全員を殴り飛ばして終わらせるしか選択肢が無い。

ポンポンと右耳の下を叩いて僕はノイエに言葉を伝える。

「ノイエ。全員殴り飛ばすしか選択肢が無いらしい」

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