軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

赤ちゃん……ダメ?

「あっノイエ。ただいま」

「……」

小型のドラゴンを締めているノイエに僕以外の全員が驚く。

ジタバタと暴れている蛇型のドラゴンの首を腕で挟んで立っている女性の姿って傍から見ると凄くシュールだな。

「アルグスタさまっ」

「うんうん。彼女がノイエです」

「……」

ヒシッと抱き付いて来るポーラにノイエが反応した。

ポイッとドラゴンを放り出すと、トコトコと歩いて来て……何故かポーラを攫った。

「ダメ」

「はい?」

「ダメ」

ポーラを抱きしめたノイエが怒った感じで僕を見る。

その表情はいつも通りに変化は無いが、何となくのニュアンスで怒っていることが分かる。

っで、なぜ僕のお嫁さんは怒っているのでしょうか?

「ノイエさん?」

「ダメ」

「ん?」

「……わたし以外はダメ」

納得した。ノイエの奴……嫉妬してますね?

本当にノイエったら可愛いんだから。ますます惚れちゃうよ?

「でも馬が足らないしね」

「……」

「コラコラ。そのまま運ぼうとしない」

ドラゴンの代わりにポーラを運ぼうとしているノイエにストップをかける。

ちなみに解放されたドラゴンはジタバタと暴れている。

「ノイエさん」

「……はい」

「ポーラを返しなさい」

「ダメ」

脇に抱えるポーラがジタバタと抵抗を見せるが無意味だ。

彼女はサラリとドラゴン相手に同じことをしていたのだから。

ここは誠心誠意、言葉で解決です。

「大丈夫。ポーラはしばらく僕らで預かるから。家族だよ?」

「……家族?」

「そうそう」

ポーラの持ち方を変えてノイエがその顔を覗き込む。

意外と色が近しいから……余り違和感が無い。何と無く姉妹とかで通りそうだな。

ふと僕の中に何かが舞い降りたよ。

「それにノイエ」

「はい」

「『妹』の相手も出来ない人は、赤ちゃんを育てられません」

「っ!」

衝撃を受けた様子でノイエが数歩後退した。

「赤ちゃん……ダメ?」

「です。だからノイエはポーラのお姉ちゃんになって、確りと相手が出来るようにならないとダメなのです。分かりましたか?」

「……はい」

「ならポーラを解放してお仕事に戻りなさい」

「はい」

素直にポーラを解放したノイエは、地面の上を転げているドラゴンに歩み寄ると……そのまま蹴飛ばした。

ビュ~っと飛んで行くドラゴンが放物線を描いて何処かへと消えた。

「そうそうノイエ」

「はい」

僕も馬を降りて駆け寄って来たポーラを捕まえ、ノイエの前へと向かう。

「もう一回、ただいま」

「おかえりなさい。アルグ様」

そっとポーラの目を隠してノイエとキスをする。

お子様には速いと思ったが他の子たちには丸見えだったな。まあ良いか。

「良し。ならノイエはお仕事頑張ってね」

「はい」

「帰ったら約束通りギュッてしてあげるから」

「はい!」

アホ毛をフリフリさせてノイエが消えた。

それを確認して僕はポーラを連れて馬へと戻る。

「もうドラゴンの襲撃は無いから、モミジさんもそっちの子供を預かって運んであげて」

「……分かってますよ。2人の仲が良いことぐらい。けっ」

何故かモミジさんがやさぐれていた。

「お帰りなさいませ。旦那様」

「ふぇ」

出迎えてくれたメイドさんにポーラが何とも言えない声を発する。

帰宅したらメイドさんが出迎えてくれる環境とか……ポーラの人生で夢にも思わなかったことが起きているのだから仕方ない。

「お連れのお嬢様は?」

「ん。要相談にはなるだろうけど、一応この屋敷で預かる予定のポーラです。はい挨拶」

「……ポーラです」

僕に隠れるようにしてポーラが顔だけ出して挨拶をする。

これがウチのお城のメイドさんたちなら、幼さの愛らしさを爆発させるポーラにメロメロだろうが、我がドラグナイト家のメイドさんはこれぐらいでは屈しないのだ。

「宜しくお願いします。ポーラ様」

「ひうっ」

"様"付けに面食らった感じのポーラがますます僕に抱き付いて来た。

「とりあえずポーラに食事とお風呂を。着替えの方は……任せます」

「お任せ下さいませ。旦那様」

ふんわりと一礼したメイドさんの指示で、とりあえずノイエが子供だった頃の服で着れそうな物を探しに行ってくれた。

今のポーラの服は、ボロといい勝負なだけに困るのです。

「お風呂に入れたら徹底的に洗ってあげて」

「はい」

「それと散髪とかその辺りをひっくるめてお願いね」

「畏まりました」

指示を出して一時ポーラとはお別れする。

少し嬉しそうなメイドたちに運ばれて行くポーラは、悲しそうな瞳で見て来る子牛のようだ。

「留守中なにかあった?」

「特には」

「……ノイエはどうだった?」

「はい。大変お静かでした」

「そうか」

「はい。ただ泣いていたのか毎日枕が濡れていましたが」

「そうですか」

本当に悪いことをしたな。だったら今夜ぐらいはノイエの好きにさせないと。

「少し寝るんでお風呂が使い終わったら起こして」

「畏まりました」

軽く欠伸を噛み殺して、僕は寝室へと向かった。

「アルグが戻っただと?」

「はい。ただ数人の孤児と一緒に」

「……拾って来るなよ。あの馬鹿」

やれやれと額を押さえ、メイド長のフレアはハーフレンの顔を見た。

「キルイーツの診察などこちらで手配しておきます」

「頼んだ」

「はい」

一礼をし部屋を出て行くメイドを見送り、ハーフレンは軽く頭を掻いた。

《先生には死体ばかり送りつけていたからな。その後に子供とか……俺は何があっても絶対に医者にはなりたく無いな。本当に尊敬するよ》

苦笑しハーフレンは事務仕事に戻った。

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