軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

あの先生が僕に?

サスサスと腕を擦って、エウリンカが何とも微妙な顔を作る。

「あの鉄拳女は笑いながら自分のことを殴り続けた訳だ。流石にノイエに手を出せば危ないと学んだ自分はそれ以降ノイエに手を出さないと誓った。だがノイエが壊され、あることから精神も壊れた。そこでカミューが自分に 頼んだ(めいじた) のだ。『ノイエの感情や記憶をどうにかして欲しい』とね。そこで自分たちは寄せ集めの材料でどうにかノイエの色々を封じた」

「……それを主導したのは?」

「うむ。カミューに自分が中心だな。協力したのはアイルローゼやグローディア。稀代の封印魔法の使い手であるシュシュや……たぶん今のノイエを支えている者たちは全員が手を貸したのではないかな?」

納得した。だから彼女たちは全員でノイエの秘密をひた隠しにしているのだろう。

「それでそれを僕に語って大丈夫なの? ノイエに伝わらない?」

「ああ。カミーラがそれを心配したらしいね。だから急遽調べてみたが、どうやらここでの会話はノイエには伝わらないらしい」

「本当に?」

「たぶんね」

薄っすらと笑いエウリンカは表情を正した。

「随分と話が逸れてしまったな。さてノイエの保護者である貴殿に問おうか」

「何を?」

「ノイエをどうするかだな」

言ってエウリンカは自分の胸に手を当てた。

「自分がノイエの魔剣を再度直す。するとノイエは今まで通りだ。表情も感情も記憶も怪しい今まで通りのノイエが貴殿の前に現れる」

ニヤリと笑う彼女に促され、僕は口を開いた。

「直さなければ?」

「ある意味自然体のノイエに出会える。自分がノイエの魔剣を完全に破壊するから……どんなノイエに出会えるのかは貴殿にしか分からない。場合によっては自分たちはノイエの中から出れなくなるかもしれないからね」

笑う彼女は、僕に向けて手を伸ばした。

まるでダンスにでも誘うかのような手ぶりだ。

「さあどうするかね?」

挑戦的な口ぶりと視線に僕は笑っていた。

「悩む必要も無い」

「ふむ」

「必要な物を言え。さっさとノイエの魔剣を直せ」

選択にもならない質問だよ。

だが意外そうな表情をエウリンカは見せた。

「本当に良いのか? もしかしたらノイエはもう過去の色々なことを乗り越え、普通に戻っているかもしれない。そうすれば君はただのノイエと共に一緒に居れるが?」

「でもノイエの家族である君たちが出れなくなかもしれないんでしょ?」

「あくまで可能性だがね」

笑いエウリンカが気怠そうに頭を掻いた。

「だがどうやら君は本当に自分たちも救おうとするらしいな」

「ええ。ノイエの大切な家族ですから」

「家族か……そう言われると何故か嬉しくなるものだな」

クスクスと笑いエウリンカは軽い足取りで部屋の中を物色しだす。

飾られている花やイミテーションで置いてある水晶の原石。誰かが封を切ったらしい飲みかけの蒸留酒や……雑貨を集めて胸に抱いて来た。

「出来れば魔力の籠りやすい物が欲しいのだが?」

「無地のプレートとかじゃダメですか?」

「最高だな。あるのかね?」

何故か目を輝かせる彼女に引き出しから先生用に確保してある無地のプレートを1枚取り出す。

「本当にあるのか! 是非それもここに! ああ面倒臭い。胸の間にでも刺してくれれば良い」

「お嫁さんの体に何させてるんですか?」

「気にするな。どうせいつも遊んでいるものだろう?」

否定は出来ないが僕は遊んでいる訳ではない。いつも全力ですよ。

「それにレニーラも言ってたが、君はノイエ以外の者を出しては遊んでいるとか」

「心外です。レニーラの場合は勝手に出て来て襲って来るのです」

「ふむ。それは重要な証言だな。今度レニーラに問いただすとしよう」

エウリンカはどうやら理知的な人らしい。

ノイエを材料にしようとしたことは決して忘れないがな。

「それにしてもホリーやファシーも嫁にしているとか聞いたが?」

バッと相手から顔を背けた。

「それはあれです。彼女たちがそれで心穏やかに暮らしてくれるなら」

「ホリーが目の前で暴れ出したが? ファシーも……シュシュが封じたな」

言葉を間違えると僕の明日は無いらしい。

「申し訳ございませんっ!」

全力で土下座だ。

「ホリーもファシーも魅力的で、体はノイエだから浮気じゃ無いと自分に言い聞かせ、最近はちょっとありかも~とか思ってました!」

「……何もそこまで本音を言わなくても良いと思うが」

軽くエウリンカが引いていた。

「それでアイルローゼにまで手を出しているのか」

「はい?」

何かとても不穏な言葉が?

「ユーリカに襲われ全員が絶望していた時に、アイルローゼが君に告白しておけば良かったと言っていてね。このような身であり男女の仲などあまり気にもしない自分だが、もう少し節操は持った方が良いと思うぞ」

「……」

頭の中が真っ白です。あの先生が僕に?

ちょっと待って。えっと……そう言われると先生の態度が最近おかしかったような?

何だかとっても仕草とかが女性っぽかったけど、でも先生は女性だからだと……本当にそうなの?

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