軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

およめさん?

前に座るポーラの頭がカクンカクンと揺れる。

昨日からの強行軍で疲労困憊なのはだろう。

「ごめんね。ポーラ」

「……」

ほとんど寝ている少女から返事は無い。

無理をさせているのは分かるが、それでも出来るだけ早く帰りたい。

と言うか早くあの場所から離れたい。

僕が命じた通り、次の日の朝には近隣の集落から親の無い子供たちが集まった。

その数8人。内2人は乳飲み子だった。

おかしく思い問い詰めると、2人の乳飲み子は親がこれ幸いにと僕に預けてしまおうとしての行為だった。

流石にそんな親に子供を戻したくないので引き取ることにした。

ただポーラほどの年齢の子供は集落の働き手になると言うことで引き取りを拒否された。

こちらとしてもこれ以上の無茶は……毒を食らわば皿までの精神で突き進むことも出来たが、移動手段等の問題も生じたので我慢することにした。

護衛の騎士たちはそれぞれ自分たちの馬に子供を乗せている。

『大きくなったら騎士になると良い』とか男の子と話している様子を見るとホッとする。

『大きくなったらお兄さんのお嫁さんになると良い』とか女の子に言ってる馬鹿者は帰還後すぐに別任務でハードなのを準備させよう。刷り込みはダメだ。自由恋愛なら構わないが。

2人の乳飲み子は、唯一女性の護衛騎士さんに預けてある。モミジさんが抱きたがっていたが、彼女には接近して来るドラゴンの退治を任せてあるので1人寂しく騎乗の人だ。

哀愁すら漂わせて……時折ドラゴン相手に何かを発散している。

そんなこともあって僕らは出来るだけ急いで王都に向かっている。

正直乳飲み子は想定して無かった。母乳の問題が。ヤギの乳で代用ってどこまで平気なのかな?

「何かな~」

「どうしましたアルグスタ様?」

「ん~」

馬の足をゆっくりにさせてモミジさんが僕と並ぶ。

愚痴を言うぐらいなら別に良いかな?

「子供らを引き取った時にさ、言われたんだよね。『その子等は貴重な働き手だからそれ相応の謝礼が欲しい』って」

「それは……何とも」

「別にそれを悪く言うつもりはないよ? 子供だって貴重な働き手になるって分かっているしね。でもそれだったらちゃんと食事ぐらい与えろと思うんだよ」

「そうですね」

モミジさんの想うことがあるのか、何とも言えない息を吐いた。

僕らが引き取った子供たちは全員が痩せこけていた。確かに冬期が終わったばかりで食糧不足なのもあるのかもしれないが、それでも余りにも痩せすぎていたのだ。

「きっとあの人たちには、ここに居る子供たちなんてただの消耗品でしか無かったのでしょうね」

「うん。そう思うと……この国にはまだまだこんな子供がたくさん居るんだろうね」

「この国だけじゃ無いと思います」

「だよね」

そう言っても全員を救うことは出来ない。やりたいけど無茶なのは分かっている。

子供1人育てるのにだってお金がかかる。子供の代わりにお金を要求した集落の人たちもある意味正しいのだ。確実に働き手を失うのだから。

「だから急いであの場所を離れたのですか?」

「うん。あれ以上居たら暴れ出しそうで」

「らしく無いですよ?」

「だね~。でもそんな気分にもなるってもんです」

とは言えプチッと来て、持っていた金貨を地面に叩きつけたのはやり過ぎたかもしれん。

それに群がる人たちの姿は見てて本当に嫌になったけどね。

「王都に戻ったら少し真面目に孤児の対策を考えないとな」

「減ったら良いですね」

「だね」

軽くポーラを抱き寄せて、僕は視線をモミジさんに向けた。

「そうして真面目にしてれば普通に高評価な女性なのにね」

「……申し訳ございません。ちょっとお花摘みに」

グイッと馬の首を動かし、モミジさんが一気に離れて行った。

『ねーちゃんすげ~』などの声に反応して、モミジさんがノリノリでドラゴンを斬り伏せた。

集落の外に出るのも初めてなのに、その道中でドラゴンに襲われるなど……初めてな訳です。

最初恐慌状態に陥った子供たちも今では応援するくらい慣れている。子供の順応力って凄いわ。

「アルグスタさま」

「何だい?」

「……わたしもあれをするんですか?」

ブルブルと震えているポーラだけは、他の子どもと違って自分の将来に不安を感じていた。

僕の部下になるってことはドラゴンを退治するってことでは無いんだけどね。退治できるなら助かるけどさ。

「あれはあのお姉ちゃんの唯一の特技だからポーラには求めないよ」

「……よかった」

「ポーラまであれをするようになったら、あのお姉ちゃんの存在価値が無くなるしね」

「聞こえてますからねっ! アルグスタ様っ!」

聞き流せよ全く。

「それに王都にはあれ以上に凄いドラゴンスレイヤーが居るから」

「あれより?」

「いつの間にかにその子にまで『あれ』扱いなんですけどっ!」

心が狭いぞ? あれだろうがこれだろうが構わんだろう?

「うん。王都に居る大陸屈指のドラゴンスレイヤー……ノイエ・フォン・ドラグナイト。僕の可愛くて自慢のお嫁さんです」

「……およめさん?」

振り向いたポーラが少し驚いた表情を見せる。

あれ? 僕ってば既婚者だと……言って無かったね。

「そうだよ。ポーラもお姉ちゃんだと思って甘えると良いよ」

「いいんですか?」

「うん。ノイエは凄く優しいから」

そう告げると何故か馬が止まった。

と……目の前にドラゴンが姿を現した。

ただし可愛らしいお嫁さんがヘッドロックした状態でだ。

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